「クイズ☆正解は一年後」のレイザーラモンRG

 毎年、12月30日の深夜にTBSで放送される「クイズ☆正解は一年後」は、筆者が1年の中でも、特に楽しみにしている番組の一つだ。2013年から始まり、放送は今年で9回目。今回も面白くなりそうな匂いはプンプンする。生放送のため、スタッフや出演者でさえ何が起こるかわからないところも、この番組の大きな魅力の一つだ。

 その年の1月の収録にて、「今年起こりそうなこと」を予想するクイズを出題・解答し、約1年後の同年12月末に答え合わせを行い、ポイントを競うこの番組。年末の部分は生放送で行われ、1月収録分に出演したゲストが、スタジオで1月収録のVTRを視聴する形で番組は進行される。

 もしノーベル賞にお笑い部門があるならば、この番組の仕組みを考え出した人は、間違いなく受賞しているに違いない。視聴者の娯楽性を高める最高のアイディアと言うべきだろう。

 予想外の出来事が、そのまま番組に大きな影響を与える。わかりやすいのは2019年の放送回だ。闇営業問題による田村亮(ロンドンブーツ1号2号)の不祥事により、最も面白いとされる出題ブロックのスタジオ映像が一切使用出来なくなり(ただし、フリップでの解答部分などは静止画で対応)、番組内容の大幅な変更を余儀なくされた。その分、面白さもガクンと減ることになった。

 昨年、2020年の放送回はかなり良い出来映えだったと思う。想定外のコロナ禍という中で、めちゃくちゃ面白い番組を見せてくれた。ちなみに、筆者が最も笑ったのは2016年の放送回。中でも「2016年のサザエさんで放送されるタイトルは?」という問題で披露された、サザエさんの次週予告風VTRは凄かった。いま思い出しても吹き出したくなるくらい、超弩級の面白さだったと思う。

 近年は、インスタグラムによるシークレット企画も見逃せない。今年も何らかの企画がすでに進行している。どんな内容なのか、今のところまだよくわからないが、面白味あふれる企画であることは間違いないだろう。

 番組のインスタグラムに投稿された写真を見れば、まだ正式に発表されていない今年の出演者の顔ぶれが、ある程度判明している。有吉弘行、おぎやはぎ、FUJIWARA、田村亮、レイザーラモンRGら、お馴染みのメンバーは今年も健在だろう。その他には、川島明(麒麟)、庄司智春(品川庄司)、生見愛瑠、松陰寺太勇(ぺこぱ)らの姿も目に付く。こうしたタレントの組み合わせから、果たしてどんな出来映えの番組になるのか。2ヵ月後が楽しみだ。

 くっきー!(野性爆弾)もこの番組のレギュラー的存在になる。インスタグラムにその姿が映る写真は、いまのところは公開されてはいない。出演するのかどうかはまだなんとも言えないが、彼と似たような立ち位置のレイザーラモンRGは、今年も間違いなく出演するはずだ。

 レイザーラモンRG。この芸人の実力は、はっきり言ってかなり高い。だが、この人を初めて見たときは、正直、活躍する現在の姿は全く想像できなかった。

 筆者がRGを初めて見たのは2005年。テレビ朝日で放送されていた「笑いの金メダル」だったと記憶する。その頃は、当時大ブレイクしていたレイザーラモンHGの相方として主に出演。HGが普段はコンビだということ知ったのも、この時が初めてだった。HGと似通った衣装を纏いながら、相方の暴露話を叫んでいた荒っぽい芸ネタに、売れそうな気配はほとんど感じなかった。

 どちらかと言えばすべり系の芸人だったレイザーラモンRG。そんなRGのイメージに変化が起きたのは、TBSのバラエティ番組、「リンカーン」でのことだった。2009年1月13日にリンカーン内で放送された『あるある芸人タワー』。芸人たちが様々なあるあるネタを披露するこの企画で、RGは市川海老蔵に扮したキャラクターで“歌舞伎あるある”ネタを披露した。

 少々大袈裟に言えば、このネタによって、RGの芸人人生は激変した。放送当時はまずまず面白いという感じだったが、時が経つにつれて、その評価はジワジワと上昇。「有名な曲に乗せて、引っ張りまくった挙句に、最後に大したことない“あるあるネタ”を1つだけ言う」。後にこのスタイルがRGの代名詞となっていった。

 2010年には、アメトーークで「RG同好会」という彼個人をフィーチャーした企画も放送されている。また、リンカーンではその後も、“あるあるネタ”で存在感を発揮。今からおよそ10年前、2010年〜2012年頃の話になる。この頃には、かつて一世を風靡した相方のHGを完全に逆転していた。スベリ芸人という匂いも、ほぼ消滅していた思う。

 “あるあるネタ”を除けば、特筆すべきはモノマネになる。ホリや原口あきまさのような、いわゆる本格派ではないが、ネタそのものは滅茶苦茶面白い。細川たかし、スティーブ・ジョブズ、落合博満、リーチ・マイケル、森進一、おいでやす小田等々、その着眼点というか、目の付け所がまず面白い。髪型を真似たり、肌を真似たりなど、ほかのモノマネ芸人とはどこか一味違う。独自の面白さを伝えることに、RGは見事に成功している。

 かつての「クイズ☆タレント名鑑」、そして「クイズ☆正解は一年後」などを見れば、大喜利センスが高いこともよくわかる。IPPONグランプリに出場しても結構いい線いくのではないかと僕は思う。

 ここまで鮮やかに立場が逆転した芸人コンビも珍しい。スベってもびくともしないハートの持ち主だと言われたこともあったが、近頃は、そのスベる姿をそもそも見なくなっている。最近で一番印象に残るのは、今年3月10日に放送された「水曜日のダウンタウンSP」の『“まだ誰もやってない”モノマネ王座決定戦』という企画だ。そこでRGが披露したピン芸人・AMEMIYAのモノマネは、そのクオリティも含め、滅茶苦茶面白かった(対戦相手の神奈月が披露したAMEMIYAのモノマネもかなり面白かったが)。

 5年後や10年後の活躍も、容易に想像できるRG。「クイズ☆正解は一年後」でのマニアックなモノマネやあるあるネタも、筆者は毎度楽しみにしている。今後もモノマネ芸の幅を広げるような、オリジナリティ溢れるネタを披露し続けてほしいものだ。

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