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米国バイオラボ、致命的病原体を誤送付:CDCのOops!事件簿(2)

致命的ウイルスを不適切に扱った事故

以下はすべて2014年にCDC傘下のラボで起こった事故です。記事見出しには”Accidentally misshiped”(うっかり誤配送)のようになっていたものもあるんのですが、うっかりなんて言えるレベルの話ではありません。

個人的に、会社で「ちょっと報告があるのですが」の後に”Accidentally”が聞こえると、妙な緊張感が走ります。

”ヤバいミスはできるだけ小さく聞こえるように報告するのは、優秀なビジネスマンのテクニック”

なのかどうか、わかりませんが、こういう時は必ず、”うっかり”では済まない報告が続くものです。”悪気があったわけではない”という気持ちを表したいということもあるかと思いますが・・・。

いずれにしても、CDCのうっかり不適切取り扱い事件は、自分たちが扱っているものが何かわかってる?と言いたくなるようなものばかりです。

鳥(H5N1型)インフルエンザ誤送付事件

2014年3月13日、米国農務省(USDA)の研究者たちは、CDCから比較的無害な動物インフルエンザの株と思われる荷物を受け取りました。数ヵ月後、研究者たちが何かおかしいと思い始めたのは、実験の結果、予想もしなかった、説明のつかない結果が出たときでした。CDCは、致命的なサンプル:高病原性のH5N1型インフルエンザ・ウイルスをうっかり送ってしまったのでした。

比較的安全な鳥インフルエンザが、CDCの研究所で意図せずして高病原性のH5N1型インフルエンザに汚染されたのが原因とされています。別の記事(CDC Accidentally Ships Deadly Virus, Hopes No One Will Notice)では、この”意図せず汚染”の原因を、”最初にサンプルを汚染した科学者は、正午の会議に間に合わせようと、本来90分はかかる作業を、51分で終わらせようとしたため”としています。

ラボはそのセーフティ・レベルにより、扱える病原体が限定されています。荷物を受け取った、ジョージア州アテネの農務省研究所は、作業員にシャワーの出入りと呼吸保護具の着用を義務付けるバイオセーフティ・レベル3の高レベル施設でしたが、高病原性のH5N1型インフルエンザ・ウイルスレベルでの危険物を取り扱う十分な許可を持っていなかったのです。作業員のウイルス暴露はなかったとされています。

炭疽菌処理ミスサンプル送付事件

CDCの研究所は6月5日、炭疽菌のサンプルを準備したが、この菌を不活性化するのに失敗し、75人ほどの連邦職員が生きた炭疽菌にさらされたという事件が起こりました。
この炭疽菌騒動は、ある研究所で作業員が生きた炭疽菌を調合した際に、その菌を不活性化するための規定されたプロトコルに従わなかったために起こったものと報じられています。炭疽菌が適切に死滅しなかったため、その研究所から資材を受け取った従業員は、意図せずして致命的な病原体にさらされた可能性がありました。

CDCは当時、職員が炭疽菌にさらされた可能性はあるが、"極めて低い "と発表していて、炭疽菌の症状で体調を崩した従業員はいなかったとされています。

天然痘放置・事件

同年7月には、最も危険なウイルスの1つと言われる天然痘の小瓶6本が、メリーランド州ベセスダの国立衛生研究所(NIH)構内の”安全でない倉庫の箱の中”で発見されるという事件も起こっています。
NIH構内の米国食品医薬品局研究所で、冷蔵室にしまわれていた60年前の天然痘ウイルスの小瓶が発見されたと言います。天然痘は35年前に根絶されましたが、CDCとロシアの2ヶ所にサンプルの保管が許可されていたようです。

今回発見された小瓶はCDCに送られ、さらに検査されることになっりましたが、当時のCDC長官、トム・フリーデンは、「検査の結果、少なくとも2つの小瓶の天然痘は生きており、実験室で増殖に成功した」と、明らかにしていました。この検査により、天然痘は何十年も生存可能であるという危険性が強調されたことになります。CDCはテスト終了後、すべてのサンプルを廃棄すると発表。

CDCの対応

当時のCDCが発表した報告書によると、「CDCでこのような事象が発生したのは初めてではないし、”炭疽菌事件が発生した研究所”から発生したのも初めてではない 」そうです。同研究所では、過去10年間に同様の事件が4件発生しており、この施設は現在閉鎖されている、と報告書は指摘しています。

原因と対策(CDCの報告書より):

  • 生物製剤が適切に不活性化されたことを記録するための標準プロトコルと、監視システムの両方が不十分だった

  • CDCは、バイオセーフティ・レベル3およびレベル4の施設におけるバイオハザード物質の移動の一時停止する

  • CDCは、長官に直接報告するハイレベルなワーキンググループを設立する予定で、研究室単位で安全性の改善を監督する。

  • CDCは実験室の安全性に関する外部アドバイザリーグループを設立する。

  • H5N1の事故に関する調査を行い、故意にプロトコルに違反した者、あるいは研究所の事故を報告しなかった者を懲戒処分する予定。

CDC長官のコメント

CDCのトム・フリーデン長官(当時)は、事件に関する記者会見での発言には、彼がこの事故について2日前まで知らなかったというものもあり、長官自身、これを「容認できない遅れだ」としていました。これを受け、長官に直接報告するハイレベルなワーキンググループを設立する予定だったようです。

長官のコメントで気になるのがもう1つあり、それは「将来のリスクを最小限にするために、理想的にはCDCは長期的には高病原性株を扱う施設の数を制限したい」というものです。制限するのはあくまでも施設の数であり、扱う危険な病原体の数ではありません。

2016年に、パンデミックを引き起こすリスクのある機能獲得実験が一時中止された背景には、2016年の事故のみではなく、このような経緯があったのです。

CDCラボ、その他の事故

個人的に、2014年に起きた一連の事故と、2016年の事故については知ってはいたのですが、これらはCDCのラボ事故のほんの1部にすぎないようでした。さらに大問題となった2014年の3つのラボ事故の直後の、同年12月にも、エボラ出血熱を不適切に扱った事故が起きていたようです。

エボラ出血熱・誤配送事件

生きたエボラウイルスのサンプルが2014年12月、安全性の高いCDCの研究室から、生きたウイルスを扱う設備のないある別の研究室に誤って送付されました。これにより、CDCの13人もの科学者や研究員が、エボラ出血熱にさらされた可能性があります。サンプルを扱った検査技師1名は、21日間監視されることになっていたと言います。ワシントンポスト紙によると、研究室に入った他の人たち(最大12人)は、感染確認のために連絡を受けたということでした。CDCは、一般市民へのリスクはないと述べていました。

炭疽菌・サンプル全米と在韓国米軍基地への誤配送事件

国防総省は2015年5月、ユタ州の研究所の1つが誤って炭疽菌のサンプルを(殺された標本ではなく)全米の研究所と韓国の軍事基地に送り、22人がバイオテロ病原体にさらされた可能性があるという理由で抗生物質による治療を受けていることを公表しました。CDCによれば、9つの州の18の研究所がこのサンプルを受け取ったとしています。

施設の構造的な問題による事故

USA TODAYが入手した文書によると、テキサスA&M大学のBSL-3実験室では2013年に何度も停電が起こり、実験室内に病原体を閉じ込めるために使われるいくつかの重要な安全機能のうち、陰圧が失われたことが示されていました。アトランタにあるCDCの研究所でも、長年にわたって気流に問題があったと、同紙は報じていました。このアトランタのラボは、下記の2012年6月の記事の事故のことかもしれませんが、CDCのアトランタラボはいくつかあるようなので、違うラボかもしれません。

Congress Investigates Air Leak, Possible Safety Lapses At CDC Lab(2012年6月22日)セイフティレベル3、4のラボで、実験室の空気が見学者用通路に漏れ出していた事故。

Newly disclosed CDC biolab failures 'like a screenplay for a disaster movie(2016年6月2日)2009年に起こったラボセーフティレベル4(最高レベル)での機械故障(実験室から出る際に、二重ドアで囲まれた特殊な出口での、消毒用シャワーが作動しなかった)について、隠蔽があったことを報じた記事。

ちょっと検索しただけでも、いろいろな記事が出てくるのですが、一覧を作るのが難しいのが、事故を起こしたラボの詳細が報じられていないからです。その理由は最後にまとめます。

その後のCDC

2014年の相次ぐラボ事故を受け、その後のCDCがどうなったのか?については、2016年5月10日のUSA TODAYにありました。パンデミックの5年前には、ジャーナリズムが機能していたようです。

記事によると、アトランタの本部で炭疽菌、エボラ出血熱、致死性インフルエンザに関わる一連の安全性事故が注目を集めたCDCの研究所運営は、安全に対する認識の甘さが露出したため、2014年から監視の対象となっていたようです(2015年取材当時)。

USA TODAYはかなり熱心にこの件を取材していたようで、米国農務省当局は、フォートコリンズのCDC研究所に対する停職処分や、米国農務省がCDCの研究所に対して行った他の強制措置に関して取材を申し入れしていたようですが、回答がなかなかもらえなかったようです。

CDC長官のコメントや報告書では、違反者の処分等を行うということでしたが、このような処分等が行われたかどうかは、定かではありません。というのも、2015年5月のUSA TODAYでは、近隣の牛にブルセラ菌を感染させた研究所に対し、42万ドルの賠償金を課したと発表していたものの、同誌の調査によると、この罰金は課されなかったということもあったようでした。

選択兵器プログラムは、2008年に重大なバイオセーフティーの欠如により、近隣の無病牛群にブルセラ菌を感染させた無名の研究所に対して「42万5000ドルの民事賠償金を課した」と議会に発表した。
ブルセラ症は、牛やその他の家畜が胎児を流産し、乳量が減り、体重減少、不妊、跛行を起こす、伝染性で経済的に重要な農作物病である。数十年にわたり、撲滅活動が行われてきました。
この42万5千ドルの罰金は、もし実際に課せられたとしたら、選択薬プログラム全体の歴史の中でも最大級のものであったろう。
しかし、USA TODAYの調査によれば、この罰金は課されず、USDAは議会で記録を訂正することもなかったという。(2015年5月28日、USA TODAY)

https://www.usatoday.com/story/news/2015/05/28/biolabs-pathogens-location-incidents/26587505/

コロナパンデミック、そして、ウ国危機に関わっていく話へ

バイオテロ法に守られた、徹底した秘密主義

CDCが傘下のラボで重大な事故を起こし続けているだけではなく、問題のあるラボについて徹底した秘密主義を貫いており、これが問題をより深刻にしているようです。なぜこんなことができるのか?といえば、事故を隠蔽できる根拠となっているのが、2002年に導入されたバイオテロ法に由来する規制ということです。

USA TODAY NETWORKが行った2014年の調査によると、2003年以来、100以上の米国の研究所が”連邦選択薬剤プログラム”からさまざまな強制措置(停止、取り消し、業績改善計画への参加など)に直面していることが明らかになったと言います。少なくとも79の研究所が強制措置の対象となり、そのうちの5つは何度も事故を繰り返していたようです。

ところがいくつかの例外を除いて、CDCとUSDAは、生物兵器として使用される可能性のある危険なウイルス、バクテリア、毒素を扱う全米最悪の規制履歴を持つ研究所の名前を公にすることを拒否していると言います。

”コロナ起源・武漢研究所流出説は陰謀論”とした人々の大ウソ

コロナの対応を見ていて、CDCはでたらめな組織だなとは思っていましたが、パンデミック以前からここまで酷いとは思っていませんでした。しかし、科学者、特にウイルスや公衆衛生を専門とする学者であるならば、CDCの一連の事故や允明事件について知らないはずはありません。

ここでコロナの起源をラボ流出説は陰謀論だと言っていた科学者の発言を思い出してください。

”武漢のラボはバイオラボセイフティレベルが最高の4であるから、流出なんてあり得ない”。

世界最高峰の医療機関と言われるCDCのラボで、これだけ流出をはじめとする各種事故を起来ているのに、BSL4のラボを自国だけでは開設できなかった中国で、流出があり得ないとなぜ断言できたのでしょうか?

情報公開請求により明らかにされた、ファウチ博士の数々のメールや、起源後に提出された助成金の報告書により示された事実、自然発生説推しに無理が出てきた時に、さっさと自分の主張を下げて何もなかったように振る舞う様等々・・・。武漢ラボからのウイルス流出はあり得ないと断言していた科学者らが、自分の利益のためなら科学的事実を無視できる科学者であることはわかっていましたが・・・。特にウイルス学者であれば、CDCのラボですら、これだけの不可解な事故を起こしていることを知らなかったということはあり得ないわけです。

一連の事故が起こっている時は、オバマ政権(2009年1月〜2017年1月)の時であり、その時の副大統領が現在のバイデン大統領です。これは何も、政権が事故を起こしたという意味ではなく、政権として、このような事故が起きていたことは、当然把握していたという意味で、重要です。このような状況を受け、パンデミックを起こすリスクのある危険な研究、機能獲得実験を一旦中止するという、一見、適切な危機管理対応をしているように装って、内戦中のウ国や、民主主義国家を侵略している中共等、危険な国に、危険な研究を移すという、もっと危険なことをやってしまっていたのですから。ついでにバイデンの息子である、ハンター・バイデンをはじめ、お仲間の投資会社を儲けさせることも忘れなかったようですが。

これは何も私の妄想ではなく、過去の記事を読んでいると、CDCと海外のバイオラボとの関係を問題視する声が多数上がっていたことがわかりました。そちらはまた別の記事でシェアさせていただければと思います。


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