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叔母さんが作ってくれた浴衣

 実家の箪笥から、私の浴衣が出てきました。
 和裁が得意だった叔母さんが当時中学生だった私のために作ってくれた浴衣。



 久しぶりにみた、その浴衣は、市販のものより生地が厚く、うそつき袖がついていているなど、夏の暑い日に涼しく着れる工夫がしてあり、お祭り以外の場所でも着れる立派なものだった。
だけど、当時の私は嫌だった。

 市販の可愛らしい柄の安い浴衣が店頭に大量に出回っていたこともあり、叔母さんが選んだ生地の柄は、野暮ったく見えた。

 その上、せっかく作った浴衣を着た私に、叔母さんが
「姉は何を着ても似合うのに、この子は何を着せても似合わない」
と、ぼやいたからだ。
 その言葉を聞いて、さらにこの浴衣が嫌になった。
 
 叔母さんが私のために手間も時間もお金もかけて作ってくれたのに、当時は恨めしく思っていた。


 久しぶりにみた私の浴衣。
今年はこの浴衣を着て、どこかにお出かけして、今の私には似合うと自画自賛して、楽しい思い出を作りたい。

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