「ダウンタウンDX 」(1月20日放送)出演者寸評。3位・インディアンスではなく、8位・モグライダーが呼ばれた理由

 「M-1 & THE W 賞レースファイナリスト芸人SP」と題して放送された、先日のダウンタウンDX。錦鯉、オズワルド、オダウエダ、 Aマッソ等々、1カ月前に行なわれたM-1グランプリ及びTHE Wで結果を残した芸人たちが集められた、個人的に興味を唆られる放送回だった。

 思い出すのはおよそ1年前。2021年2月4日。ダウンタウンDXでは、今回とほぼ似たような内容の企画が昨年も放送されていた。その出演者は、次のような顔ぶれだった。

 マヂカルラブリー、おいでやすこが、見取り図、吉住、3時のヒロイン、陣内智則。

 直近のM-1グランプリ上位3組と、THE W 王者の吉住。それに加えて、THE W 2019 優勝を機に2020年に大ブレイクした3時のヒロインと、おそらく若手のまとめ役として呼ばれた陣内智則。

 昨年放送されたこの賞レース芸人の回は、1年が経った今でもよく覚えている。とても面白かったからだ。出演した全員が活躍したと言ってもいい。華々しく、そしてハイレベル。筆者が昨年見たダウンタウンDXの中では、最も印象に残る放送回だ。

 マヂカルラブリー、おいでやすこが、見取り図。「2021年ブレイクタレントランキング」でも上位を占めた彼らの活躍は、年始に放送された例のダウンタウンDXを目にしたこちらにとっては、ある意味必然に見えた。DXでのダウンタウンらとの絡みには、後の飛躍の匂いを大いに感じさせた。そうした言い方ができる。

 先日のダウンタウンDXに僕が注目した理由はここにある。THE WとM-1から1カ月。ここで活躍する芸人は誰なのか。存在感を見せるのはどのコンビか。ここで活躍を見せた芸人は勢いそのまま年末くらいまでは突き進んでいくとは、個人的な見解になる。

 松本さんとうまく絡んだ人はおそらく売れる。昨年のおいでやす小田はまさにその代表格。DXで見せた勢いそのままに大ブレイクしていったという感じだった。

 話を今回の放送に戻せば、こちらの読み通りというか、やはりそれなりに面白かった。あえて欲を言えば、昨年のように陣内智則がいた方が、番組はもう何パーセントか面白いモノになっていた気がする。ツッコミ兼裏回し的な役割をこなす陣内と、フレッシュな芸人たちとの絡みも見てみたかった。

 先日のダウンタウンDXを経て、今後の可能性をどれほど見せることができたか。個人的に筆者が感じた印象を今回、出演者それぞれについて述べてみようと思う。


・錦鯉(M-1グランプリ2021・優勝)

 2021年ブレイクタレントランキング第6位。そのM-1優勝前から、錦鯉はすでにブレイクしていた状態だった。DXには昨年も出演している。こう言ってはなんだが、もう死に物狂いで頑張る必要はない。コンビとしてのスタイルもすでに確立できている。今後はマイペースで十分。渡辺が設楽(バナナマン)や若林(オードリー)のような存在になれば、コンビとしてのカリスマ性はより高まるはずだ。渡辺にはその力があると僕は見る。長谷川は今の感じでも十分だが、渡辺はもっと上に行く可能性を秘めている。今回の放送でもキレのあるトークを随所で披露。将来、M-1の審査員になってもおかしくないのではないか。錦鯉の見どころは渡辺にあり。今年はそんな渡辺の活躍を多く見られそうな気がする。

・オズワルド(M-1グランプリ2021・準優勝)

 錦鯉同様、オズワルドに関しても、トーク番組で活躍するのはボケではなくツッコミの方。畠中ではなく伊藤の方が、どの番組でも明らかに目立っている。DXでも同様。伊藤はこの日、出演者の中で1番と言える存在感を見せつけた。トークよし、ガヤよし。昨年からその活躍はちらほら目についていたが、今回のM-1準優勝により、芸人としてさらにひと回り大きく見えるようになった。いわば、自信が漲っているという感じなのだ。だから前に出ることができる。トークにガンガン入っていくことができる。伊藤が大きく跳ねるのはおそらく時間の問題だろう。そんな伊藤が目立つほど、ボケ担当・畠中の存在感が希薄になる。この現実をどうするか。錦鯉との違いはここだ。錦鯉のボケ担当・長谷川のキャラは立っているが、オズワルド・畠中のキャラは全くと言っていいほど浸透していない。ボケの方がキャラが薄いというのは、従来のコンビとは少々異なるタイプと言えるだろう。それがオズワルドの特徴とも言えるが、このままでも特段大きな支障はない。今回のDXではあまり喋らなかったが、畠中も十分面白い。変わり者ではあるが、いわゆるポンコツ系ではない。このまま露出が増えていけば、いやが上にも畠中が目立つ場面はやってくる。畠中が活躍する姿もまた見てみたい。

・モグライダー(M-1グランプリ2021・8位)

 昨年はM-1の上位3組が出演したこの企画。前回と同様ならば、今年ここに出演していたのは、3位のインディアンスだったはずだ。つまり言ってみれば、モグライダーはインディアンスを押しのけて今回の出演権を得たことになる。もちろんその事情は知る由もないが、少なくとも番組側のモグライダーへの評価が高いことが浮き彫りになった出来事と言えるだろう。「インディアンスより、モグライダーの方が面白そうだ」。そうした思惑を抱いていた人が、制作側に何人かはいたのではないか。そしてその選択は間違いではなかったと僕は思う。DX初出演にも関わらず、モグライダーは面白かった。ダウンタウンとのまともな絡みも、この収録がおそらく初めてだったはず。にも関わらず、キチンと活躍した。ともしげも悪くなかったが、やはり効いていたのは芝だ。オズワルド・伊藤に負けず劣らずの活躍を見せたとは、個人的な感想になる。このままの感じでいけば、芝の評価はまだまだ上がる。半年後、果たしてどうなっているのか。「アメトーーク」、「ロンドンハーツ」あたりで活躍するモグライダーの姿をまた見てみたいものである。

・オダウエダ(THE W 2021・優勝)

 こうした番組で見かけるのは初めてになる。纏っているムードはそれほど悪くない。なんとなく面白いことを言いそうな雰囲気はある。今回は及第点の活躍だったが、その評価が定まるのはまだまだこれからだ。3時のヒロイン、吉住など、過去のTHE W優勝者たちと比較すれば、その活躍度合いをある程度は押し量ることができる。例えば吉住の場合、優勝から半年後の2021年5月には、アメトーークで自らプレゼンした「生きづらい芸人」という企画が見事に採用されている。そこで映えあるリーダー役として活躍したわけだ。3時のヒロインも同様にアメトーークやロンドンハーツなどで活躍。福田(3時のヒロイン)は「全力!脱力タイムズ」に出演するなど、1人での活躍もかなり目立っている。吉住や福田ほどではなくても、オダウエダも今後それに近い活躍を見せられなければ、少なくとも物足りなく見えることは確かだ。オダウエダが、アメトーーク、ロンドンハーツ、ゴッドタンなどに出演する機会は必ずやってくる。そこでどんな活躍を見せることができるか。現状ではまだAマッソの方がよく見える。今後の活躍を期待したい。

・Aマッソ(THE W 2021・準優勝)

 THE Wの少し前から、ある程度人気者の仲間入りを果たしていたAマッソ。オズワルドのように準優勝の自らを笑えるというか、ある種の余裕を持ち合わせていることが、その実力を暗に示していると言ってもいい。彼女たちもオズワルドと同じく、コンビ間での存在感に違いがある。よく喋る、目立つのはネタを作っている加納の方だ。ひと言でいえば、口が立つ器用なタイプ。一緒に番組をやっている福田(3時のヒロイン)やサーヤ(ラランド)などど同様、バラエティ番組でグイグイ前に出ることができる、現代的な女性芸人のひとりだ。M-1では過去に準決勝まで進出したこともある。その売れそうな気配は、すでに4,5年ほど前からある程度漂ってはいた。THE Wでの活躍によりブレイクした感じだが、こちらはあくまでも裏街道。個人的にはM-1、あるいはキングオブコントで決勝まで行ってほしい。そうなれば文句なし。女性芸人のトップに立つことができる。

・茶々(THE W 2021・ファイナリスト)

 先月のTHE Wで初めて目にして以来、テレビで見るのは2度目になる。陣内智則をあえて呼ばず、ほぼ正体不明の芸人をキャスティングした。そうした言い方をしてもいい。芸歴は2年。1人ではまだトークで笑いを取る力はない。ウケてはいたが、それはあくまでも色物的なモノ、周りの助けがあってこその笑いだった。今回のDXを見た限りでは、ブレイクするかは微妙なところ。同じ女性芸人ならば、荒川(エルフ)とか、やす子とか、高木ひとみ○(ぽんぽこ)のように、何かしらのわかりやすい特徴が欲しい。あるいはピン芸人ならば、吉住のようにトークでキチンと笑いを取れる力が必要になる。今回はあくまでもおまけ。2度目、3度目の出演こそ、その実力の証明になる。

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