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文字起こしは写経のようなもの

長年やっているので、耳と指が連動しているんですよ。
『蟲師』に「筆の海」というエピソードがあるけど、ぐじゃぐじゃに散らばった文字列を箸でつまみ出して紙に固定する、あんなイメージ。
耳から入った情報が、私の腹と指とキーボードを通過して、紙に転写される感じ。

だから、AIが起こしたテキストも、人間が起こしたテキストも、リスピークする自分の声すら全部「ノイズ」。

指や腰への負担を考えると、どうなのか分からないけども、
聞いて腹に落として打鍵したほうがずっと楽しい。今のところは。


カーソルを左右に動かす
句読点を打つ
delete・backspaceで文字を消して、正しい(と思う)文字を追加する

このあたりの省力化は何か見えてきたような(そうでもないような)気はするけど。一番の問題は、一度テキストを見てしまったら、もうそうとしか聞こえないこと。
間違い探しの方が難しい。

それに、誤字脱字、変な日本語を気にしない人も増えているっぽい。
和文タイプの熟練者も、縫製の熟練者も、手で図面を書いていた設計者も、
こういう気持ちでいたんだなと、いまさらながらだけど思う。
私自身、「しまむらで十分」な人間だから、自分がその番になっただけと思うようにしたい。軽く、軽くね。


『蟲師』のエピソードはこちらの2巻。
もうずいぶん昔の漫画だけど、古びないね。


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