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もしも、私がKKサポートチームだったら。ーービザ取得大作戦

超絶どうでもいい話です。この時点で、どう考えてもKK自身が獲得できるビザはない状況だと思うのですが、そもそもなぜ”抽選”という不確定なプロセスが入るH1bビザを狙ったんだろう?というところから、もしも、私がKKサポートチームだったら、どうするか?という、どうでもいいことを考えてみました。

私だったら、L1ビザからのグリーンカード狙い路線でやらせます。手順は下記の通りです。ただし、私は移民弁護士ではありませんし、移民制度は常時変わっていますのでこの通りに行けるかはわかりません。そして、これは「こうやって欲しい」と提案するものでもなく、「この手があったんじゃないの」というブレスト的なエンタメに過ぎません。登場人物は架空の人物であり、実際の人物とは関係ありません。

1)日本の大企業の窓際部門の幹部として就職させる

❶アメリカに支社がある大企業にKKを入社させる

はっきり言って、この作戦により、KKを就職させる企業には大変迷惑をかけることになります。ですので、1つくらい機能していない部門があっても平気だというくらい大企業が適しています。夫の方がそういう企業に勤務しているということで、妻の方のプライドも守られることになります。

❷新規部門を立ち上げKKを幹部にする

L1ビザというのは、基本的に駐在員に対して発行されるビザです。ビザ獲得条件に、”移動元(日本国内の企業で)過去3年間のうち1年間継続的に勤務”とか”移動元(日本)で管理職・または専門知識を有する者として勤務し、移動後(アメリカ)にも継続して管理職・または専門知識を有するものとして勤務する”等があります。

専門知識を有する者の路線は難しいので、管理職としてなんとかやらせる方向を考えます。たった1年とはいえ、間違いなく勤務を”継続させる”というのも、今回のポイントとなります。

実際のところ、通常の業務経験もほとんど持ち合わせていない彼は、実際の業務知識やスキルは新入社員と変わらないかと思います。とはいえ新入社員と同様の扱いをすれば彼のプライドから速攻退職しかねませんので、それでは作戦が失敗してしまいます。

一方、入社させた企業にかける迷惑は最小限にしなければなりません。この点で顧客対応があるような部門はあり得ません。かと言って、聞こえの良い仕事でなくては、彼は満足しないでしょう。そこで最適なのが”アメリカ市場調査部”みたいな部署を立ち上げることです。マーケットリサーチっぽいことをさせて、レポートにまとめさせるという業務ですが、結果として出てくるレポートはあくまでそれを参考にするというものですので、本業に影響はでません。もちろん、良いものが上がってきたら採用するのもアリです。

レポートという成果物が出来上がっていますので、肩書と実務経験が異なる等のLビザ却下理由を回避することができます。そのレポートを踏まえてのアメリカ転勤なのだと言い切ることもできます。

企業のサイトにレポートとしてアップロードすれば、重要なレポートのようにも見えますが、同アドレスが配布されず、一般サイトからの遷移を作らなければ、一般の人がレポートを目にすることはありません。この辺はレポートの出来栄えにより、いかようにでも調整できます。

❸ミッション・インポッシブルな部下を集める

この作戦を成功させるためには、重要なのはできる部下。L1ビザが却下される原因となるのは、名ばかりの管理職や、部下の不在等です。ビザの条件面からも、部下は必要です。

とはいえ、他部門の優秀な部下を引っ張ってくるのは、依頼する企業に申し訳ない・・・ということで、実力はあるものの、不倫等の問題で左遷された・・・というような人に復活できるチャンスとして、提案します。1年間のLビザの最低条件をクリアし、ビザが獲得できるまで、KKの勤務継続をサポートできたら、再び出世コースに戻れるというものです。

自分よりも明らかに知識もない、スキルもない、プライドだけ高い出来の悪い上司に、気分よく働いてもらうというのは、かなりのスキルと労力、そして、忍耐力が必要です。左遷されていたその人が過去にどんなことをしたのかは、わかりませんが、このプロジェクトを成功させたら、もう許して上げてもいいのではないかと思います。それくらい大変なプロジェクトになることが予想されます。

このプロジェクトで、KKをうまくコントロールできる人がいたら、彼のアメリカ勤務のサポート役の候補とします。

2)L1ビザでアメリカ支社で勤務

❶KKをアメリカ支社へ転勤させる

L1ビザ獲得で、KK夫妻のアメリカ生活が始まります。Lビザの良いところは、申請さえすれば、妻の方の就労ビザも取得可能であることです。ご本人のご希望で、就労したければ、就労も可能です。

さらに、幹部職として取得したL1ビザは、優先順位が高いEB-1で、グリーンカードの申請を行うことができるというメリットもあります。飽きっぽい夫の方が相手ですので、ビザ獲得までのスピード感は重要です。

政権によって方針が随分変わってくるものなのですが、聞いた話では、一般的にL1で1〜2年経過後に、グリーンカードを申請するケースが多いということでした。

❷グリーンカード取得できるまで、KKの勤務継続・サポート役をつける

優先順位が高いEB-1で、グリーンカード申請ができる!っと言っても、この場合のスポンサーは、会社となりますから、少なくともグリーンカード取得までは、夫の方に同社に勤務継続してもらわなければなりません。

そこで重要になってくるのが、再び、有能な部下の存在です。先ほどのサポーター候補者から選んで、できたら一緒にアメリカ勤務をお願いします。支社長と、サポーター役との連携が、業務に支障をきたさず、夫の方の勤務を継続させられる鍵となります。

彼のポジションのイメージとしては、サポーターと支社長との間の位置にいて、ハンコを押す役職です(アメリカにハンコはありませんが・・)。そして、日本本社への報告書を”とにかく立派なパワポ”にまとめることです。このパワポの下準備は、サポーターが行いますから、彼の腕の見せ所です。もしくは、サポーターが全て下準備したものを、夫の方が本社に報告するスタイルの方が安心かもしれません。空いた時間で、「ウェブサイトを立ち上げるときに注意すべきこと」等のレポートをまとめてもらっても良いかもしれません。

❸グリーンカード取得で、晴れて解雇

グリーカードが取れたら、プロジェクト完了です。夫の方とはこれでサヨナラできます。ビザの問題が解消されたことになりますので、あとは、妻の方の人脈にご興味がある方々が夫の方を雇ってくれるでしょう。

本作戦のメリット・デメリット

メリット❶:資格試験を合格させるよりも確実

一般的には、受験や資格試験で合格する方が仕事で実績を残すよりも、簡単で確実です。なぜなら、前者は自分自身の努力で何とかなるものである一方、後者は社内政治の状況、社内のチームワーク、扱うプロダクト、強豪状態等々、自分ではコントロールできない部分が大きいからです。

しかし、今回のプロジェクトは、実績を上げさせる対象が自分ではなく、KKです。勝手な憶測ですが、KKサポートチームが見誤ってしまったのが、試験合格には、情報処理能力が重要で、受験経験のない夫の方に、この能力がかけていることに気が付かなかったことではないでしょうか。

なぜ、本作戦の方が資格試験を合格させるよりも確実なのか?といえば、どんなに優秀な講師陣をつけて、試験内容に応じた知識やスキルを学ばせたとしても、情報処理能力が低ければ、試験をパスするのは難しいからです。
例えば、定期テストはできるのに、資格試験や受験等、範囲の広いテストで力を発揮できないという人がいたら、おそらくこの情報処理能力ーー大量な情報を理解し、記憶。記憶したものの中から、設問の要求するものを要求する形で回答する)ーーが不足しているのではないかと思います。違う言い方をすると、ある分野を理解したというのと、質問に回答できるのと、試験にパスできるのとは、イコールで繋がりません。

理解した>回答できる>試験にパスできる

”回答できる”と”試験にパスできる”の大きさの差となるのが、情報処理能力です。「大量の文章を読まないといけないから難しい」みたいなフォローをする報道もありましたが、読み方には必ずコツがあり、それも情報処理能力の1つだと思います。”そういう問題を出すよ”と出題者が言っているのですから、それに慣れるしかない・・・というのは、どの試験も同じ。

日本での受験経験者が語学の面でのハンデがありながらも、海外の資格試験に合格しているのは、ご本人の努力ももちろんのことながら、受験勉強を通して磨かれた、情報処理能力と集中力があるからだと思います。ここは日本人の(おそらく、同様の受験システムである中国人や韓国人にとっても)優位性だと思います。

この情報処理能力は、他人がコツを教えることはできますが、自転車や車に乗れるようになるのと同じで、本人が操縦できなければ意味がありません。受験経験のないKKには、この情報処理能力と集中力がかけている可能性があり、だとすれば、サポートチームがどんなに頑張っても、資格試験に合格させることは難しいことになります。

一方で、会社の実績は自分一人で築き上げることができない分、サポーター次第で確実な実績作りが可能となります。

メリット❷:夫の方の実績作り・継続勤務がコントロールできる

メリット❶で述べたように、会社の実績は、自分でコントロールできない部分が大きいことを逆手にとれば、サポートチームで何とか築き上げることができます。本作戦のポイントは、”本来、有能な社員であったにもかかわらず、何らかの理由で、出世コースから外れてしまった人がセカンドチャンスを手にできるかもしれないというモチベーション”を利用する点。

本件の難しさの1つは、対象者が自分自身の実力について理解していない故のプライドの高さ。サポーターは、夫の方が「俺はこんなところで燻っているような人間ではない」と言い出し、会社を辞めてしまわないような環境を作る必要があります。そのためには、単純に自身が築いた成果を夫の方に渡すだけではなく、夫の方が自分があげた成果だと勘違いできるような工夫も必要です。「俺ってば、やればできる子なんだ」「この会社こそが俺の居場所」と思えば、辞めないはずです。

メリット❸:作戦終了後、ビザの心配がなくなる

本作戦はとりあえずのビザだけではなく、グリーンカード取得までを目標としたものですので、取得後には、新たなビザの心配がなくなります。就労ビザ(H1b)は、勤務先のサポートが不可欠なビザですから、転職先が決まらないままに退職されてしまうと、その度に、サポートチームはやきもきしなくてはならないというデメリットがあります。

この作戦のメリットは、グリーンカード取得させることで、その心配がなくなることです。ビザの問題が解決さえすれば、就職先は、夫の方の妻の方の人脈目当ての人たちが色々お手伝いしてくれるでしょう。晴れて、サポートチームは解散することができます。

デメリット❶:夫の方のためにならない

夫の方の発言には、皆さんも驚かされることが多いと思うのですが、私が最もびっくりしたのは、自分が会社を立ち上げる(社長になる)ことで得られるビザについて、外務省に尋ねたというもの(報道が本当だったら・・・ですが)。大変失礼ながら、本当に彼は本当の意味での就業経験がないのだなと思いました。

「5点足りなかったから〜」と言う発言も(報道が本当だったら)、学生っぽいですよね。例えば、歩合制のセールス職で、「あともう少しで契約してくれそうだったのですが、無念です」と言ったところで、その場では「惜しかったね」「次回は頑張れ」くらいの言葉はもらえても、給与にそれが反映することはありません。仕事の厳しさを知っていたら、1点だろうと10点だろうと、足りないものは足りないのであり、それよりも同じ失敗を2回も繰り返してしまったという方が気にしてほしいものです。

結局、KKサポートチームは、彼の履歴書の見栄えを良くはしたかもしれませんが、彼が失敗から学び自ら道を切り拓いていくチャンスは、ことごとく潰してきてしまったのではないかという気もします。もちろん、夫の方自身が「失敗から学びたい」なんて考えていたかどうかは、また別の話ですが。

デメリット❷:成功させる意味がわからない

今の”弁護士資格を取ってH1bビザ獲得”路線よりも、本作戦の方が成功の可能性は高いと思います。なのですが、その一方で、成功させる意味がわからない・・・とも思います。

第一に、”夫の方”にこだわらなければならないという理由が1つもないからです。結婚に制約が生じるのは、庶民も同じ。それより何より、庶民でさえも、生活基盤が不安定な段階で結婚するなんてことは、レアケースではないでしょうか。仮に7月の試験に合格できたところで、今年4月のビザの抽選に通るかどうかは別の話。ですから、受かった場合でも、あの段階での結婚がそもそも謎でした。

第二に、アメリカにこだわる理由です。どれだけ日本に住むのが嫌だったとしても、外国はアメリカだけではないのですから。フィリピン、カナダあたりだと、観光ビザで可能な滞在期間も長めでしたし、ビザもアメリカに比べれば取りやすいはずです。なぜビザの難易度が高いアメリカにこだわるのでしょうか?

第三に、どうしても、アメリカだとするならば、どうしてもう少しきちんとリサーチしないのだろう?という点です。これだけロイヤル忖度を使いまくりするのならば、なぜ最初から、日系企業の駐在員(L1ビザ)としての派遣路線でのビザ獲得を狙わなかったのでしょうか?

今回のLビザからのグリーンカード獲得は、特に秘策というようなものではありません。アメリカ在住者で、ビザやグリーンカードの申請をしたことのある人ならばおそらく誰でも知っているレベルの話です。ネットがつながらない環境にでもいたのでしょうか?

デメリット❸:解決になっていない解決策

デメリット❶でも述べた通り、彼らのサポート・チームにとって重要なのは、KK夫妻ではなく、自分自身の出世だと思われます。そうでなければ、ご機嫌取りに走ることなく、問題をきちんと解決するようなプロジェクトを組んでいたはずだからです。ご夫妻も、そろそろ気がついた方が良いと思うのが、サポート・チームにとって、夫妻の人生は所詮ヒトゴトということです。

デメリット❷でも述べた通り、Lビザからのグリーンビザの獲得という方法は、秘策のようなものではありません。さらに、特権が使える彼らならば、一般人よりもこの方法が取りやすいはずです。それをご本人を含め、サポートチームがこの方法を取らなかったのは、国際弁護士路線策をとった方が・・・

  1. 自分の手柄を立てやすい方法だった

  2. 他人事すぎてリサーチしなかった

  3. 弁護士資格があれば、ビザの忖度が期待できると思っていた

ということが邪推できます。

ちなみに”3”について、「政治家使ったらなんとなできるんじゃない?」みたいなことを言ってくる人がいますが、個人的にはビザは変なチャレンジするものではないと考えています。というのも、少し間違えると大変なことになるため、きちんと知識のある人に相談しながら、慎重に進めるべきだと思います。
たとえば、数年前にオースティン(テキサス州)で開催された世界最大級のエンタメイベントSWSXでは、出演予定だった日本人アーティストの数組がビザの問題で、強制送還処分になってしまったということがあったようです。おそらく”例年はこれで大丈夫”や”昨年の参加者がこう言ってた”という手続き方法を取られたのではないかと思いますが、イミグレでダメだと言われると、それまでになってしまいます。

アメリカの移民制度には、グレーゾーンがたくさんあります。それを抜け穴として利用しているのが不法移民です。そして、不法移民エージェントなるものがそのマニュアルを販売しています。しかし、ある人がそれで大丈夫だったからと言って、自分も大丈夫だということにはなりません。日本人の場合、グレーゾーンを抜け穴として利用する人はほぼいないと思いますが、グレーゾーンの部分を「多分大丈夫」で対応するのは、とても危険です。特にご実家のことを思うのであれば、品格を保つためにも、法や制度の抜け穴探しをするのではなく、正攻法で望んでいただきたいものです。

というのも、アメリカは閉ざされた国ではなく、アメリカが必要とする人材に関しては、開かれた国だからです。これはアメリカに限ったことではありませんが、どうしてもアメリカで暮らしたいと思うのであれば、まず、どのような手段があるのか、ビザの種類やそれぞれの条件について調べ、自分が取得できる可能性のあるところで、移住計画を立てるべき。留学コンサルでも、アメリカ就職を目指す人には、その人が学びたい学問よりも、ビザ取得に有利になるような学部(理数系)を勧めているようです、それくらい海外で生活するためには、ビザがなければ始まりません。

彼らのそもそもの失敗は、夫の方が最初の就職先を辞めてしまったことだと思います。ロイヤル就職だったのでしょうから、お姫様がアメリカ移住をご所望だと転職希望を出せば、問題なくアメリカ転勤できたでしょう。そこでグリーンカードを取得すればよかったのに、と思います。
結局、アメリカで暮らしたいという情熱も、そこまでなかったのでしょうし、それゆえにプランも他人任せにできたのだと思います。そして、任された人たちにとっても出世のための他人事案件に過ぎなかったということで、誰一人として、本気で解決しようとする人がいなかった結果の今なのではないでしょうか。

・・・というわけで、どんなに他人が良い解決策を提示しても、当の本人たちが自立して考えたものが軸となっていない限り、問題が解決することはないのではないかと思います。

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