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エコ設備のお話です(その1)(不動産ライターの、のりべぇ第33回)

今回もぶち抜き企画敢行(笑)!エコ設備のお話です。

飽きずによくやるよと、笑ってやってください。でも強引にぶち抜きます(爆)!

 毎回、ゆる〜い感じで家やマンションにまつわるお話を書いております、不動産ライターの、のりべぇでございます。毎回、なんだか尻切れトンボ感が否めないぶち抜き企画ですが、懲りずに第三弾!今回はエコ設備について、何度かに分けてお話をしようと思います。

ただし、単に「エコ設備」というと、すっごく幅広いんです…

 実は、不動産とエコ設備、という括り方でお話をすると、ほぼ全ての項目にわたって話の幅が広がってしまいます。極端な話、水道の蛇口、水栓ですら、「節水モードがあるからエコ設備」なんていう話になってしまいます。そのため、今回の打ち抜き企画では、エコ設備を以下のものに絞ってお話してまいります。
○ いわゆる発電・蓄電系のエコ設備
 
もっとも、これだけを取り上げるのでも、結構ボリュームがあるんですよ。それに、”どっかの自治体”じゃ、太陽光発電パネル、設置義務化とか言ってるんでしょ?あえてツッコまないけど。ということで、早速そのお話から始めようと思います。

太陽光発電のお話(注:仕組みとかの話じゃないですよ)

 今や、お家とエコ設備と言って真っ先に浮かんでくるのがこの「太陽光発電」。ソーラーパネルだの、太陽光発電パネル(システム)だのといいますが、要は黒い板状のアレです(笑)。見出しの通り、仕組み云々のお話はすっ飛ばします。
 結論から申しますと、条件が合えば設置のメリットはありますが、条件に見合わないケースも多々あります。ゆえに、個人的には強くお勧めするエコ設備ではありません。
 え〜、うそ〜!甘口系とか言ってるのりべぇが、そんなこと言うのぉ〜?と思われたあなた。太陽光発電パネルについては私、ちょっとだけ毒吐きます。ソーラーパネル愛好家の皆様、心よりお詫び申し上げます

どこにつけるの、そのパネル?問題

 結論を元に、もう少しお話の範囲を広げますと、第一に、太陽光発電というくらいですから、ちゃんと日光が当たらなければ、きちんと発電ができません。当たり前のような話ですが、これが正しく理解できていないケースがあります。具体的には、発電するに十分な光量に達していない場所に設置されているという場合や、そもそも年間の日照時間が(他と比べて)短いエリアにお住まいの場合です。実際、2025年4月より東京都において太陽光発電パネルの設置義務化が報じされておりますが、一部のハウスメーカー施工の「新築の住戸」に限定されており、かつ、家の向きなどの関係で発電が見込めない場合は例外となります。
 ところが、なぜかクリーンエネルギーだのなんだのと言われた挙句、補助金で安く設置できるだの、売電で一儲けできるだのと、とかく話題になった結果、どうみてもろくに発電できないじゃね?というパネルも散見される始末。なんでもつければいいという話ではありません。

実は重いんですよ、アレ(リフォーム時の設置は要注意)

 ご承知の方も多いと思うんですが、太陽光発電パネルというのは、主な素材がガラスでして、1枚あたりだと約15kg。そして1枚あたりの発電量は250W(±50W)。これを目安に、少し前の、一戸建て住宅における発電量でもある4kWの発電を目指すとなると、パネルだけで約250kg。パネルを固定するフレームなどを合わせると、だいたい500kgになります。
 と、ここで2つの意見が生じます。「太陽光発電パネルは重い。屋根に負担をかける」。「いいや、瓦の方がはるかに重く、そもそも太陽光パネル分の増加は大した負担ではない」。
 新築時であれば、太陽光発電パネルを加味した屋根の作り方を行うこともできますから、設置自体に問題はないかと思います。しかし、既存の住宅に追加で載せる場合は別。きちんと屋根の強度を考慮しませんと、いきなり屋根がズボッと抜けることはないものの、次第に歪みが生じ、雨漏りの原因になることもあります。特にリフォームの際に設置をご検討の場合は、屋根の補強もあり得る点に注意が必要です。 

太陽光発電パネルには恨みはないけど…

 製品として見る分には、日々進歩している(らしい)太陽光発電パネルですが、それでも超えられない「デメリット」は存在します。
 まず挙げられるのが寿命。少しずつ発電量が劣化します。そしておおむね20年程度が寿命だと言われています(条件により大きく異なりますし、30年と謳っているメーカーもあるようです)。次に、まだ使用済みパネルの処理に難があります。最低でも重いガラスと外枠のアルミニウムはあるとして、全ての製品ではないにせよ、有毒な重金属の鉛とカドミウムを使用しているものもあり、それらの回収の関係で容易に処分はできません。これについては家電リサイクル並みの回収システムが確立する必要があります。
 さらには、多くのメーカーが参入しているものの、一部倒産や撤退したメーカーがすでに存在し、後述の通り、今後太陽光発電パネルの廃棄・リサイクル問題が出てくることは時間の問題です。

売電もいいけど、やっぱ蓄電じゃね?

 太陽光発電パネル設置のメリットとしてよく言われるのが「日中に使わない電気を売る(売電)により、設置費用を回収できるだけでなく、利益も出る」なんていう話。確かにシミュレーション結果を見たこともありますから、わからないでもないんですけど、個人的にお勧めしたいのは、実は売電ではなくて実は蓄電です。と申しますのも、時々聞かれるのが「災害時に停電になっても、太陽光パネルがあれば電気に困りません」ってアレ。いや、夜になったら発電しないでしょ?でも、明かりが欲しいのは夜ですって。と考えると、実は太陽光発電パネルとセットで考えたいのは、売電より蓄電なわけです。日中に蓄電池に充電できれば、夜でも電気が使えますよね。最近では電気自動車に蓄電するという仕組み(V2H=Vehicle to Homeっていうの)もありますから、この仕組みであれば、システムとしての太陽光利用は大いにメリットがあると思います。もっとも、蓄電池の場合、寿命はおおむね10年程度と、パネルより短く、現時点では導入コストも相応にかかりますので、導入をご検討の際は、お財布とよ〜くご相談ください。

今から10年もしないうちに、太陽光発電パネル廃棄問題は…

 社会問題化します。と申しますのも、2011年3月11日に発生した東日本大震災以降、エネルギー問題が騒がれ、その際、当時の政府は太陽光発電パネルの設置推進を展開しました。その結果、住宅に限らず、休耕地、山の斜面などにも設置されるに至りました。それらのパネルが寿命を迎えるのは、早ければ2031年。今から換算しますと、10年もしないうちに寿命を迎え始めます。もちろん、いきなり充電できなくなるわけではありませんので、騙し騙し使うこともできますが、それでも早かれ遅かれ、パネルの撤去、交換時期はやってきます。その際、大量の太陽光発電パネルが処分対象となるわけで、実は発電云々より、廃パネルの処分問題の解決が急務だったりするわけです。すでにメーカー側では対策を始めているケースもありますが、前述の通り、メーカーが乱立した一方で倒産や事業終了など、いわゆる淘汰が進行している業種の一つでもあります。ここは行政・政府の力に期待する次第です。

次回予告

 いきなり重い話にもなりましたが、本来太陽光発電パネルは、注目すべきエコ設備だと思います。一方で、そのメリットを打ち消してしまうほど、怪しい話が見られるのも事実です。ぜひ設置ご検討の方は、じっくり吟味していただくことをお勧めいたします。
 さて、次回ですが、発電系エコ設備は太陽光パネルに限りません。次回はエコキュートとエネファームについてお話ししようと思います。
 次回もお楽しみに!

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