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コミュニティーを横断して「混ぜる」 〜D×Pの事業計画を考える〜

7月に入りましたね。みなさん、お元気ですか?

今月は僕が代表を務める認定NPO法人D×Pの年次報告書が完成します。これを機会に、今後の事業計画の話をnoteで書こうと思います。

昨年は全体で約6300万円の予算で8割以上が寄付収入という、様々な人から支えられているNPOになってきました(昨年の事業成果などは今月一度noteにまとめて書こうと思っています)。

事業としては設立当初から高校中退や不登校、経済的に厳しい家庭の子たちが多い通信制・定時制高校の高校生との大人との繋がりを作り、就職や起業支援、クラウドファンディングの支援をリアルな場でできるようにしてきました。

D×Pが特徴的だと言われるのは公立の高校でも20校近くカリキュラムに入っている授業「クレッシェンド」を1ヶ月以上持っています。単位を取るために、やんちゃ系の子から不登校を経験した人とあまり話さない高校生も参加してきます。

また、一部の学校では食事を提供する「いごこちカフェ」というカフェを持っています(食べれていない子もいることに僕も現場に入って気がつきました)。

また、去年からは民間では珍しい学校内で就職や起業、クラウドファンディングの相談室「ライブラボ」をスタートさせ、高校内で一貫して1年生から4年生まで経済的に厳しい家庭の子や就職など困難な高校生のサポート、何かやってみたい子たちのための支援を実施してきたことです。実際にpolcaで何人も自分の動きたいことでお金を集めて海外に行ったり、声優学校に通い始めた子がいたり様々な実例が出てきています。

カフェはこんな感じです。

就職の相談室では、昨年は定時制高校の就職率を13%上げています。また、海外に高校生を送る取り組みやプログラミングを学ぶ講座、PCを無料提供しているTECH募金の取り組みも始めました。

コミュニティーを横断して「混ぜる」

僕が常に意識しているのは「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会」というD×Pのビジョンです。

それを作ってくためには経済的な状態、年齢、様々な大人などが混ざっているコミュニティーが重要だと思っています。特に日本だと子どもの貧困のことが注目されつつありますが、しんどい子ほど孤立している現状というのが僕も現場に出てきて目の当たりにしてきました。

孤立している、というのは親も友達も、周りの大人との関係性があるにしろないにしろ、安心して住める、暮らせる、誰かに相談できない社会的な状態です。その状態からなかなか抜け出せない、仕事をしたい、仕事を変えたい、仕事以外で何か生きる方法を見つけたい、そんな願望を心のうちには持っていても誰も言えない環境にある、信頼もできない環境にあるというのを現場で見てきました。

そのため、僕としてはもう一度繰り返しますが、混ぜるコミュニティーを作っていきたいと常に考えています。15歳の生活保護や虐待を受けてきた子たちから普通に仕事をしている高校生たち、起業したい高校生たち(結構定時制、通信制高校にいます)、うちのスタッフ、250名を超える20歳〜45歳のボランティア、3000名を超える卒業生たち、彼らがなんらかの形でリアルな場で関わり合いを持たせられるような関係性をデザインしてきたと思ってきているし、これからもそれを作っていきたいと考えています。

混ぜるコミュニティーが大切だなと思ったのは、とにかくリアルな関係性が安心して「つらい」ということを話せて自分で生きていけたり、働いていない子でも関わっている大人たちと数年間関係を築いていくことで働き始めたり、将来やりたいことがあったけど絶望していた子が自分のやってみたいことを関わりの中で見つけ出して動いている姿を見てきたことが理由です。また、卒業生の子たちも何か挫折した時にD×Pのコミュニティーに帰ってきて相談してまた生きていけるという関係性を少しずつ作ってきたからだと思います。

「社会で出会えない子たちと出会い、繋がる」を作る


この関係性の広さが感覚的に格差や階層の固定化のようなものを打開していくんじゃないかと僕は考えています。未来で起こっていくことにネット上ではどんどん繋がりは出てくるかもしれないですが、リアルで階層の固定化が起こってくると僕は想像しているから必要になってくるんだと。

どんな状態の子でも段階によって人との関係性が自然と変わっていくコミュニティーがD×Pになり、それが希望を持っていくためのステップになっていくんじゃないかと常に夢想しています。

リアルな場をこれから作っていくための施策のひとつとして、現状の事業以外に卒業後に卒業生たちが住める場を作っていこうと考えていて、早ければ来月からリバ邸と組んで大阪府内で住める場を作っていきます。

生きる暮らしをつくる、というの計画が結構前倒しで今、進めてきています。実際に物件も決まってきたので、始まるのが楽しみです。

また、リアルな場での関わりの二つ目として、うちの高校生たちで起業したいと思っている子たちも多かったり、うちが関わっている高校以外で就職相談をしたいと考えている子たちが多いため、高校生だけが通える高校生コワーキングスペースを作っています。

写真 高校生コワーキングに通っている高校生たち。

写真 高校生コワーキングの高校生たちが企画して月に一度ぐらいのペースで起業家を招いてイベント。8月も何かするみたい。

事務所も狭くなってきたので、倍ぐらいのスペースに今年中に移転しなければ。。。

この3年間で、学校の中で作ってきたなかなか出会えない高校生たち、つまり自らツイッターで能動的に動いてくることはなく、経済的に厳しかったり社会的に厳しい環境の子たちとの関係性を作り、他のリアルで多種多様な大人がいる居場所や次のステップにいける場を関西圏内で作っていきます。機会や持続可能性があれば、展開している札幌や岡山、関東圏内でも。

また、卒業生もそれを巻き込みたい。卒業生たちが自分で起業し、起業の分野はどの分野でもいいのですが、僕たちのビジョンに共感してくれるならば一緒に事業を作れるような環境づくりをしていきたいと思っています。

そうすることで、高校生たちや就職したい卒業生たちが働ける場になったり、誰かが転職したいと思った時にまた安心して相談して旅立っていけるような開かれたコミュニティーを作っていきたい。

もちろん、自分たちだけでつくっていくわけではなく、他の企業とかも一緒にやっていける企業さんともそういった関係性になっていけばいいと思っています。

学校現場やこれまで誰も支援したことがない厳しい家庭の子たちと出会う場を作りながら、サポートのステップも自分たちのコミュニティー内で作り、卒業しても関われるようにしていく。課題はその都度出てくるかもしれませんが、一個一個作り出していきたいと思います。

実現させていくためにも寄付を集め、事業は事業で作りたいと思うし、一緒に動きたい人はぜひ寄付や提携の話など何かあれば声をかけてほしい。

「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会」へ。D×Pと一緒に何かできたら嬉しい。いずれは課題を抱えるアジア各国にも広げるよ。


あと、最後に話しておきますが、結構僕は事業計画外でも動くことがあります。D×Pが将来的に経済圏になっていくためのことも考えているので、他にもいろいろと始まるでしょう。楽しみです。

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