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【体験談】君はなぜ軍資金を持ったまま飛んでしまったのか(後編)

この記事は続き物です。
前編を読んでない方は、以下の前編記事を先にお読み下さい。

【体験談】君はなぜ軍資金を持ったまま飛んでしまったのか(前編)

連チャン機の出玉性能に脳を焼かれてしまったたけしは、私が大学に通っているときやノリ打ちをしない休日にはウルトラセブンに手を出すようになってしまいました。彼のホームの交換率は42玉で釘も悪いボッタ店。現金投資で実質当たり確率600分の1のウルトラセブンに没頭してしまったため、まあ負けるんですよ。

せめて「持ち玉遊戯になったら粘ったほうがいい」と助言するも、オカルトを覚えたたけしは「もうこれ以上は出ない」と思ったところで強制終了し交換してしまうので、自分の首をどんどん絞めていきます。

そんな日々がしばらく続いた後、アクアパラダイスの乗り打ちをしようと並んでいる中、たけしがこう言います。
「軍資金がないから金貸してくれんか?」と。

たけしよ、もうそんなところまで負けこんでいるのか・・・

羽根物の安定感は抜群なので、日々クセ良し台のみを追っていれば大きく負けこむことはほとんどありません。当日の軍資金がない、というのは本当にやばさを感じたため、その日稼働終わりに真剣に話し合いをしました。

「ウルトラセブンに手を出すのはやめよう。アクアパラダイスでコツコツ稼げばよかろうが」
「押し引きをちゃんとすれば勝てるけん大丈夫!」

その押し引きができないから負けてるんじゃないの・・と引き留めますが聞く耳を持ちません。その日はお互いかなり感情的になりひどい言い争いになってしまいましたが、最終的な妥協点として「ウルトラセブンの釘が甘い店を見つけて、ボーダー稼働を取り入れる」ことで合意に至ります。

店舗探しが難儀するかなあと思っていたのですが、候補店はすぐ見つかりました。

その店は最近グランドオープンしたばかりの郊外型の新鋭店で、開店イベントには当時人気者だったボブ・サップを営業に呼ぶ気合の入りよう。この店は当時まだ珍しい貯玉再プレーが可能で、初期投資がかさむ連チャン機との相性もいい。さらにウルトラセブンの島に何台かクセのいい台があり、持ち玉100%であれば日当がでそうなことが分かりました。たけしとクセ台調査の最中に確変のヒキにも恵まれ、稼働に十分な貯玉も確保済。立ち上がりは順調です。

ウルトラセブンのボーダー稼働が始まってからは、連チャン機の出玉の波に翻弄されながらも(今思えばかなり運がよかったのですが)極端な不ヅキに遭遇することなく着々と期待値を積んでいました。ただ時給換算では1500円弱と今一つだったため、私はより時給が取れるアクアパラダイスを優先して稼働し、たけしはウルトラセブンのデキ台、という立ち回りになっていきます。

そして、翌日にノリ打ちを控えた晩に

「明日の稼働俺の貯玉カード残数だと一日持たない可能性あるからお前の貸してくれんか?」

とたけしから電話が入りました。

会員カード内貯玉の共有利用。

今はどの店も禁止ですが、当時この店ではカード内貯玉含め持ち玉共有自由を謡っていました。私のカードにはその時5万発程の貯玉があったため、残数の少ないたけしはこれをあてにしたのです。私は別店舗でアクアパラダイスを稼働予定でしたので、当日の朝たけしに貯玉カードを渡し「倍にして返してね」と伝え別れました。


これがたけしと交わした最後の言葉となりました。


その日からたけしと電話が繋がらなくなりました。メールにも反応なく電話の折り返し無し。心配になり翌日たけしのアパートに行ってみると既にも抜けの殻。地元の知り合いを通じて連絡をとろうとするも誰も連絡が繋がりません。会員カードを預けていたことを思い出し、店舗で再発行し確認すると貯玉はきれいに無くなっていて、ここでやっと「たけしが飛んだ」ことを確信しました。

金を持ち逃げされたことを認識してからの最初の感情は「悲しみ」でした。私はたけしのことを友達と思い信用していたのに向こうは違ったのか。頼ってくれれば金は貸せる。期待値稼働すればすぐに返ってくるじゃないと。そこまで信用されてなかったのか、という気持ちで涙が出たことを覚えています。

たけしが何を考え、どんな事情があり飛んだのかは分かりませんが、私自身にも色んな反省点がありました。例えば連チャン機を打つことを安易に許してしまったり、貯玉カードを無防備に貸してしまったり。この経験はその後私が代打ちの仕組みをつくるときの指針に大きく影響を及ぼしました。

① スロパチの射幸性には抗えない。スロパチ経験無い若い子は打ち子に誘うな未来を潰す
② 親しき仲にも礼節あり。友達でも代打ちを頼むときは覚書を締結せよ
③ 悪事を働くメリットがデメリットを上まれば人は悪に手を染める。悪事ができない環境を整えるのが親の役目であり、やられたら自身の力量不足を恨め

たけしに飛ばれたことは悲しかったですが、今の体制はたけしがいなければできていなかったかもしれません。そういう意味でたけしには感謝していますし、将来もし彼と再会することができたら、また一緒にミナミの街に繰り出し笑い話にしたいと考えています。

最近打ち子に飛ばれた知り合いは、悲しみを抱えながらも「勉強代なのでこれから基盤整備に力を入れます」と言っています。前向きな性格の彼は周りからもサポートがもらえ、将来必ず成功するでしょう。人を使うというのは大変です。多少のことでへこたれてはいけません。

また、これから打ち子を稼働に取り入れたいと思っている方、私のような悲しい思いをしたくなければ事前準備をしっかりし、悪事ができない環境を整えてから実働に移しましょう。それが打ち子稼働を長く続けるための貴重な財産になりますから。


今日はこのへんで。


たけしへ
もしこのnoteを発見して自分のことだとピンときたら携帯に連絡下さい。まだ携帯番号は残してるし金返せとも言いません。昔話に花を咲かせましょう。


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