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アメリカ大学入試スキャンダル事件勃発と現在、KK問題アップデート、ほか

セレブの不正入試をめぐる大量起訴・実刑判決

2019年3月に、セレブ層が子どもを有名大学に入学させるために、仲介者を通じて試験監督や大学のスポーツコーチに賄賂を支払っていたことが事件化されました。富や特権にものを言わせた不正入学には、現在のアメリカで大変厳しい目が向けられています

米国で3月、大学入試をめぐる過去最大のスキャンダルが発覚した。有名女優や会社経営者、弁護士らセレブが子供を有名大学に入学させるため、仲介者を通じて試験監督やスポーツチームのコーチらに賄賂を支払っていたのだ。        <中略>
富と特権の目録のような顔ぶれだ」。米連邦検察のレリング検事は3月12日の会見で、不正に関わった保護者らをこう評した。訴追された保護者は30人以上となり、大手企業の最高経営責任者(CEO)らに加え、人気ドラマ「デスパレートな妻たち」に出演したフェリシティ・ハフマン(56)、「フルハウス」のロリ・ロックリン(54)ら有名女優も含まれていた。               <中略>                                 手口は主に2つあり、大学入学適性試験(SAT)での替え玉受験などの不正と、入学願書の経歴詐称などによるスポーツ推薦枠の悪用だ。          (入試はセレブのカネ次第 米名門大「裏口」と「通用口」 2019年4月10日、産経新聞)

”正規”以外に2つある大学入学の”ドア”

アメリカの不正入試問題が少しややこしいのは、伝統的に行われている”レガシー枠”ーー大学に巨額の寄附金を支払った卒業生の子息の入学が認められることーーは、不正とはみなされないことです。”建物に名前が入るくらいの寄付額”が必要とされていますが、縁のないことですので、詳細はわかりません。

起訴された不正入学スキームの中心にいた、ウィリアム・シンガー被告(進学カウンセリング会社経営)によると、アメリカの大学に入るルートは3つあるとのことです。

(1)フロントドア(正面口):正規ルートでの大学入学                            (2)バックドア(裏口):寄附金による入学                                                                  (3)サイドドア(通用口):不正入学ルート

シンガー被告によると、バッグドアの10分の一で済むというサイドドア。これだけ見ると、入学金をケチったから起訴されたのか?と思えてしまうのですが、いくつかのメディア報道を見ていると、どうもバックドアとサイドドアの違いは、”違反行為”の有無と、お金の受け取りが大学か個人かにも違いがあるようです。

バックドアとサイドドア、共に学生の成績やスポーツ活動がイマイチという点では同じです。バッグドアは、おそらくイマイチの成績のまま大学からオファーがもらえます。「大学の運営をサポートしていただいたお礼として、御子息にはぜひ我が校で学んでください」みたいな感じかと思います。個人が大学に寄付するのは、法律に認められた行為です。

一方、サイドドアの方は、”やったことのないスポーツをしている”風の写真を提出したり、経歴詐称を行う際に、大学のスポーツコーチの協力を得たりしています。試験時間を特別に延長したり、後日回答を正解に書き直したりするケースでも、大学職員に協力者がいます。虚偽の申告は違反行為であり、特定の協力者にお金を支払うのは賄賂で、これらは法律的に問題とされる行為です。

2019年の大スキャンダルの後、バックドアの方にも”富裕層に有利な側面があり、不公平”と批判が高まっていると言いますが、法律が改正されたという話は聞いていません。ただ、私は法律に関して全くの素人ですので、上記は、あくまで私の推測です。

大学不正入試試験スキャンダルの現在

この事件、実はまだ続いていて、バーシティ・ブルース作戦(Operation Varsity Blues)と呼ばれているそうです。

2021年10月9日付のニューヨークタイムズでは、”大学入試のスキャンダル。何人かの被告人の現在の状況” が報じられていました。それによると、罪を認めた人、司法取引に応じた人、これから起訴される人・・・・とさまざまですが、ざっと見た感じ、罪を認めた人は、数ヶ月の懲役刑と罰金が科せられているようですが、被告の中には、”最高で20年の懲役刑に直面しているが、専門家によると、判決ガイドラインでは、3年以下の懲役刑になる可能性が高いという”という人もいるようです。

産経の記事にもあった、「デスパレートな妻たち」にも出演した女優、フェリシティ・ハフマンさんは、娘のSAT試験をカンニングするために15,000ドルを支払ったことを認めた後、2019年に詐欺罪でサンフランシスコ郊外の軽警備の刑務所のキャンプで11日間服役した、と報じられています。ちなみに、この判決について、アメリカ人の友人に、「”デスペラート(自暴自棄)な人”、11日間服役したんだってね」とふってみると、「11日?たった11日?忖度か?そんな軽く済むわけない!」と、激おこでした。

Netflixではこの事件を元にしたドキュメンタリーもすでにできていました。このドキュメンタリーのことを、今知りましたので、時間を見つけて観てみます。何はともあれ、Netflixが番組にするほど、注目度が高い話題となっています。

Operation Varsity Blues: The College Admissions Scandal
2021 | R | 1h 40m | Documentary Films
セレブの子どもをアメリカの一流大学に入学させるための詐欺事件の黒幕に迫る、再現性の高いドキュメンタリー。

フォーダム大学のJD入学・卒業、謎の解明

次の話題に移ります。KKアップデートです。

これまでの話(マスコミ報道):                      KKはフォーダム大学のLLMで1年で卒業した後、JDの2年目に編入、2021年5月にJDを卒業し、7月のニューヨーク弁護士資格を受験。10月、不合格が発表された。ネット上確認できたこと:                          ・フォーダム大学で1人しか得られない全額学費免除のマーティン奨学金を獲得   JD卒業者名簿からKKの名前が消えている                                                            法律事務所のウェブサイトのKKの経歴ページにて、輝かしい受賞歴紹介(数回、変更あり)のほか、”フォーダム大学JD卒業”と紹介

LSAT:JDコースに入学するために必要な法学の基礎力を証明するためのテスト。全米統一資格で、この資格がなければJD入学が認められない。          JD:大学卒業後にLSAT合格後、入学資格を得る法学の修士。一般的にこの卒業資格がないと弁護士受験資格が得られないと言われている。3年コース。                                                                                          LLM:弁護士資格がすでにある人が箔づけのために獲得するケースが多いと言われるもの。留学生は、法学部卒、または弁護士資格があれば入学できる。いくつかの州(ニューヨーク州、カリフォルニア州、ジョージア州、ワシントン州、ウィスコンシン州)では、この卒業資格があれば弁護士試験を受けられる。1年コース。

ネット上に浮上した疑惑:                         KKはフォーダム大学のJDを卒業したのか?

アジアで生きよう!!のケイちゃんさんが、フォーダム大に直接問い合わせたことにより、LLMからJD2年目の編入が認められていないことが判明しました

当初、この異例な動きは、LSAT受験を回避するために、同受験が不要なLLMに入学後、JDに編入という裏技を取ったのではないか?と、ネット上では言われていました。ケイちゃんさんの確認により、JDには少なくとも3年通う必要があることがわかりました。この問い合わせから、JD卒業よりも前に、入学に疑問点が生じます。

LLMからJDへの編入は不可能:                      息子、フォーダム大学回答入手しました。LLM→JD編入は不可       (アジアで生きよう!!さんのチャンネル)

KKのケースを検証してみた

入学をめぐるネット上にある疑問点:
・法学部卒ではない、弁護士資格がないKKがLLMに入学(2018年夏頃)            ・メディアが報道していた”LLMからJD2年目への編入”はフォーダム大ができないことを認めている(2019年夏頃)

フォーダム大学がなぜKKに便宜を図ったのか?(もしくは、作業ミス)は不明ですから、誰が大学なのか、個人なのかに”寄付”をしたのか、しなかったのかということや、入学時の書類がどうであったのかについては、一個人が知る由がないことです。

そこで、わかっているところ(メインストリームメディアが報じた内容)から考えてみます。

・KKは一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務コース(2年間)を卒業した ・JDの卒業は、3年間の在籍が求められるところを、KKの場合、2年間のみで卒業が認められた。                                                                                                                 ・法律事務所は、KKがJDを卒業したと思っている(いた?) 

まずLLMの入学したのは、2018年夏頃。LLMの入学条件について、留学情報を扱っているサイトから引用しました。2011年に変更があったようです。

米国のLL.M.に出願したい場合は、LSAC上、以下のいずれかを満たしている必要があります。                                ・法学士も含めた分野に関わらず学士号を有しており、かつ、司法試験に合格して司法研修所を卒業していること。大半は弁護士。例外として、司法試験に合格しているが司法研修所には行かなかった公務員などの事例があるが、修了証が無いので受験資格はない。
法学士も含めた分野に関わらず学士号を有しており、かつ、日本のロー・スクールに進学して卒業し、Juris Doctor (法務博士)も有していること。      LLM留学の情報提供と出願指導(http://iwasakiichiro.info/LLM/eligibility.html  )より引用

ちなみに、引用先サイトが参考にしたのは、LSACからの情報ですが、LSACはLaw School Admission Councilで、LSAT等の運営をしているところのようです。リンク先では、世界各国の学生がLLM受験に必要な要件が国別に書かれた表が出てきます。

”ICU卒”が”法学士も含めた分野に関わらず学士号”に当たるかと思います。”日本のロー・スクールに進学して卒業”については・・・”一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務コース”がロースクールなのかどうか?ということになるかと思います。ここは議論が必要なところかと思いますが、次のJDはKKはこの時点で持っていない資格です。

LSACでの要件が各大学の入試にどのような影響があるのか?(各大学で独自の緩和策を設けて良いのか?)についてはわかりません。

念のため、別のサイトにあったLLMの出願資格です。一橋大学の同コースは、KKが入学当時、法科大学院ではなかったと思うのですが・・・?

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続いて、JDですが、入学は2019年夏頃と思われます。さて、ここで、入学の話の前に、卒業についてです。大学サイドは、必ず学生管理システムのようなものは導入しているはずです。システムが在籍年数や、必要な単位数は、入力した通りの結果:卒業または留年が出てくるのではないでしょうか?

フォーダム大学は、JDの卒業には3年必要としています。YouTuberのケイちゃんさんがKKが2019年にLLMを卒業したことは、同大にメールで確認をとられたようです。すると、JDに入学したのは2019年、卒業は2021年と、やはり2年しか在籍していないことになります。

在籍年数と、必要単位数、その両方をシステムが誤判定してしまったのでしょうか?

あくまでも1つの可能性です。”編入”扱いで、LLMで取得した単位の振替登録を行う等していれば、システムは1年という在席数と、その間に取得した単位が反映されることになりますから、”卒業”認定となるのも不可能ではないことです。ただし、この場合、システムに”入力”する際に、大学側の協力者がいないとKKのみではどうすることもできないかと思います。これは一体どういうことなのでしょうか?

万が一、システムエラーがあったとしても、卒業の条件というのは、学生本人がしっかりと管理しているものです。「あれ?まだ卒業できないはずなのに、ラッキー!」と思えるわけもなく、後日のトラブル回避するため、通常だったら、確認しにいかないでしょうか? (すみません。常識的な考えに批判的な”専門家”もいましたね。)

このように考えると、やはりJD入学時点で何かあったのではないか?と、疑問に思う方が普通ではないでしょうか?

ただし、あくまで”個人的な疑問”です。

聴講生(入学・卒業していない)という説明は成り立つか?

先ほどのケイちゃんさんの動画を受け、篠原常一郎さんがさらに調査し、ニューヨークとカリフォルニア州のみ、LLM卒業資格のみでも弁護士受験資格を得る可能性があることがわかりました。ただ、KKの場合には、日本での法学学習歴がないため、JDで24単位の取得が必要となるそうです。篠原常一郎さんによると、この24単位は聴講生としてでも(正規学部生でなくても)、取得できるとのことでした。2年間、JDに通いこの24単位を取得したのではないか?そうすると、KKは弁護士受験資格が得られるとのことでした。

かなりかいつまんでまとめましたので、詳細はオリジナルの動画の方をご覧ください。

LSATなし、LLM卒業資格のみで弁護士受験資格を得るための抜け道:     【緊急ライブ】また忖度?KK夫妻、NYへ LLM ・JDのからくり       (古是三春_篠原常一郎さんのチャンネル)

というわけで、JD卒業してなかったとしても、弁護士資格試験受験要件はクリアしている可能性があるようです。

ただし、ここで仮に下記のような説明がなされると、全てが丸く収まるようにも思います。

LLM卒業とJDでの24単位を取得したので、弁護士試験受験資格はある。しかし、24単位は、聴講生として受講したもので、JDには入学していない。よって卒業もしていない。

ところが、そうすると、今度はフォーダム大学への入学・卒業についての過去の報道や、事実として一般人でも確認できることとの辻褄が合わなくなってきます。

1)JD2年目に編入し、そこでも奨学金を得たという報道があった

2)法律事務所も、フォーダム大卒の経歴をサイトに入れていた

(1)の方は私の記憶違いがあるかもしれないと思い、過去の記事を探してみたのですが、メディア報道はおそらく消えてしまっているらしく、いくつかの個人のサイトで見つけることができました。ですので、当時、このような話が出ていたのは、間違いないかと思います。これにより、メディアによる”KKは優秀だ”祭があったように記憶しています。

小室圭の学費免除(JDコース)の本当の理由は?フォーダム大2年目も奨学金や生活費の支給に黒い噂が?

となると・・・

聴講生が奨学金を得ていたのでしょうか?

入学や奨学金が誤情報だとすれば、なぜ宮内庁なり、代理人弁護士が否定しなかったのでしょうか?

(2)の方は、アメリカでは就職時に”バックグラウンド・チェック”というものがあります。これは採用する側が必ずしないといけないというわけでもないかと思いますが、企業としてのリスクヘッジのために、特に信用第一の企業であるならば、行うと思います。また、仕事を行う上で資格が必要とされている役職は、それを証明できる書類を提出します。個人的な体験としては、大学卒業証明も提出しました。ネットでさらっと見た感じ、証明書を出すことは、経歴詐称対策として、アメリカでは一般的とのことでした。

KKが就職先の法律事務所に、卒業証明を提出したのかどうかはわかりません。ただし、法律事務所としては、フォーダム大学JD卒業と記載していま”す”(した?)から、少なくともKKは、法律事務所に”フォーダム大学JDを卒業”という情報を伝えていたはずです。つまり・・・・。

フォーダム大学は、一度は卒業生として、卒業式でKKの名前を紹介していました。現在のステイタスがどうであれ、”卒業した”ということは、つまり入学したことも事実となります。

KKもフォーダム大学も、それぞれが直接報じていたことではないとは言え、「あれはネットやメディアが勝手に誤報を流しただけで、実際には入学も卒業してないですよ」とは言えないはずです。

”語らない”アドバンテージ

また、別の話題に移ります。

記者会見できなかったのは、いくつかの理由があるとは思いますが、1つには大学に関して、彼の発言を公の記録に残したくない(残せない)事情があったのではないのでしょうか。彼はすでに文書公開で失大敗しています。彼の言葉として「入学した」「卒業した」等のコメントを出さない方が安全です。後に「誤った情報がなぜか間違いのない事実であるかのように取り上げられ、いわれのない物語となって広がっていく・・・」と、言いやすくなります。

そのように考えると、卒業式での謎もクリアになる気がします。彼は卒業式に出席していませんし、名前のみが表示されたものの、メッセージや写真等は掲載されていませんでした。「大学側が勝手に卒業生として名前を発表した、でも、自分は卒業したつもりがなかった」と、言える余白ができます。

・・・誰かアドバイスしている人がいるのでしょうか? 

きちんとした戦略を持った人なら”言ったところで得をしないこと”は言わないものです。公開された”文書”等をみると、”それっぽいこと”をたくさん語ることで本当に見えるようにする演出が多かったように思います。しかし、これがうまくいきませんでした。想定外だったのは、”敵対勢力”が1つ一つの事項を検証していったからです。

一方、今回は、”そのような事実はありません”くらいの短い回答が多かったような印象があります。”特権を利用したことはありません”みたいな回答もあったかと思いますが、”例の文書”の展開方法をみると、ここは「”A”にある通り、LLMの入学条件が整っており〜、編入が認められた理由は”B”の通り〜」みたいな説明をしかたったのではないかと思います。それを今回はしなかったのには、何か理由があるのではないかな・・・と。

独り言

単なる独り言です。

具体的な作戦を提供してくれる人がいて、それなりの計画を立てていたのではないかと思います。ただし、2019年3月に起こったアメリカで大学入試をめぐる大スキャンダルは、かなり想定外だったのではないでしょうか。特権階級に対する市民の怒りは、不正入試を企んだ親だけでなく、その子ども(不正に入学した本人)にまで及んだようです。報道によると、ネットで嘲笑されるだけでなく、プロムや卒業式への参加を拒否された学生もいたようです。学生自身が不正入試に関与したかどうかは、個別のケースによるようで、これから起訴される学生もいるかもしれないということでした。

いわれのない物語であってほしいと思います。お互いにスッキリさせるために、誤解や誤情報があるのならば、1つずつ具体的に否定して欲しいと切に願います。

Operation Varsity Bluesの映画トレーラー

日本から見られるかわからないのですが、YouTubeにトレーラーがありましたので、ご紹介させていただきます。

Operation Varsity Blues : The College Admissions Scandal Trailer #1 2021|映画 HD トレーラー

余談:デスパレートな妻たち

ドラマ「デスパレートな妻たち」にも出演した女優、フェリシティ・ハフマンさんは、下記の写真の真ん中にいる人です。

おバカなコメディが結構好きで、実は「デスペラートな妻たち」は、シリーズ全部を見てしまいました。このドラマの中でも、ハフマンさんは結構やらかしていましたが、まさか現実にもやらかしてしまうとは・・・。

後半、アメリカドラマあるあるで、どうでもいい感じになって、ながら見していた時もあったのですが、なぜか最終回がよくわからない感動ストーリー仕立て。ご覧になった方、いらっしゃいますか?

散々はちゃめちゃなドラマを楽しんできたはずなのに、この最終回の感動モードで、もしかしたら、私は感動ストーリーを見てきたのじゃないか?と思うほど。と、文句をいいながら、この最終回は何回か見てしまいました。



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