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はじまりの場所

ある秋の日に、一つの命が消えました。
私の夫です。
それは、東北で大きな震災が起きた年でした。

この年の前半は、多くの尊い命が失われ
多数の鎮魂の祈りが捧げられた年でしたが、

夫は同じ年に、誰にも看取られず、ひっそりと一人で息を引き取りました。
夜のうちに心臓が止まったらしいのですが、詳細は不明です。

亡くなった当時、別居していたのです。

表向きは母の病気のサポートのため、一時的に実家に帰った、と体裁を整えていましたが、本当のところは違いました。

当時の彼は、アルコールによって正常な判断力もない状態でした。

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仕事中に飲酒をしてクビになる、ということを繰り返し
家にいて一日中お酒を飲んでいました。

私が稼ぐほかないのですが、当時は不況の真っ最中です。

大卒とはいえ、芸術系の大学出身で即戦力とならない私は、パートとして安い賃金で働くほかなく、生活は困窮、貯金も底をつきました。

それでも、夫はお酒を買って一日中飲んでいたのです。

お金の出どころは子供たちが大切にしまっていたお年玉でした。困窮の中、お菓子や漫画など、普通の子供たちが当たり前に手にしているものも我慢し、貯めていたお金です。

親として、これだけは子供にやってはいけないと思う基準は人それぞれだと思いますが、これは私にとって絶対に許せないことでした。

もはや一緒には暮らしていけません。そして家を出たのです。

ほかにも色々なことがありましたが、当時の状況について夫はもう反論もできないので多くは語りません。

また、当時の私は、夫の引き起こす様々な厄介ごとが「アルコール中毒」という病から来るものだという知識もありませんでした。

当時の夫は、アルコールの影響で脳が萎縮し、善悪の判断さえ失っていたのだと、あとになって知ることとなりました。

ただ、、、

結婚当初、私はお酒を飲んで陽気になる夫が好きだったのです。
だから、ここまで深刻なことに発展するとは思いもよらず、夫の飲酒を容認、どころかむしろ促してもいたのです。
夫の罪は、夫のものだけではなく、私にも責任があったことです。

そしてここまでの状況になっても
「離婚」という選択肢は私にはありませんでした。

それは、ずっと変わらず愛していたから、ではありません。

ただ単に、
「一度誓いを立てたのならば、それを守るべきだ」
という自分なりのルールに従っただけのこと。

愛もなく、共に生活する意味も見出せないのならば、
離婚すれば良かったのです。

もしも早くに決断し、お互いに別の人生を選択していれば、夫はまだ元気に生きて、別の幸せを手に入れていたかもしれません。

つまらないマイルールを頑なに守ろうとしたために、夫を不幸なまま、ひとりぼっちで死なせてしまった。

長く長く後悔することとなりました。

そして、夫の突然死は私にとって大いなる救いとなったのです。
それが何よりも私を苦しめました。

次回は、夫の死後に起きた出来事を書いていきます。

本日のメッセージ

社会のルールが必ずしも正しいとはいえません。
ルールがあなたを苦しめるのであれば、ルールが間違っているのかもしれません。

本日のQuestion

あなたにはマイルールがありますか?
それはあなたを幸せにするルールですか?
それは本当に何かを、あなたの気持ちを犠牲にしてまで
守る価値があるものですか?

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普通のオバさんだった私がスピリチュアルを学び、様々な経験を通して幸せを見出した体験談ですが、これはそれだけではありません。 読み進めていく…

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