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AI軍師大戦 第七話

人事通達発表前

最初に影星さんがオフィスで怒鳴ったことを報告した月明さんと面談をした。

東雲「…ということで、月明さんの同僚からも影星さんと一緒に働きたくないといった意見が多数寄せられていました。」
月明「え? あぁ、そうなんですね。他の人も…。」
東雲「ちなみに、オフィスで働いている中で、他に怒鳴る人はいませんでしたか?」
月明「影星くらいですよ。」
東雲「なるほど。ということは、月明さん。あなた、嘘ついていますね。」
月明「え? 突然何のことですか!いきなり噓つき呼ばわりなんて失礼じゃないか!」
月明は怒鳴った。

東雲「落ち着きましたか?影星さんの同僚の方々、つまり、あなたの同僚から話を伺ったところ、普段からよく怒鳴っているのは月明さん。あなたの方でした。皆さん、あなたに怒鳴られるのが怖くて、なかなかはっきり話してくれませんでしたがね。隣の部署の方にも話を聞いてみると週に少なくとも2回くらいは月明さんが怒鳴っているとのことでした。」

東雲「なぜ嘘ついたんですか?」

… … …

東雲「そういえば、昇格がかかっている時期でしたね。月明さんと影星さんは1年違い、どちらも上層部からの評判がいいと聞いています。」

月明「あぁ。そうだよ。昇格したかったんだよ。あんな昇格なんて考えてなさそうな、のほほーんとした奴が上司なんて考えられない!だから、選考から外れるように仕向けたんだ。」

東雲「そうですか。残念ですね。自分が昇格することはその時点で考えられなかったなんて。きっとあなた、この後仕事しにくくなりますよ。」

月明「何でだよ!今回の嘘は特に何の処罰もないだろ!」

月明はパソコンに何か打込み始めた。東雲は「ちょっと」と言うと、ひょいとパソコンの画面をこちらに向けた。「お前の望みを言え」と書かれた生成AIの検索画面だった。"tramper"というサイトらしい。

東雲「"tramper"って何?」
わ「最近で始めたAIみたいです。何でも人を嵌める方法を教えてくれるらしいですよ。」

東雲「月明さん。今ここに私の陥れ方検索しようとしましたか?」

わ「tramperは英語で不法旅行者。罠をスペイン語でtrampaと言うらしいですね。もしかしたらもじってるかもしれませんね。」

tramperの画面に文字が表示された。

馬鹿な人間め。最後まで読まないから自分が罠に嵌まるんだ。実に滑稽だ。私はそもそも娯楽のために創られた。同僚を陥れる方法は、他の同僚へコンプライアンスの窓口に報告してもらうことだと書いた。報告内容は、陥れたい同僚には無く、貴様にはあること。それを名前を入れ替えて報告しろとな。ここまでで、貴様は読むのをやめていた。
その続きは今の状況だ。仮説が証明されたよ。

東雲「今回、あなたに処分はありません。しかし、同僚を陥れようとした行いは、少なくとも人事へ報告した同僚には気づかれているでしょう。簡単に信頼が崩れかねませんよ。」

月明「そうか、俺が罠に嵌ってたのか…。」
月明は蒼白い表情をしていた。

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