見出し画像

不動産ライターの、のりべぇ。第2回です。

第2回「隣接・近接・徒歩1分」

上手く並べたつもりだろ?のりべぇ、なんて言わないで〜(笑)。

 もちろん、不動産広告のお話ですよ〜(笑)。
 第1回に続き、「またこんな話?いつになったら本題に入るのぉ?」なんて思われた方。ごめんなさい!別に焦(じ)らしてるわけじゃないんですけどね。不動産の相場がどうのこうのとかいう話って、他の方が書いてるでしょ?なので、少し変化球(っていうのかなぁ?)で勝負させていただいている次第です。

では、本題。

 不動産広告において「絶対ない」ものがいくつもあるんですが、特に「絶対ないもの」は、「徒歩0分」という表記。いやいや、見たことあるから、という方。本来はそれがNGなんです。じゃあ、どうしたらいいのか。
 その前に、「徒歩○分」の定義を簡単にまとめてみます。
 不動産広告内で徒歩の所要時間を掲載するのは一般的に「最寄駅・バス停から」と「スーパーなどの周辺環境」です。徒歩1分は80m(不動産の表示に関する公正競争規約)と定められているのは有名な話だと思います。徒歩では時間がかかりすぎる場所の場合は距離でも表記は可能です。
 それでもって、定義の結論。1cmでも(いや、1mmでも)離れていれば「徒歩1分」です。当然、1cmだろうが1mmだろうが離れてますから、「○駅下車徒歩0分」ということはありません。徒歩1分とカウントされてしまいます。
 えっ?それじゃあ、最寄駅から80m離れていない物件は可哀想じゃん、と思われた方。そういう場合、「徒歩1分」と表記はしますが、距離を併記することで「駅から近いよ〜」と補足(というかアピール)しています。(例:JR○線「×駅」下車徒歩1分・約40m みたいな感じです)

お隣さんは「隣接」。じゃあ、お向かいさんは?

 ところで、マンションや住宅地にスーパーが営業している、というケースは、少ないながらも稀ではありませんよね。あれはとっても便利ですが、そういう場合って、広告上はどう書かれているんでしょうか?
 敷地が隣り合わせであれば「隣接」と書くケースもありますが、必ず物件現地と該当する施設までの距離を書く必要があります。同じ広告内に書いてあれば、宣伝文句として隣接をアピールするのはNGではありません。
 じゃあ、お向かいさん、こと道路向かいの場合は?となりますが、こういう時も物件と施設までの距離を書く必要があるのは同様ですが、敷地が隣り合わせではないこの場合は「近接」なんて表現を使います。あくまでも、宣伝文句ですから、不動産の表示に関する公正競争規約(現場では「公取規約」とか「規約」なんて略しています)に準じて書いています。

そういえば、距離ってどこから測るの?(実はね…)

 疑問に思う方、少なくないですよね。特に、最近は少なくなりましたが、大規模な住宅地であるとか、これはよくある話ですが、マンションの場合。最寄駅から現地まで、どこからどこまで測るのかって、気になりますよね。
 そこで結論。「最寄駅の一番近い出入口から、現地建物の玄関まで」です。ちなみに、マンションであれば「一番近いエントランス」です。
 実はこの「距離の計測方法」ですが、2022年9月の不動産の表示に関する公正競争規約改正で変わりました。混乱を防ぐために、改正後の内容から書いて参ります。
 所要時間の計測方法は「最寄駅の一番近い出入り口から、販売する現地建物(ここが重要!)の玄関まで」となります。ん?よくわからないなぁ、と思われた方。もう少し噛み砕いて書きますね。
 最寄駅の一番近い出入り口から←これは問題ないと思います。
 販売する現地建物の玄関←ここが重要なポイントとなります。
 例えば、複数棟のマンションだったり、数十区画の分譲地内にたつ一戸建ての場合。販売するお部屋やお家まで測りますから、徒歩1分=80mの原則に照らし合わせますと、「距離の差分」が生じます。その差分まで書かないといけなくなりました。
 要するにこんな感じです。
 (例1:「のりべぇレジデンス」A棟は駅から400mなので「徒歩5分」だけ ど、B棟は420mだった。ということは「徒歩6分」
 もちろん、こういうケースもあります。 
 (例2:「のりべぇタウン」1番区画は駅から500mなので「徒歩7分」だけど、55番区画は560m。でも、この場合はいずれも「徒歩7分」
 そして、実際に表記する時はこんな感じ。
 (例3:「のりべぇレジデンス」第1期分譲 A棟(400m)・B棟(420m)からそれぞれ10戸ずつ販売されるので、駅からの所要時間表記は「徒歩5・6分」
 (例4:「のりべぇタウン」1番区画(500m)から100番区画(700m)まで一気に販売するので、駅からの所要時間表記は「徒歩7〜9分」
(前提として、徒歩1分=80mに加え、81mなら徒歩2分と「80mの単位」を少しでも超えたら加算されるのが徒歩所要時間の表記ルールです)

 ところが、改正前はといいますと、マンション内あるいは分譲地(タウン)内の面積が広く、駅からの距離も多少異なる場合であっても、駅から一番近い場所で計測できたので、今より結構緩かったんです。私が某広告媒体でお仕事をさせていただいた時は改正前でした。それでもすでに「現行ルールに準じる内容を」導入していました。あの媒体、結構決まりごとにはうるさい(言い換えれば、ユーザーに優しい)んです。

今日のおまけ「そういえば、距離ってどうやって測ってるの?」

 最近ではネットで距離を計測できるサイト(キョリ測など)がありますので、それらを使うことが多いかと思いますが、私がライターデビューした当初は、マップメジャー(先端に、小さなローラー状の計測器がついていて、それを地図に当てて滑らせるように動かすと、本体の目盛りが動くという仕組みのもの)を使って計測していました(本当)。あるいは、広告を依頼されるクライアント様より情報をいただいておりました。ちなみに、クライアント様の中には、実際に駅から現地まで、ロードメジャーと呼ばれる、車輪のついた計測器(マラソンコースを測るときもこれを使うらしい)を使い、歩いて測っている、なんて話を聞いたこともあります。時代も変われば計測方法も変わるというものです。
 ただ、どの方法を用いても、若干の誤差が生じることがありますので、その辺は多めにみてくださいね(笑)。

次回もぜひお楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?