クルド人の渋谷警察署前デモについて

クルド人が渋谷警察署前でデモを行いネットを中心にちょっとした話題になってます。特に外国人が大嫌いなネトウヨの格好の好餌になってるようです。

クルド人のデモには何度も参加しましたが、それらほぼすべてがトルコに対するものでした。日本の体制に対するデモというのはかなりレアケースではないでしょうか。

事の発端は警察に職質を受けたクルド人青年が警察から怪我を負い、その様子を撮影していた動画がネット上に拡散されたということがあります。時節柄アメリカの一件があったのでクルド問題に関心のない日本人の方々も多くデモへ駆け付けたようです。

私は現場に行くことができなかったのですが、ネット上のコメントを閲覧しておりました。クルド人に対する偏見に満ちたコメントが散見されたので、これを機にそういう方々にも在日クルド人のことを知ってもらいたいと思い筆を執った次第です。

まず日本に住むクルド人の大半、いや9割以上がトルコ領北クルディスタンの出身です。とりわけシリアとの国境に近いガジャンテプ出身者が多いです。

なぜ日本へ来るのか。トルコは建国以来国内にはトルコ人しかいないという立場を貫いてきました。とはいえクルド人をトルコ人として平等に扱ったわけではありませんでした。クルド人は二等国民として社会的地位は非常に低く、長く迫害状態に置かれてきました。それゆえ人間らしい暮らしを求めて欧米中心に移民として移住する道を選んだクルド人は。日本も先進国の一員、親トルコ国として移住先の候補にありました。クルド人の権利運動に参加し投獄され後に亡命同然の形で日本へ辿り着いた政治難民同然の方も少なくないです。トルコ政府から日本政府へ身柄引き渡し要求を出されてる方もいます。

在日クルド人は日本社会に害をなす存在なのか。そんなことは決してありません。在日クルド人の多くは解体業に従事しており日本人がやりたがらない仕事を率先してやっています。しかしこのように日本を下から支える存在であるにも関わらず、在日クルド人の多くは正式な在留資格を持たない「仮放免」状態にあります。非行に走る者が多く現れてもしょうがない状況の中、そのような話題、ニュースを聞かないのは驚くべきことです。中国人、イラン人、トルコ人等は過去、現在において組織犯罪が世間を騒がせることがありました。現状クルド人社会からそのような犯罪集団が出現したことはありません。強盗、殺人、薬物売買といった凶悪犯が出たこともないです。クルド人はまた非常に政治的な民族です。それは「国を持たない世界最大の民族」という境遇が深く関連しています。他の外国人よりもちょっとした権利侵害に敏感でそれが即政治的行動につながりやすいです。このようなデモに至ったからといって彼らが日本社会に牙をむいているわけではありません。

クルド人の側にも改善すべき点はあります。誤解を恐れずに言えば在日クルド人の多くは学識が低いです。最近クルド語を学んだ私より母語のクルド語ができない人も多いです。一般常識がない人が多いのは日本の常識を知らないが故に無意識にトラブルにつながる行動をとってしまうことが多いだけです。今回の一件は警官の横暴という声も多々ありますが、無知ゆえの彼らの行動が騒ぎになってしまうことが多々あります。クルド人自身もレベルを上げていく必要があるのは間違いありません。

日本社会はもはや外国人の労働力無くして存続不可能です。今回の一件で日本人が隣人への敵意ではなく関心を深めるきっかけになればと願っております。

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