ラグビー情報11月第1週目
1.トライネーションズ第1節
ブレディスローカップ第3戦兼トライネーションズ(TN)第1戦、ワラビーズ対オールブラックス、
雨模様のシドニー、ANZスタジアム。オーストラリア・ワラビーズは、負ければ18年連続でオールブラックスに保持されるブレディスローカップを取り戻し一歩近づけるかがちゅうもくされた試合でした。
4分、ワラビーズ14番WTBフィリポ・ダウグヌが、ハイボールをジャンプしてキャッチするオールブラックス11番WTBカレブ・クラークの足元に思い切り入って、クラークを逆さまに落とす。TMOの結果、明らかにレッドカード(退場)相当のプレーだが、オーストラリア人レフェリーでTMOを担当するアンガス・ガードナーは、シンビンの温情判定。
7分、オールブラックスが、中央ゴール前5mラックから左展開。SHアーロン・スミスから、斜めに走り込んできた1番PRカール・ツイヌクアフェにパスして、左中間にトライ。ツイヌクアフェのPRとは思えない見事なアングルラン。SOリッチー・モウンガのコンバージョン成功で、0-7。
9分、オールブラックス14番WTBジョルディ・バレットが、タックルにきたワラビーズFBダン・ハイレットペティの顔に前腕を当てて、TMOの結果シンビン。
11分、オールブラックスが、SOモウンガからの右サイドから左コーナーへのキックパスを取ったHOダン・コールズがインゴールに入るが、TMOの結果、ノッコンしていてノートライ。
14分、オールブラックスが、右中間ゴール前15mモールから右展開。最後尾のHOコールズが前に持ち出して、右の11番WTBカレブ・クラークにロングパス。クラークはそのままインゴール右スミに入るが、TMOの結果、ワラビーズ11番WTBマリカ・コロイベテのタックルでタッチに出ていて、ノートライ。
21分、オールブラックスが、中央20mモールから右展開。SHスミスが左へ走った後、クロスで走り込んできたSOモウンガにパスして、右中間をラインブレイク。そのまま走り切って右スミにトライ。モウンガのコンバージョン失敗で、0-12。
27分、オールブラックスが、自陣22m中央からFBボーデン・バレットがショートパント。これをチェイスしたSOモウンガが取って、そのまま60m走り切って中央にトライ。モウンガのコンバージョン成功で、0-19。
30分、オールブラックスが、ゴール前左スミ5mラインアウトからモールを押して、HOコールズが左スミにトライ。モウンガのコンバージョン成功で、0-26。
39分、オールブラックスが、12番CTBジャック・グッドヒューがインゴールに迫るが、ゴール前でタックルされてノッコン。
前半、ワラビーズ0-オールブラックス26(4T3C)。
スコア通りの展開。TMOで帳消しにならなければ、オールブラックスはさらに14点を加えて、0-40になっていた内容。
42分、ワラビーズが、13番CTBジョーダン・ペタイアの好走から得た右中間ゴール前ラックから左展開。SHニック・ホワイトから走り込んできたSOノア・ロレシオにパスして、そのまま右中間にトライ。ロレシオのコンバージョン失敗で、5-26。
60分、モウンガがPG、5-29。
71分、オールブラックスが、ゴール前右スミ5mスクラムから、NO.8ホスキンス・ソツツが右に開いて、外の23番WTBリエコ・イオアネにパス。リエコはそのままインゴール右スミにトライ。ただし、このトライも右手だけでボールを持っていて反省の色なし。トライをするときは両手でタッチダウンして欲しい。モウンガのコンバージョン成功で、5-36。
74分、オールブラックスが、自陣右スミ55mのラックから左展開。SOモウンガの左に走り込んできた14番WTBジョルディ・バレットがパスを受けて、そのままラインブレイクし、60mを走り切って中央にトライ。モウンガのコンバージョン成功で、5-43。
80分、オールブラックス6番FLシャノン・フリッゼルが、ワラビーズFBダン・ハイレットペティにハイタックルしてシンビン。勝負が決まっているとはいえ、このようなプレーは猛省を要する。
82分、ワラビーズが、中央ゴール前ラックから左展開。11番WTBコロイベテがインゴール左スミに入ろうとするが、オールブラックス14番WTBジョルディ・バレットがタッチに押し出して、トライセービングタックル。試合が決まった後でもこういうプレーをすることが、オールブラックスとしては重要。隠れたファインプレー。
後半、ワラビーズ5(1T)-オールブラックス17(2T2C1P)。合計、ワラビーズ5(1T)-オールブラックス43(6T5C1P)。
オールブラックスは、テストマッチにデビューする若いSOと12番CTBを揃えてきたワラビーズに、ずいぶんなめられたようなゲームだった。スーパーラグビーレベルならまだしも、テストマッチでしかも世界一のオールブラックスと対戦するには、初キャップとなる経験値のない新人では家賃が高すぎるし、そもそも場違い、ミスマッチ。もっと言えばオールブラックスに失礼でしょう。しかし、その程度の選手しかいないワラビーズの選手層の浅さが、この結果を招いたと言える。
オールブラックスは、ブレディスローカップの18年連続保持を決め、ワラビーズとのゲームでは、1996年ウェリントンの43-6を上回る、最多得点差記録を更新した(38点差)。
個々の選手では、ワラビーズは、CTBジョーダン・ペタイア、LOマット・フィリップ、FLマイケル・フーパーが健闘していたが、焼け石に水だった。特に、WTBフィリポ・ダウグヌは、第1戦でトライを記録して調子に乗っていたが、このゲームではトイメンのオールブラックスWTBカレブ・クラークに手も足も出なかった。さらに、ワラビーズは最初クラークを狙ってハイボールを蹴ったが、クラークは難なくキャッチして、むしろチャンスをもらっていた。
オールブラックスは、前半圧倒した反動で、後半の最初の20分はさすがに気持ちが入っていなかったが、その後は実力差が素直に反映されて得点を広げた。FWでは、HOダン・コールズ、LOサムエル・ホワイトロック、NO.8ホスキンス・ソツツ、BKではSOリッチー・モウンガ、13番CTBアントン・リエナートブラウン、14番WTBジョルディ・バレット、FBボーデン・バレットが良かった。
オールブラックスと選手層とワラビーズの選手層の差が点差が広がっていたのかもしれませんがこれからのワラビーズの選手層を厚くしていくのが今後の課題になります。
2、シックスネーションズ第5戦
ウェールズ対スコットランド
ウェールズのキャプテンでLOのアルンウィン・ジョーンズが、オールブラックスのリッチー・マコウの世界記録148試合を抜いて、149試合目となりますが、欧州のコロナウイルス影響で無観客試合となり、とても寂しい風景でした。
9分、スコットランドSOフィン・ラッセルがPG、0-3。
30分、ウェールズ1番PRリーズ・ケアーがトライ。SOダン・ビガーのコンバージョン成功で、7-3。
40分、スコットランド22番SOアダム・ヘイスティングスがPG、7-6。
前半、ウェールズ7(1T1C)-スコットランド6(2P)。
60分、スコットランド16番HOスチュアート・マキナリーがトライ。ヘイスティングスのコンバージョン失敗で、7-11。
65分、ウェールズFBリー・ハーフペニーがPG、10-11。
80分、スコットランドFBスチュアート・ホッグがPG、10-14。
後半、ウェールズ3(1P)-スコットランド8(1T1P)。合計、ウェールズ10(1T1C1P)-スコットランド14(1T3P)。
イタリア対イングランド
これも無観客試合だが、歓声を人工的に入れているのが余計に寂しい。イングランドSHベン・ヤングスが100キャップ。また、HOジェイミー・ジョージが50キャップ。
4分、イングランドSHベン・ヤングスがトライ。SOオウウェン・ファレルのコンバージョン成功で、0-7。
12分、ファレルがPG、0-10.
17分、イタリアNO.8ジェイク・ポレドリがトライ。SOパオロ・ガルビシのコンバージョン失敗で、5-10。
21分、イングランド5番LOジョニー・ヒルがシンビン。
37分、イタリアNO.8ジェイク・ポレドリがシンビン。
前半、イタリア5(1T)-イングランド10(1T1C1P)。
40分、イングランドSHヤングスがトライ。ファレルのコンバージョン成功で、5-17。
51分、イングランドHOジェイミー・ジョージがトライ。ファレルのコンバージョン成功で、5-24。
67分、イングランド6番FLトム・カリーがトライ。ファレルのコンバージョン失敗で、5-29。
72分、イングランド12番CTBヘンリー・スレードがトライ。ファレルのコンバージョン失敗で、5-34。
後半、イタリア0-イングランド24(4T2C)。合計、イタリア5(1T)-イングランド34(5T3C1P)。
フランス対アイルランド
ここも無観客試合の寂しい風景。優勝を決める一戦という盛り上がりが全くない。
5分、アイルランドSHコナー・マリーがPG失敗。
7分、フランスSHアントワーヌ・デュポンがトライ。SOロメイン・ヌタマックのコンバージョン成功で、7-0。
9分、フランスFBアンソニー・ブティエールが、ゴール前に上がったアイルランドSOジョナサン・セクストンのキックを、手で弾いてタッチに出し、アイルランド選手に取らせないようにしたため、シンビン。TMOの結果、当然ペナルティー・トライになるかと思ったら、レフェリーのウェイン・バーンズはPKのみ。この人はフランス贔屓なのかも知れない。というより、アイルランドを勝たせなければ、自国イングランドが優勝するからか?中立性を維持するためには、この試合のレフェリーにイングランド人は相応しくなかった。
19分、アイルランド1番PRキアラン・ヒーリーがトライ。SOジョナサン・セクストンのコンバージョン成功で、7-7。
25分、セクストンがPG、7-10。
30分、フランスが、インゴールに転がったボールをタッチダウンしようとしたとき、アイルランド選手が足を引っ張って、ペナルティートライ。アイルランド6番FLカエラン・ドリスがシンビン。これは当然だと思うが、だったら、9分のアイルランドにもペナルティートライを与えるべき。
33分、セクストンがPG、14-13。
37分、ヌタマックがPG、17-13。
前半、フランス17(2T2C1P)-アイルランド13(1T1C2P)。
44分、フランスSOロメイン・ヌタマックがトライ。コンバージョン失敗で、22-13。
47分、ヌタマックがPG、25-13。
52分、ヌタマックがPG、28-13。
60分、アイルランド13番CTBロビー・ヘンショウがトライ。セクストンのコンバージョン成功で、28-20。
71分、フランス13番CTBヴィリミ・ヴァカタワがトライ。ヌタマックのコンバージョン成功で、35-20。
この時点で、イングランドのシックスネーションズ優勝がほぼ確定。
80分、アイルランドFBジェイコブ・ストックデールがトライ。セクストンのコンバージョン成功で、35-27。
後半、フランス18(2T1C2P)-アイルランド14(2T2C)。合計、フランス35(4T3C3P)-アイルランド27(3T3C2P)。
【シックスネーションズを終えての個人的見解】
2023年のフランス大会に向けてはイングランドと開催国のフランスはいい状態で大会に臨めている。一方で日本と対戦したスコットランドとアイルランドは世代交代が進んでいるが課題は山積みで来年のシックスネーションズまでにどこまで個々のレベルアップできるかを期待したい。
ウェールズは昨年ワールドカップ4位の成績を収めていましたが、ヘッドコーチが変わってチームの歯車がチグハグでチーム内での連携がうまくいけば結果もついてくるでしょう。
イタリアは欧州の5チームとの差がありすぎて2015年のワールドカップ以降は依然と未勝利で勝てるチャンスはあってもあと一歩で勝てる試合を落としているのが気になりますが、長く見る必要があります。
3、関東大学対抗戦第4節
帝京大学 vs. 早稲田大学
ここまで対抗戦で全勝同士の対決。前評判では、「今年の帝京大学はとても調子がいい」と帝京大学が優勢です。
注目選出は 早稲田大学 WTB 槇瑛人選手 帝京大学 SO 高本幹也選手
試合を開始して8分、相手のゴールライン10mのところでスクラムを組んだ早稲田大学は、早い展開で走りこんできたCTB平井選手にボールを回して一気にトライ。先制点を取ります。引き続き、前半13分には、帝京陣10mからのラインアウトを取った早稲田が横に展開、CTB長田選手が帝京のラインを突破して約30mの独走。ゴール前で捕まったものの、早稲田は早いフォローでボールを保持し、最後はFL村田選手がトライ。トライはもちろん美しいのですが、スクラムやラインアウトからの展開を見て「あれ、帝京・・・?」と前評判との違いに違和感を感じました。
その後は帝京の攻撃。18分にトライを取ると、その後の前半25分には早稲田のゴールライン近くの早稲田ボールのスクラムを、帝京が強い押しでボールを自分たちのものにすると、そのままゴールラインを越えたところでNo.8奥井選手が押さえてトライ。キックも決まって逆転します。
前半は両チームがさらに追加点を取り、19 - 19 の引き分けで折り返します。
後半は早稲田ペース。相手陣でフェーズを重ねて取り切るCTB長田選手、40m余りのランで相手を振り切ったWTB槇選手のトライ など、点を取るべき選手がとる展開です。FWで押し込むトライもあるなどパターンも多彩です。一方の帝京大学は、バックス(WTBやFBが)がボールを持って走るシーンが少なかったように思います。
最終的には、両チームとも得点を取りましたが、18点差で早稲田大学が勝利しました。
明治大学 vs. 慶応義塾大学
伝統の「慶明戦」。初戦で筑波大学に敗北している慶應義塾大学と、先週の試合で筑波大学に勝利している明治大学。昨年の対抗戦優勝の明治大学が圧勝すると思われていたが、慶応義塾大学の意地が感じられた試合で接戦になるのは予想外でした
開始早々から、両チームとも攻撃しきれません。相手陣不可個まで攻め込むものの、ディフェンスが押さえて相手の反則を誘い、攻守が交代する展開です。慶應がPGで先制するものの、最初のトライは明治。前半13分に慶應が明治陣深くまで攻めてきたところで、慶応のパスを明治のSO斎藤選手がインターセプト。奪ったボールをロングキックで前線に進めると、ボールに追いついた明治がさらにキック、最後はインゴールに転がったボールをSO斎藤選手が押さえてトライを決めます。
7 - 3 で明治がリードして前半を折り返しました。
後半も引き続き、点が動きません。ようやく点が入ったのは後半も折り返しが近くなってきた16分。明治のゴールライン10mのところでの慶應のラインアウトで、しっかりボールを取ってそのままFWがトライ。慶應が逆転します。その後33分で、明治が自陣内のスクラムから出たボールをR(CTB)斎藤選手がロングランで前線にもっていくと、フォローで並走してきたR(WTB?FB?)髙比良選手に渡して、そのまま走りきってトライ。再度明治が勝ち越します。
後半の40分が経過し、このまま明治の勝利で終わるのかな・・・と思い始めたころ、慶應はまだ攻め続けます。明治陣でアドバンテージをもらった慶應はFB山田選手がドロップゴールを狙います。惜しくも外れるものの、アドバンテージでペナルティーゴールを選択した慶應、同じくFB山田選手がしっかり決めてロスタイムでの逆転劇となりました。
最終的には両チームで3トライ、トライ数の少ない慶應義塾大学がPGで得点を重ねて、手堅く辛勝した点数の勝利となりました。
明治大学は最終戦まで全勝して早稲田大学との全勝での対戦で対抗戦の連覇はとても難しい状態になりますが最終戦の早明戦までガチンコ勝負に期待しましょう。
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