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思春期の子供の脳の発達について

突然ですが、私には10代の子供(高校生と中学生)の子供がいます。

 私は、深夜に子供(中学生の時)が宿題ができないと大泣きされて、オロオロしたことが数回あります。でも、翌日には、まるで昨日のことが嘘のように、笑ってご飯を食べてました。

安心しつつも、あれは、なんだったのだろうかと思いました。

 ある日、突然、何でも親の言うこと否定し、乱暴な行動をとったり、屁理屈をいったりと、あたかも子供がエイリアンに乗っ取られたのか?と思うようなこともありました。

でも、これも始まった時と同じように突然、嘘のようにとまりました。

このような10代の変な行動の原因を、インターネットで調べたら、どうやら脳に起きている変化にあるらしいことがわかりました。それがわかった上で10代の子供を持つ親はどう子供に接したらよいか等を、科学的な知見と合わせて、自分の実体験を踏まえて書いていきたいと思います。

でも、私は医者ではありません。その代わり、子育ての経験は2人分あります。なるほどと私が納得した情報を、私と同じく10代のお子さんをもつ親に知ってもらうことで少しでもお役にたてたらと思います。

それでは、まずは10代の脳の変化について書いていきます。

1.10代の脳は未完成である

大脳、小脳、脳幹という脳の基本的な構造は子供が3歳になる頃までにほぼ完成しており、脳の大きさは、小学校を卒業する12歳の頃、大人と同じ大きさになった時に、大人と同じ機能を持つと昔は考えられていました。

ところが、近年になり科学技術の進歩により10代の脳についての研究が進み、実は10代の脳は、大きさだけ大人と同じになっだけで、機能的にはまだ未発達であり、脳としてきちんと機能できるようになるのは、20代の後半から30代までかかることがわかってきました。

人間も生物。10代の後半から身長が大きくなる、体格が大きくなるなどの構造的な体の成長が終わり、繁殖に向けて体が急激に変化する時期になります。この時に脳も変化し、成長していきます。

先にも書きましたが10代の脳の大きさは、大人と一緒になります。でも、これはあくまでもパーツ、部品が出来上がっただけという段階。
この出来上がった脳が機能的に使えるようになるには、それぞれのパーツ、部品をつなぐ神経細胞が複雑な回路を作り上げないと完成しません。この回路をつくる過程を研究者たちは脳の成熟と言っているようです。

脳の成熟は一気に進むわけではなく、順番に進むため、外見からは全く変化がみられません。そのため、最近までは研究が進まなかったようです。

脳には、1,000億の神経細胞があると言われています。この神経細胞は情報伝達と情報処理に特化した細胞です。
神経細胞は一つの長い軸索と樹状突起という樹のようにたくさんの枝のように別れた突起をもっている部分があります。
神経細胞はこの枝分かれした樹状突起で刺激を受けると、一つしかない軸索でその刺激を電気信号に変えて、他の神経細胞に伝えるというやり方で、情報(刺激)を伝えます。
神経細胞は樹状突起で刺激を受けて「興奮」すると、その刺激を受けた樹状突起を太くして、神経細胞同士を「つなぎ」を強化するという方法で、複雑な神経回路をつくり上げます。この神経回路、ネットワークができあがると、脳は機能的に働くようになります。

電化製品でたとえるなら、電化製品を動かす電気を通す配線にあたるのが神経細胞だという話です。

では、脳全体についてお話しします。

脳の構造の分け方には色々ありますが、皮質という観点からみると大きく3つのパート分けられます。内側から順に古皮質・旧皮質(生命維持・感情などの本能を司る部分)新皮質(論理的な思考、高度な精神活動などの理性を司る部分)に分かれます。
脳の成熟には、方向性があり、内側から外側へと成熟します。つまり、10代の時期は、本能をつかさどる古い脳の成熟に、理性をつかさどる新しい脳の成熟が追いついていない状態になります。
また、脳は後から前に向けても成熟します。情動をコントロールする部分は脳の最前部にあるため、一番最後に完成します。

以上のことから、10代の脳は刺激に対して興奮しやすいのに、感情を抑制する部分が最後に成長するため、夜中に突然、泣き出してとまらなくなったり、箸が転がっただけでも笑い転げる等々、感情の抑制が効かなくなるからなのです。
上の子供(高校生)は、中学生の時はこの子は大丈夫なのか?と思うくらい感情の浮き沈みが激しかったのですが、最近は少しずつですが落ち着いてきました。逆に下の子(中学生)がイライラするとつぶやくようになったので、もう少ししたらヤバイかもです(汗)。
でも、下の子は上の子と私のやりとりをみていたためか、あまりひどい事を私に言うことが少ないです。
上の子が反面教師になっているのかもしれない。
あまり親に感情をぶつけてこない、反抗しない子供は要注意なので、注意深く見守りたいと思っています。
ちょと話がそれたので次にうつります。

2.脳は選択する

先にも書きましたが、人には1000億個の神経細胞があります。この神経細胞の数は胎児のときにピークを迎え、2~3歳までに神経細胞が成長し、隣の神経細胞とつながりながらネットワークを作っていきます。このネットワークに参加しない細胞は死んでいきます。

思春期に入る頃から、せっかく形成した神経細胞のネットワークから、ネットワークに参加しなかった神経細胞を取り除いたり等、不要なネットワークを取り除くスピードが速くなり、最後には、せっかく形成した神経細胞のネットワークの50%が除去されてしまうそうです。

これは過剰に神経細胞が繋がっていることにより、受け取る情報が多すぎて、脳が混乱しないようにするために、不要な回路を刈り込んで正しいシグナルを選べるように交通整理するという意味合いがあると考えられています。

ただ、このネットワークの除去により、子供たちはこれまで形成してきた自分自身の半分をを一気に失ってしまうことになります。
つまり、昨日までは好きだと言っていた食べ物が急にきらいになったり、これまで仲良く付き合っていた友達と急に気があわなくなったりするというようなことが起こるということです。

10代は、脳からみても、大人になった時の自分を選択をする大事な時期であるともいえます。
なので、子供の好みが突然、変わったと感じたときは、ああ、これは脳が成長して、選択したんだな~と心穏やかに受け止めましょう🎵
決して、昔はこれが好きだったでしょって攻めないように。

2.暴走する脳について

人間は思春期になると繁殖のための準備を始めます。
このために、血液中の性ホルモンの濃度が急激に高まり、体が変化していきます。

この生殖ホルモンは体だけではなく、脳にも作用します。特に、古皮質、旧皮質からなる偏桃体を刺激します。

この偏桃体はすべての脊椎動物に備わっており、天敵に出会ったときに「戦うか逃げるか」という生存本能に関わる部位だそうです。
思春期は、生殖ホルモンのせいで、偏桃体が過剰なほどに活発化してしまうのです。特に男子は、男性ホルモン(テストステロン)がそれまでの30倍に跳ね上がるため、脳は常に戦闘準備をとってしまう状態になっています。だからこそ、意に沿わない言葉が放たれると反射的に食って掛かかるか、逃げていくかという行動をとりがちになります。

反抗期の男の子の家の壁や扉には、パンチやキックで開けた穴があるとか、ないとか、、、、
下の子は予備軍なのでイライラするとは言ってますが、まだ家の壁や扉に穴はあけていません。そのうち開けるかもしれませんが(笑)。

一方、女子は行動よりも言葉に攻撃性が表れやすく、口が立つようになります。ただ、思春期の未熟な脳のため、きちんと理論立てができずに、往々にして、ただの屁理屈をいうようになってしまいます。

この屁理屈が母親の私の胸に、時々グサッとささることがあって、私とのバトルが勃発することに(苦笑)

最後に、男子でも女子でも、反抗的な態度をしめしたり、生意気な口をきいたりしてきた時は、「偏桃体がホルモンに刺激されて、暴走しているんだ~。だから、些細なことでも過剰に防衛したり、戦闘態勢にはいっちゃっているんだな~」と思い、親のほうが一呼吸置いて、大人の余裕を見せつけてやりましょう。

とはいっても、なかなか冷静にはなれませんがね(笑)。

以上が10代の子供の脳におきる3つの変化でした。

余談ですが、、、、、、

以前にTVで見た番組の中で、東大生を2人育てたお母さんが、反抗期にものすごく反抗された子供のほうが、社会人になってから立派になったという話がありました。反抗期の子供の行動を押さえつけて、自分の思うとおりに行動してもらうとするのではなく、親が子供の行動を受け止め、正しい行動に導き、親を乗り越えていくのを見守る時期なのだと私は考えています。

皆さんは、どのようにお考えでしょうか。
よろしければ、感想などコメントを頂ければ、嬉しいです。

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