テキサス史上最悪の小学校襲撃事件

事件翌日のテキサス

ご存知の方も多いかと思いますが、昨日、テキサス州西部の小さな町の小学校で、銃による無差別大量殺人が起きてしまいました。2022年5月25日朝現時点で、子ども18名、大人2名が亡くなられてしまったようで、人数が明らかにされていませんが、重傷の方も多数いらっしゃるようです。小学校で起こった大量殺人事件としては、2012年Sandy Hookで起こったもの以来最悪の事件ということもあり、全米のニュースで大きく取り上げれており、大きな悲しみに包まれています。

テキサス州は、来週から夏休みで、事件のあった小学校でも、今学年は後3日で修了という時期でした。犯人と事件の2時間前にテキストメッセージで会話したという同級生は、彼から、学校がまだ夏休みに入っていないかどうか確認されるやりとりがあったと証言しています。

子どもたちの学校では本日、学年末に行われる表彰式が行われたのですが、事件を受けたセキュリティ強化のため、保護者は大きさ問わず、カバンの持ち込みは禁止となっていました。また、国歌斉唱、国旗、州旗への誓いの言葉が終わった後、事件のことにふれられ、黙祷にあたるものが行われました。事件のあった小学校でも、本来は、今日あたりには同様のセレモニーがあったのではないかと思うと・・・。
特に今学年は、オンライン授業から対面授業に戻った年で、久々の直接的なコミュニケーションの場所に戻ることに対し、どの子もみんな例年にはない努力があったかと思います。後3日で・・・そんな頑張った1年を修了することができたのに。

スターテストという全州統一テストが終わった後のこの時期、通常の授業がほとんど行われないこともあり、学校に来なくなるお子さんもいます。この辺は日本人的な感覚だとびっくりしますが、出席日数が足りていれば問題ないと考えるご家庭が多いようです。そのようなテキサス事情を考えると、休ませればよかったと自分を責める保護者の方もいらっしゃるかもしれず、それもまた辛いことだと思いました。というのも、今日のセレモニーは、事件を受けてなのか、3分の1くらいのお子さんは欠席されていました。セレモニー自体は、黙祷の後は、通常モード(イェーとか、ヒューヒューとか飛び交う中、賞状の束?を片手で受け取ったら、校長先生らとフィスト・バンプ)でした。

事件があった街について

事件の現場となった、Uvaldeという街は、サンアントニオ(メキシコからの独立戦争の”リメンバー・アラモ”で有名なアラモ砦があるところ)からさらに西へ行ったのところにある小さなコミュニティ。メキシコ国境からも60マイル(東京から小田原くらい。テキサス は日本の2倍の大きさですので、こちらの感覚的には”国境近く”という感じになるかと思います)ということもあり、小学校があるエリアは、90%の住民がピスパニックということでした(ヒスパニック系の人は、子どもの数が多く、親戚付き合いが密な”大家族”である傾向が見られます)。
これらの情報から想像すると、おそらく昔から同じ住人が住んでいるような古い町だと思います。実際、事件から一夜明ける頃には、犯人の昔からの友人、従姉妹等からのコメントがメディアに掲載されていました。人間関係が”近く”、”見えやすい”小さな町で起こったということも、より一層強い衝撃となっています。

余談ですが、事件のあった街は、俳優のマシュ・ーマコノヒーの地元の街で、彼も
声明を出しています。このことはいろいろ気になることもあり、別のコラムで。

報道による、犯人である18歳の少年(高校生)について

今日の学校、そしてセレモニーに、子どもたちを出席させても大丈夫かなと思ったのは、朝にはすでに犯人像が報じられ始めていて、事件がテロではないことが推測できたからです。報道等で、犯人と親しかった知人らの証言が挙がっていましたので、下記にまとめます。

事件を起こした背景が想像できるようなコメントもありましたが、だからと言って、罪のない小さな子どもたちに狂気を向けたことに対して、理解も同情もすることはできません。犯人は現場で警察によって射殺されていますから、本当のことは永遠に分からないのかもしれません。
ただ、憎悪の連鎖を断てるような、もしくは、抱えた社会に対する憎悪を、自身よりも弱い立場にある人に向かわせないような、そんなサポートするシステムがあればこのような事件を防げたのではないかという気がしてなりません。

いじめの問題:

・吃音があったことで、中学時代からいじめを受けていた。祖母に学校に行きたくないと告げていた(従姉妹談)。
・幼なじみによると、SNSやゲームのことをはじめ、あらゆることで激しいいじめを受けていた。SNS投稿写真について、アンチ同性愛からの中傷を受けたこともあった。とても優しい子だったが、どんどん悪くなりはじめた。彼を庇おうとしていたが、幼なじみ自身が母親の仕事の都合で町を離れることになった。全身黒ずくめの服を着るようになり、大きな軍用ブーツを履いて歩き、髪を伸ばすようになった。

家族間の問題:

・高校生の同級生によると、彼は最近、自分を家から追い出そうとする、母親を怒鳴りつける様子をインスタグラムのストーリーに投稿。母親をb -(おそらくビッチ)と呼んでいた。(この件はおそらく警察沙汰になっていてそれもインスタの動画になっていたと思われる)
・隣人によると、母親との生活がかなり荒れており、問題児である彼の父親のようになってきた(自宅に警察が訪問するところを見た)。彼は、数カ月前に町の反対側にある祖母の家に引っ越した。祖母は、薬物問題のことで、彼の母親を立ち退かせている最中だと語っていた(祖母は、犯人により射殺されたと見られている。
祖母殺害直後、小学校に向かったとされている)。
・家族を知る近隣住民によると、彼の母親はドラッグを使用しており、それが家庭内のトラブルの一因になっていた。

SNSでの奇怪な行動:

・Instagramには、AR-15スタイルのライフル2丁の写真が掲載された。虐殺のわずか3日前だった。
・TikTokには、携帯ゲームの投稿が1つあるだけだが、プロフィール画像の下の紹介欄には、"Kids be scared irl”( "in real life"の頭文字をとったもの)と掲載。
・大虐殺のほんの数時間前、見知らぬ人に「もうすぐだ」と謎のメッセージを送っていた。
・彼からライフルの写真に自分をタグ付けされたインスタグラムユーザー一人は、「タグづけされた理由が分からず、怖かった」と話した。
・DMを受け取った少女の一人は、銃の写真とのタグ付に対し、「あなたの銃が私に何の関係があるのか」と返信した。その後、彼との間に、「君をタグ付けしたいから」「何のために?」「11時前には君に話すよ」というやり取りがあった。そして、スマイリー・フェイスで口元を隠したの絵文字とともに「ちょっと秘密を教えてあげるよ」というメッセージがあったが、秘密が明かされることはなかったという。最後のメッセージ(午前9時16分)は、"Ima air out "だった。

その他:

・バイト先同僚によると、週5日、午前11時から午後4時または5時まで、ウェンディーズで勤務していた。ほとんど自分の中に閉じこもっていて、他の従業員ともあまり付き合わなかった。彼はただ働き、給料をもらい、小切手を受け取りに来るだけだった。
・3月まで一緒に働いていた若い女性は、攻撃的な一面があることに気づいた。 彼は時々、女の子やコックの1人にとても無礼で、『俺が誰だかわかるか』と聞いて脅したり、女性に不適切なメールを送ったりしていた。
・(親友を震撼させた出来事)彼は顔にひっかき傷を負って公園に現れ、猫に襲われたと話していたことがあった。のちに、彼自身が何度も何度もナイフで自分の顔を切り刻んだと、カミングアウトした。彼に「お前、それは狂っているぞ。なぜそんなことを?」と尋ねると「楽しいからだ」と。

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