~最高裁判決の思い出と司法試験論文問題~
神奈川県横浜市戸塚区の女性ライダー弁護士西村紀子です。
一人の弁護士として、一人のライダーとして、そして、一人の人間として、日々感じたり観察したりしたことで、皆様のお役に立つと思えることを、つぶやき発信していきます。
本日3月8日は、一人の弁護士としてのキャリアの紹介もかねて、私が訴訟代理人を務めた2012年3月8日に得た最高裁判決についてつぶやきたいと想います。
私は、弁護士として、19年に亘り、労働法関連の訴訟にも取り組んできましたが、その中で、最高裁に上告することにまでなった事件が、今からちょうど11年前の2012(平成24)年3月8日に出された最高裁判決「テックジャパン事件」です。
この「テックジャパン事件」は、いわゆる"定額残業代""固定残業代"制度の下での、残業代請求の事件で、私は、この事件の原告側の訴訟代理人でした。
この判決は11年も前に出たものですが、つい最近、修習生から教えてもらったところ、なんと、この判決は、令和2年の司法試験の労働法の論文問題になっているとのことでした。
令和2年司法試験の当該問題文は以下リンクより参照(「選択科目」のP21~23)。
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出題の趣旨は以下リンクより参照(「論文式試験出題の趣旨」のP34~35)。
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まさか、判決から8年を経て、司法試験の問題になっていたとは、と思うと感無量です。
この事件では、最高裁判所で逆転勝訴をしたので、その前段階の東京高等裁判所では、敗訴判決を下されていました。
重い経験ではありましたが、これは、弁護士として必要な貴重な経験でした。
高等裁判所で敗訴判決を出された場合に、最高裁で逆転できる可能性は極めて低いのが現状です。
それでも、諦めずに考え続けることで、事件の状況を大きく変えることができるとともに、自分自身が成長していくことができるのだということを学ぶことができました。
そして、このときの高等裁判所での敗訴判決を乗り越えて最高裁判所で逆転勝訴判決を得られた経験は、この事件のみにとどまらず、ご依頼いただく様々な事件で、見通しを立てたり、作戦を練るにあたって、血肉となる大きな力となっています。
この判例については、例えば、Googleで「テックジャパン事件」で検索すると、以下のように様々な論評がされています。
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なお、この判例についての判例の出典や判例評釈は、以下となります。
最高裁判所裁判集民事240号121頁
裁判所時報1551号4頁
判例時報2160号135頁
判例タイムズ1378号80頁
労働判例1060号5頁
裁判所ウェブサイト掲載判例
長瀬威志・ビジネス法務12巻7号100~107頁2012年7月
高仲幸雄・労働法令通信2292号26~28頁2012年9月8日
河津博史・銀行法務2156巻14号59頁2012年12月
判例紹介プロジェクト・NBL993号102~104頁2013年1月15日
小畑史子・民商法雑誌147巻2号101~107頁2012年11月
山下昇・法学セミナー58巻4号147頁2013年4月
滝原啓允・労働法学研究会報64巻10号22~27頁2013年5月15日
藤原稔弘・判例評論652号(判例時報2181)188~192頁2013年6月1日
中山慈夫・実務に効く 労働判例精選(ジュリスト増刊)37~44頁2014年3月
水島郁子・平成24年度重要判例解説(ジュリスト臨時増刊1453)218~219頁2013年4月
君和田伸仁・季刊労働者の権利314号22~33頁2016年4月
淺野高宏・月刊法学教室436号13~18頁2017年1月
(終)
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