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配球および攻撃構築-守護神の技術-前編
捉え方によっては物騒なタイトルをつけてしまったが、カタカナに訳せば「ディストリビューションとビルドアップ」。漢字にすると一気に戦後感が増すが、GKにおいて、とりわけ近年に重要視され始めて、守→攻の切り替え時に必要な技術。というか、ディストリビューションって長すぎる!英語でもdistribution。長い。
本題に入ろう。ディストリビューションは「GKが起点となる守→攻の切り替え」で、キャッチした後やゴールキックなどをさす。ビルドアップは説明するまでもないが、自陣における攻撃の組み立てにおいてGKも参加するプレー。便宜上、2つに区別し、以下に目次を示す。
・ディストリビューション(手or足)
→・スローイング(アンダーorオーバー)…①
☆速攻を仕掛ける(相手の陣形が乱れている)
☆短・中距離にいる味方へ
・パントキック…②
☆長距離にいる味方へ
☆ロングカウンター
☆陣地回復(相手陣形が整っている)
・一度足元に置いてプレー…③
☆時間をかけたいとき
☆相手がミドルゾーンまで引いている
☆たまに後ろにいる敵に気づかずかっさらわれる
・ビルドアップ(足)…④
☆正確なパス
☆サポートアクション
☆ポジショニング
☆リスク管理
4項目とそれぞれについてポイントをまとめた。①から見ていこう。
①スローイング(アンダーorオーバー)
☆速攻を仕掛ける(相手の陣形が乱れている)
☆短・中距離にいる味方へ
見逃されがちなGKのスローイング。大抵サッカー中継でも投げるのが遅いと、直前のプレーハイライトに画面が切り替わってしまう。くそっ…!見せてくれ!と思うこと多々あり。
スローイングには2種類。アンダースローとオーバースロー。まずはアンダースロー。近くにいる味方に素早く投げる手段として使われる。
足元にだすスローもあればスペースにだすものもある。シュマイケルのこのプレーはスペースに出している。空いたゾーンにボールを転がし味方を動かす。
要点は「確実なプレー」だ。足で扱うプレーと比較して、スローイングは「確実性」がポイント。味方の足元にしろスペースにだすにしろ、思ったところへ「確実に」ボールを供給することが求められる。
続いてオーバースロー。
シュマイケルの事例では、相手が陣形を整えつつあったので、一度落ち着いて時間をかけてから近くの味方へアンダースローした。同様のプレーがテアシュテーゲンにも見られる。ただ、彼はより遠くの味方への配球を試みた。よってより遠くに飛ばせるオーバーハンドを選択。
(前後したが)一方で三浦のプレーは今まで見たプレーとは違う。「カウンター」を生み出す場面だ。相手陣形が整わないうちに、配球先の味方を選択し、速攻を仕掛ける。そして実際に得点が生まれた。
オーバースローの要点も同様に「確実性」だ。「確実に」より遠くへボールを供給する。そしてカウンターでの得点を誘発するプレーにもなりうる。三浦のオーバースローはそれを示してくれた。
②パントキック
☆長距離にいる味方へ
☆ロングカウンター
☆陣地回復(相手陣形が整っている)
パントキックは基本的に敵陣へボールを供給する手段である。余談ではあるが僕は現役時代パントキックを武器にしていた。
こちらが僕のパントキックのお師匠さん、アボンダンシエリ。弾道がかっこよくて真似したくて毎日壁に向かって蹴っていた。
パントキックはロングカウンターを生み出せる。先日の神戸vs川崎で見せたキムスンギュが良い例だろう。
GKはキャッチした直後、真っ先に見るのは最前線にいる味方の状況だ。前には広大なスペースがある。そして数的不利だったとしても適切なスペースにボールを落とせれば一気に得点機会が生まれる。「まず見るべきは最前線」をキムスンギュは体現してくれた。
(おまけ)
エデルソンがパントキック飛距離のギネス記録を更新したらしい。
随分長くなったので③、④は後日
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