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USAID新興パンデミック脅威担当を中心とした不可解なお金の流れとパンデミック

アメリカ国際開発庁(USAID)の不可解なお金の流れ

1)連邦職員デニス・キャロル、自らの立ち上げたGVPに資金投入

前回の記事(バイデン息子とパンデミックと、ファウチ博士)で、GVPの議長、デニス・キャロルが、自身がUSAIDの新興パンデミック脅威担当ディレクター職であったときに、ピーター・ダザック(エコヘルス・アライアンス代表)らと立ち上げた、グローバル・ヴィローム・プロジェクト(GVP)に、USAIDの資金を提供していた疑惑について、紹介しました。

その流れで、USAIDが行っていた、Predictというプロジェクトにたどり着いたのですが、これがなかなかプンプンと怪しい匂いがします。

登場しているプロジェクトや法人の活動(業務)内容や研究者が重なっていること、仕事を受注している組織が発注した組織に別の仕事を提供している?と思うようなところもあり・・・。かなりややこしいので、これを理解するためには、登場人物とその所属組織、そこから考えられるお金の流れを見ていこうということで、一通りの登場人物のプロフィールは簡単にチェックしていっています。その作業の過程で気になったのがUSAIDという組織でした。

2)トランプ政権時に、”継続の延長”を打ち切りにされたPredict

Predictは、人間に感染する可能性のある動物ウイルスを特定し、そのホットスポットを発見することで、新たなパンデミックを回避することを目的としていた政府の研究プログラム。2009年に開始され、5年ごとの更新でしたが、2019年9月にプログラムが更新されず、6ヶ月の延長が行われていましたが、2020年3月までで、助成は打ち切りとなっていました。

(この章では、不可解なお金の流れについて見ていきたいため、Predictの、プロジェクトの詳細は、後の章でまとめています)。

助成が打ち切りになった後のメディアは、ノイズが入ったものになるかと思いますので、それ以前の記事”ウイルスハンターは次のパンデミックを未然に防げるか?”を見ると、このプロジェクトがパンデミック対策になるのか?については、”誇大広告”(さほど効果がない)と考えている科学者もいます。

テキサス大学医学部のウイルス学者であるロバート・B・テッシュ博士は、
1)新しいウイルスの出現というよりは、既存のウイルスが新しい地域に運ばれて流出することがパンデミックの原因であるため、予測不可能
2)これらのウイルスの多くは、すぐに変異するため、発見しても備えることができない
としています。

CDCの動物由来感染症部門の科学担当副ディレクターであるロン・ローゼンバーグ博士は、「動物から発見したウイルスがヒトに感染するかどうかを予測する方法がないため、人のウイルス特定に集中するべき」としています。

これらが理由となったのかわかりませんが、Predictの終了理由をUSAIDグローバルヘルス局のアイリーン・コーク次席補佐官は、「10年の資金サイクルが終了したため、プログラムを終了することになった」と、述べています。

とはいえ、このプロジェクトが2019年9月の時点で完全終了したかといえば、そうではありません。後継プロジェクトである”Stop Spillover(動物から人間への感染を止める)”が検討されていましたし、次のような2つの継続方法も決まっていました。

  • 2019年10月中旬、USAIDは、アフリカとアジアの大学が、Predictが用いた「ワンヘルス」アプローチを教えるのを支援するために、今後5年間で8500万ドルを費やすと発表した。

  • Predictの2回目の5年間の任期は2019年9月30日に終了したが、USAIDはプロジェクトの蓄積された証拠を用いて、ウイルスの波及、拡散、対策について学ぶ研究のために6カ月間の延長を提供したと述べた。

3)新型コロナを受け、226万ドルの延長が決定

CNNは2020年4月10日に、”トランプ政権はパンデミック監視プログラムを停止し、その後、延長するために奔走した”という報じています。記事によると、USAIDは3月31日、Predictに226万ドルの延長が認められ、4月1日から実施されると発表しました。これにより、SARS CoV-2症例の検出を支援し、公衆衛生対応に情報を提供する他、アジアと東南アジアで過去10年間に収集されたデータとサンプルを用いて、SARS CoV-2の動物由来を調査するとしていました。

・・・・普通に考えると、当然の助成だと思います。しかし、これを怪しいと感じたのには、2人の人物と、彼らが率いる組織にあります。

❶USAID新興パンデミック脅威担当ディレクターのデニス・キャロルが、2018年には、同プロジェクトの進化型バージョン”GVP”を立ち上げていた

2016年8月にはGVPの構想があり、このとき開催されたフォーラムで、新興ウイルス性疾患の脅威から安全な世界を築くためのGVPの重要性と実現可能性についてビジョンを策定したとしています。いち早く危険なウイルスを発見し、パンデミックに備えるという目的は、Predictと同じものです。

2018年1月25日のSmithonianの記事でも、PREDICTの”さらに野心的なプロジェクトがGVP"としています。

デニス・キャロルが部門を率いていた2019年までの間、USAIDはGVPに27万1000ドル資金提供していた。つまり、USAIDはGVPの存在を知っているだけでなく、助成するくらいですから、その価値を理解していたということになります。

そうであるならば、わざわざPredictに追加助成を行い、パンデミックの調査を行う必要はあるでしょうか? 既に資金提供しているキャロル率いるGVPがそもそもその役割だったのではないでしょうか?

❷Predictは、ピーター・ダザック率いるエコヘルス・アライアンスも参加

ファウチ博士のお仲間で、NIHの助成金を武漢研究所に流し、機能獲得研究を行っていたのがエコヘルス・アライアンス。代表のピーター・ダザックは、コロナがラボから流出した説を陰謀論と決めつけ、雑誌「ランセット」でお仲間科学者らと発表した人物です。

ここでPredictに226万ドルの延長が認められた目的を振り返ってみると、その1つは”SARS CoV-2の動物由来を調査する”です。SARS CoV-2が動物由来ではなく、人工的に作られたものだと最もよく知っていたのは、ピーター・ダザックではないでしょうか?

だとすれば、あり得ない動物由来を調査していたのか、調査するフリをしていたのかは知りませんが、無駄な予算はどのように使われたのでしょうか?

4)2021年後半、エコヘルス・アライアンスに467万ドルの5年間の助成金を授与

情報公開請求に基づき、ファウチ博士のメールが公開されたことで、ラボ流出説が陰謀論ではないと、科学者、リベラル・メディア、ビッグテック(SNS)が認めたのが2021年5月。それ以降、エコヘルス・アライアンスがNIHの助成金を武漢研究所に流し、”機能獲得実験”を続けていたこと等、”2020年中には明らかになっていていたものの、陰謀論として言論封鎖されていたこと”が1つずつ、事実認定されてきています。

そもそも機能獲得実験に対する、エコヘルス・アライアンスへの助成金は、ファウチ博士の猛反対を押し切って、トランプ大統領がパンデミック直後に打ち切っていました。

そのピーター・ダザック、もしくはエコヘルス・アライアンスに、2021年10月の時点で、米国の政府機関がまだ467万ドルの資金(税金)を垂れ流していたというのです。下院共和党員26人のグループは、USAID長官のサマンサ・パワーに書簡を送り、回答を要求していると言います。(以下は、2022年2月10日付けテネシー・スターによる報道をまとめたもの

USAIDに回答を要求している内容:

  • パンデミックの起源に関連する質問に対する議会での回答を拒否したこと

  • 武漢ウイルス研究所(WIV)との金銭的関係を適切に報告しなかったこと

  • 研究室漏洩説に関するすべての科学的議論を停止させる上でピータ・ダザックが主導的役割を果たしたこと

  • などが含ダスザックは科学界との協力を拒否し、新型コロナの起源に関連する情報を共有しようとしない

  • ダスザックはWIVでの彼のグループの仕事について不正確な発言を繰り返し、NIHに対して文書と矛盾する多くの公式説明を行った。 

NIHのローレンス・タバック主席副所長は、昨年11月に共和党議員に宛てた書簡で、NIHが武漢の研究所の機能獲得研究に資金を提供していたことを確認。

NIHの確認が取れた内容:

  • 2018年から2019年にかけてNIHがWIV1というコウモリコロナウィルスを操作するWIVでの研究に資金を提供した。

  • 同研究所の研究者たちは、他のコロナウイルスからスパイクタンパク質をWIV1に移植し、改造したウイルスが、ヒトに見られるACE2受容体(SARS-CoV-2が結合する受容体と同じ)を持つマウスに結合できるかどうかを研究。

  • 改良型ウイルスは、未改変型ウイルスよりも急速に繁殖し、感染したヒト化マウスをより重症化させた。

USAIDの広報担当者は、火曜日にFox Newsに、2021年10月の助成金はコウモリコロナウィルスの研究とは無関係であると話しています。助成はリベリア南西部で実施する、保全活動(CWA)に対するものであり、あくまで入札で決定したと、述べています。

助成内容が別とはいえ、助成金に対する報告を怠ったり、事実とは違う報告を行っていたりした法人に、政府機関が助成を継続するべきでしょうか?

5)USAIDとの親密な関係のGVP、パンデミックで得したエコヘルス・アライアンス・・・という邪推

繰り返しになりますが、GVPの議長は、元USAIDの新興パンデミック脅威担当ディレクターのデニス・キャロルで、在職中のグレーなお金の流れについて調査すべきという指摘が上がっています。キャロルと共にGVPを立ち上げたのがエコヘルス・アライアンスのピータ・ダザックです。

同法人、そしてUSAIDのプロジェクトであるPredictは、トランプ政権で中止(延長なし)となり、共に資金源に困っていました。
パンデミックが始まってしまったことを受け、Predictは再び予算がつき、後継プロジェクトであるStop Spilloverも始まりました。両方のプロジェクトに参加しているエコヘルス・アライアンスにも幾らかの予算が流れ込んだでしょうし、同団体は別プロジェクトでもUSAIDの助成金を受け取っています。

邪推をすれば、パンデミック開始が双方を資金面で救ったことになります。さらに、エコヘルス・アライアンスは、新型コロナの起源との疑惑のある研究を、武漢研究所と一緒に行っていた法人ですから・・・・(ねぇ〜っとだけ)。

USAIDのパンデミック対策プロジェクト:Predict

Predictとは?

  • 人間に感染する可能性のある動物ウイルスを特定し、新たなパンデミックを回避することを目的としていた政府の研究プログラム

  • 2005年のH5N1型鳥インフルエンザ騒動の問題意識から開始

  • 2009年に開始された同プロジェクトの予算は約2億700万ドル

  • 動物から14万以上の生体サンプルを収集、エボラの新種を含む1,000以上の新種ウイルスを発見。

  • アフリカとアジアの30カ国で約5,000人を訓練し、主に貧しい国に60の医学研究所を建設または強化した

助成金が更新されなかった理由を、GVP議長のデニス・キャロルは、「官僚がリスクを取ることを恐れたため」「USAIDは経済援助が主な任務であるため、外来病原体の追跡のような最先端の科学に資金を提供することに抵抗を感じる連邦政府高官もいた」と、インタビューで答えています。

Predictはパンデミックの対策として役立ったか?

1)パンデミックを予期するという目標が果たせなかった
これはPredictだけでなく、GVPもエコヘルス・アライアンスも、Metabiotaも当てはまるのですが、パンデミックを予測することで早期対策ができるため、経済損失を最小限に止めることができる(パンデミックによる経済損失の0.2%の予算で取り組めます!がセールストークだった)としていましたが、結果はご存知の通り
です。

2)自然発生説主張しながら、中間宿主の特定ができていない
同プロジェクトの科学者は、自然発生説しかあり得ないとし、パンデミック開始直後からラボ流出説を主張する科学者らに執拗な攻撃(言論封殺)を行っていました。しかし、現在に至るまで、コウモリから人間への感染がどのように行われたのか?解明できていません(このことも1つのきっかけとなり、ラボ流出説が復活)。

3)変異株対策にも全く役立っていない
同プロジェクトが誇大広告だとした科学者は「すぐに変異するため、発見しても備えることができない」と指摘していました。
今回、従来株が特定できた後に、その情報をもとにしたワクチン開発等を行われましたが、変異株によるブレイクスルー感染が起ったため、”ワクチン2回接種で元通りの生活”とはなりませんでした。従来株の特定ができていても、変異の予測ができなかったにもかかわらず、”動物から人間に感染できるような変異”という、”起こるかどうかさえもわからない変異”を特定できるとは考えにくいかと思います。

パンデミックの予測ができればいいですが、それは”誇大広告”だったと言われても仕方のない結果かと思います。それよりも何よりも、お仲間が行っている機能獲得の研究から、ウイルスが流出する危険がある予測をして、対策してくれた方が世界中が助かったかもしれません。

自然発生説でなければ困る人々

自然発生説を主張するグループがリベラルメディアや他の科学者、ビッグテック(SNS)を巻き込んで展開した、”ラボ流出説は陰謀論”キャンペーンは、アメリカで共産国並の言論統制が行われた最初の事件でした。今まで考えられていたのは、下記の4つですが、今回5つ目の理由がわかりました(あくまで私の邪推です)。

  1. 禁止されていたはずの、危険な研究を行っていたことを隠蔽する必要性

  2. 自分らが何らかの形で関わった研究のミスを隠蔽する必要性

  3. セーフティレベルの高いラボでの事故発覚により、研究助成が取りにくくなったり、研究自体が行えなくなるリスク

  4. 研究助成金のポートフォリオを握るファウチ博士への忖度

  5. ”動物のウイルスが人間に感染できるものに自然と変異する脅威”を前提としたプロジェクト・研究の予算確保

1、2は”ラボ流出説は陰謀論”キャンペーンの中心にいた、ファウチ博士やピーター・ダザック、中共、NIH、NIAIDが自然発生説を推す理由です。

3は、民主主義国家でセーフティレベルが高いラボ=危険なウイルスを扱うラボを開設・運営するには、地域住民の理解を得ることがなかなか難しいものです。実際、2016年に起きたラボ事故を受け、オバマ政権は機能獲得実験を始め、危険な研究を一時停止していました。世界を恐怖に陥れたパンデミックの原因がラボにあったとなれば、再び(新たに)中止される研究が出るかもしれません。該当分野の研究者としてはそのような状態は望まないことでしょう。

4は、感染症に限らず、NIHからの助成金を受けているアメリカ内外すべての科学者が対象となることです。ファウチ博士はNIAIDの莫大な予算(助成金)のポートフォリオを握っていますし、NIHにも影響力があると言われています。その”科学の権威”に逆らうことで、研究助成が受けにくくなったり、キャリアに問題が生じたりということを避けたいと思う科学者もいるかと思います。

そして、今回、追加された5。PredictやGVP、エコヘルス・アライアンスのプロジェクトや事業は、動物から人間に感染するウイルスが発生することを前提とした研究です。プロジェクトが終了した直後に起こったパンデミックを受け、彼らが新たな予算を確保することができました。もし、新型コロナが動物由来でないのだとすれば・・・追加の予算は確保しにくくなります。さらに、言い方は違いますが、動物から人間にジャンプするというSpilloverは、武漢研究所で行っていた機能獲得(Gain-of-Function)とどう違うのか?という議論が始まれば、研究を続けられなくなる可能性も出てきてしまうかもしれません。

これらはあくまで私の邪推です。でも・・・あのヒステリックな言論統制を体験したら・・・邪推したくもなりますよね。

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