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【ボイトレ・脳トレ・シニアライフ】第13話


N♠「実数君とサヨナラして虚数君の仲間に入り込むと、周りの全てが虚数君だよね。そういう環境では自分だけが実数で居られる訳ないよね。虚数君になり切ると、実数世界で経験した事は、無意味となるよね。それでも良ければ、Bincoも虚数世界に引っ越してこないか?」

B♡「いい声の為になるんだったら、引っ越して見ようかしら。実数君の事、忘れちゃってもいいのね」

N♠「実数世界でのリキミとは、無縁の世界だ。この虚数世界では、リキムのが大変な努力を要するからね。何故なら、虚数一個は、無限に小さな微力しか出せない為、強い力を出すためには、密閉空間に、虚数君を大量に貯め込む操作が欠かせない。要するに、息の操作だけしか使えない世界だからね。リキム手段がない世界という訳だ。」

B♡「人の身体って、骨・内臓・血液・・・等が入り混じってるわよね。そんなヤヤコシイ環境で虚数君の動きを把握するのは滅茶苦茶難しいわね。」

N♠「虚数世界では、実数の全てを無視していいから、身体は虚数が逃げ出さない様に覆っている薄膜だけを意識すればいい。
即ち、Bincoの身体は、風船という単純な球体になるだけでいい。
こんな単純な捉え方が出来るのは、虚数世界のメリットの一つと言えるぞ。

B♡「それじゃ私は風船になり切ればいいだけね。息の出し入れはどこなのよ。」

N♠「そんなに急いだら慣れる前に気絶しちまうぞ。Bincoが虚数世界に慣れる迄、合掌のポーズからゆっくり案内するから別世界の気分を少しずつ体験しようね。」

B♡「あら、そんなに違う世界なの?ドキドキして来たわ。」

N♠「合掌の左右の手が、それぞれ肺を内蔵していると考えると、左右の手が実数世界、そして、左右に挟まれたスキマが虚数世界だ。
このスキマは外界(虚数世界)と繋がっているし、体内(実数世界)とも繋がっている。即ち、Bincoがこれから住む虚数世界は、滅茶苦茶、平べったい2次元空間だと考える事から出発するぞ。」


B♡「私が住んでる1DKより狭いんだ~。その代わり掃除が楽かもね。」

N♠「基本的には息のコントロールは球(円)の中心点だというう事を虚数国憲法として決めて置くぞ。息を吸い込めば、球の円周膜から中心点に向かって入ってくるよね。逆に、息を吐く時は、中心点から円周膜に向かって出て行こうとするよね。
虚数世界に来たからには、この仕組みは大前提となるからね。実際には円周膜全体から、息(虚数)が出入りするのではなく頭頂部の一点から、息(虚数)の出し入れを行うんだ。
声帯はその途中にあるため、息の出し入れに連動して声帯振動が誘発され声が生まれるよね。従って、頭頂部の一点が発声に係わる重要ポイントになる事は、容易に想像できるよね。
わずかなリキミもいやがる声帯回りの扱いは、虚数世界特有のリキミの入り難さを考えると、虚数世界では比較的容易となるかもね。」

B♡「私は身体の中心点は、尾骶骨辺りだと思ってるけど、風船に変えても同じなのかしら?」

N♠「実数世界の中心点は虚数世界の中心点と考えていいぞ。どちらの世界でも中心点は同じと考えよう。この点は力を生み出す為の支点と考えると分り易いかな。従ってこの中心点が意識から離れると、ボイトレの効果は急降下するぞ。」

B♡「円周膜がすべて閉鎖されていると、息(虚数)を吐けば、出口が無いので風船は膨張するわね。更に息(虚数)を吐き続けると、頭頂部の閉鎖が耐えられなくなると、息(虚数)は外部に放出され連動して声帯部に息(虚数)が流れるのよね。息(虚数)を吐けば声が生まれる仕組みは分かるけど、息(虚数)の吸い方が今一分らないわ。」

N♠「極端に言うと、吸う息(虚数)は意識しなくていい。息(虚数)を吐けば反動で、息は自然に吸い込まれる。虚数ルールとして丸暗記しておこう。このルールが分かっていれば、息(虚数)を強く吐けば、反動で強く吸い込めるので、歌唱力のキャパはかなり上がるはずだぞ。」

【数学好きの方の為のボイトレ数式コーナー】
円周膜の内、息(虚数)が出入りする頭頂部の一点は、前後・上下を走る一本の円周線の一点に置き換える事が出来ます。
この1次元の円周線2πrの頭頂部を息(虚数)の出入口と考えれば、息(虚数)の出し入れは極めて楽に扱えます。虚数を微力で自由自在に扱えると、声の深さ・声の表現力・声の安定性が急速に進化します。
単純な1次元数学の活用は複雑なボイトレのシンプル化を推進してくれます。


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