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Self-Help-自助論-

天は自ら助くる者を助く

自助論(サミュエル・スマイルズ著)に出会ったのは、17歳のころ。折に触れて読み返す本の中の一冊。その時々で、心に響く節は違うけれど、昔も今も変わらず、とても好きなエピソードがある。

ベートーベンが、ピアノ奏者の楽譜にしるした言葉「神の助けにより無事演奏をおえることができますように」に対して、書き足した言葉。

「神に頼るとはなんたること。自らの力で自らを助けたまえ」

もちろん、おかげさまの精神の論点ではなく、勤勉、努力してこそ自らを強くし、不安を打ち消すことができる、の意である(筆者解釈)。

「堅忍不抜の精神は、かけがえのない貴重な資質である」

時代が大きく変わり動いた明治時代の青年たちに、「西国立志編」として多く読まれ継がれたこの本。現在に至るまでどれだけの多くの人たちを鼓舞し続けてきただろう。何もない時代から、志を立て、努力してきた先人のおかげで今の私たちの暮らしがある。モノに溢れ、努力することを忘れかけているかもしれない現代の私たちのくらしぶりは如何に。はからずも、2020年このくらしも一変した。

時代が大きく変わろうとしているいま、こう思う。私たちはあらためて「自助」の真意を知らなければならない。勤勉に、努力することの大切さを刻まなければならない。自らを助くる者に、ならなければいけない。

「道なくば、道をつくる」

意志をもって、努力し続けることの尊さを抱き、努力し続ければ、前にすすみ開拓していくことができる。いつのまにか、努力することや、勤勉さが、古臭く、時代遅れのレッテルすらはられるようになってしまったと感じる。正論を嫌う人も少なくない。

静かに、いま、コツコツと努力を重ね、自らを強くすることに精進している人が、人生を謳歌するのだと、穏やかに思えるこの一冊。

多くの若者たちに、読み継がれますように。

幸福な戦士(詩人ワーズワース-自助論より-)
彼は彼の望むところを知り
一つの目標を信じて疑わない
富みや名誉や世俗の地位を求めて
膝を屈し身をかがめようとはしない
これらの徳はおのずと彼にもたらされる
まるで恵みの雨が頭上に降り注ぐように


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