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初めてオバケを見た話


私は、目に見えない・見たことがないものを大体信じている。

オバケ、妖怪、宇宙人、鬼、天狗、河童、ツチノコ、龍などなど・・・

それらが今も全て存在しているとは思っていないけど、伝説のものはその当時似たような人や物があったんだと思っている。いてほしい、という気持ちもある。

中には全く信じていない人もいるかもしれないけど、何を信じるか信じないかは個人の自由だし、これからする話を作り話のように捉えられても別に良い。
実際に、私は霊感ゼロでそれまで一度も見たことはなかったけど、幼馴染のお母さんにハイパーな霊感があるから、霊的なものは結構身近に感じていた。(実際にその幼馴染と一緒にいた時に、オバケにイタズラされたこともあるけど、それはまたいつか。)


私が初めてオバケを見た話。


大学生だった頃の私は、毎日友達と遊んだり飲みに行ったりバイトしたりで毎日夜遅くに帰っていた。
その日も何てことなく、帰りは夜の11時頃だった。当時は最寄り駅まで自転車だったから、自転車を漕いで帰っていた。
夏の夜のちょっと涼しい日だったと思う。天気の良い日は決まってゆっくり自転車を漕いで、その日も例外なくゆっくり自転車をカラカラ。
昔から、月を見上げ明日の天気を考えながら帰るのが好きだった。


家のすぐ近くまで来た時に、老夫婦が柴犬を散歩しているのとすれ違った。その老夫婦は、信号のない道路を渡ろうとしていた。のどかな東京の田舎なので柴犬に紐は付けていなかった。

老人にしては夜遅めの散歩ということと、小さな道路だが信号が少なくスピードを出す車がよく通るので(おじいちゃんたち大丈夫かな・・・)という不安から、少し通り過ぎてから振り返った。


すると、老夫婦が2人だけで歩いていた。



(え?さっきの柴犬は?)


私がすれ違う時に見た柴犬は見間違いだったのか、振り返った時に偶然柴犬が見えない角度にいたのか、真相は謎だが、私にとってはその柴犬が人生で初めて見た"オバケ"だった。


オバケなんて、いても人間だけだろうと思っているかもしれないが、そんなのは分からない。私たちが見ているその人も、その人の犬も、車の上で日向ぼっこしている猫も、どれかはオバケかもしれない。

私の中では、死んだ柴犬が死んだことに気付かず、おじいちゃんとおばあちゃんと仲良く散歩していたのかな、ということにしている。良かったね。


おわり