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アメリカのビザ事情と、KKの謎。

就活だけでなく、就労ビザ申請にも必要な経歴書

アメリカ在住者としては、KKが一般人だとすれば、アメリカ移住関連についていろいろと不思議な点があります。そういう不思議な点の、全てのプロセスがクリアだったとして、一番気になるのが下記「H1Bビザ申請に必要な資料」の一番上、レジュメ(職務経歴書と学歴)についてです。

先日より、勤務先と見られる法律事務所のWEBサイト上にある彼の微妙な経歴が問題視されていました。おそらく就職活動の時に、提出したレジュメの情報をもとに作られたものだと思いますが・・・。ビザ申請には勤務先のサポートが必要です。通常は、どう考えても同じレジュメを使うことになるかと思います。

WEBサイト上の”文言のミス?”は、果たして、法律事務所の(ウェブサイト製作者の)ミスだったのでしょうか?それとも、提出時のレジュメにミスがあったのでしょうか?後者だった場合、ビザ申請に使うレジュメはどうするのでしょうか?

申請者に関する資料:
レジュメ (職務経歴書、学歴)
パスポート (写真ページ、最後のページ)
ビザスタンプ (アメリカに滞在されている方)
I-94(両面)出入国記録カード (アメリカに滞在されている方)
英文卒業証明書・成績証明書 
I-20 (新規申請で現在F1で滞在されている方)
OPTカード (新規申請で現在F1で滞在されている方)
DS-2019 (新規申請で現在J1で滞在されている方。J1ビザの2年の国外居住義務が課されている方は、Waiverの許可書もお送りください。)
I-797許可書 (更新または雇用主変更の場合)
過去3か月分の給与明細 (更新または雇用主変更の場合)
過去3年分のW-2 (更新または雇用主変更の場合)
前回の申請書類一式 (更新または雇用主変更の場合のみ。当事務所で前回申請された場合は不要です)
戸籍謄本(扶養家族が就労者と同時に滞在資格の変更・延長をする場合)
会社の資料 :
英文の会社案内 (パンフレット、カタログ、ウェブサイトのコピーなど)
決算報告書 (Financial Statement)     https://sites.google.com/a/tomitalaw.com/english/home/biza-no-shurui/h1bsenmon-shoku-biza/h1bbiza-ryoukin---hitsuyou-shorui    より引用

バッググランドチェックで気がつかなかった?

アメリカでは就職する際、オファーをもらった後に、バッググランドチェックが行われます。会社によって項目は違うようです。

お昼休みの雑談で聞いた、背筋の凍る話です。彼氏にひどいふられ方をした女性の兄弟が、その彼氏が飲酒運転をするようなシチュエーションを作り、その上で通報。それだけでも十分怖いですが、さらに怖いのが、それを聞いた同僚の「ああ、彼、人生詰んだね」というコメントです。そのコメントで知ったのですが、アメリカでは、飲酒運転で逮捕された場合(事故を起こしたかどうかは関係なく)、良い就職先を見つけるのは難しいとのことでした。

友人の彼氏(=ややアル中気味)の車は、飲酒運転防止の機能がついていて、車のキーをさした後、息を吹きかけて、しらふでなければエンジンがかからないようにしてある・・・という話もありますので、おそらく本当なのだと思います。バックグランドチェックでは、こういった情報も出てくるようです。

他に行われる項目として、次のコラムの太字にご注目を。これらも確認すると、思うんですけどね・・・。肩書や在籍期間、そもそも在籍していたか?等・・・調べなかったのですかね。

●バックグラウンドチェックの内容について
調査の内容は、SSN Trace/Validation(ソーシャルセキュリティ番号)、Criminal (犯罪歴)、Motor Vehicle (運転歴)、Education Verification(学歴)、Employment Verification(職歴)、Professional License Verification(ライセンス)、Credit Report(クレジット)、Drug Screening(違法薬物およびアルコール)など、たくさんの種類があります。どの調査を行うかは、企業や職種によって変わってきます。クレジット調査については州によっては厳格なルールを設けているところもありますので、法律に則って行われます。また、ニューヨーク州では2015年の10月より犯罪歴の調査については、オファーを出してからでないと調査ができなくなるという新しい法律が施行されています。https://www.919usanews.com/tag/バックグラウンドチェック/ から引用

就労ビザ取得の困難さ

アメリカに限ったことではありませんが、海外で就労する場合に一番困難になるのが就労ビザの取得です。これは就職する側だけでなく、企業側も雇用する上で、重視するもので、候補者の条件に”就労可能なビザ”が挙げられていることも少なくありません。就労ビザのサポートは企業にとって”負担”だからです。

基本的に、企業は採用する人物がアメリカで就労可能な他の就労候補者(市民権・グリーンカード保持者)よりも優れている(では補えない技能を持っている)ことをイミグレーションに証明しなければなりません。その証明の1つとして、ある程度以上の給与額があります。バイデン 大統領に代わり、どれくらい変わるのか(変わらないのか)、わかりませんが、トランプ政権時代、この金額が引き上げられたと聞いています。

さらに、ビザ申請は費用と手間がかかります(下記のほかに、会社側は、弁護士費費用も必要です)。

移民局への申請料: 325ドル(就労者)、290ドル(御家族全員)
ビザ詐欺防止調査料: 500ドル(新規または雇用主変更の場合のみ)
米国労働者トレーニング料: 1500ドル(従業員が25名以下の場合は750ドル) *2回目以降の更新の場合は不要
オプショナル移民局特急申請料: 1225ドル
〔雇用主負担について〕
原則、雇用主が全てのH1Bに掛かる費用(弁護士料、申請料など)を負担しないといけませんが、支払われる給料が、労働省が定めた規定金額を上回る場合、その分に限り、弁護士料と一部申請料を支払うことができます。雇用主がこれらの費用を一旦立て替え、就労者の給与からその分を差し引いたり、返金してもらうことは違法です。また、ビザ詐欺防止調査料と米国労働者トレーニング料は、雇用主が負担しないといけません。また、雇用主が就労者を解雇した場合、雇用主は就労者が帰国する帰国費用を負担しなければいけません(但し、就労者が米国内の他の企業へ転職する場合、そのような義務は発生しない)。
諸費用
FedEx、コピー代など:実費
翻訳代(例:戸籍謄本、企業関連の資料):内容や量によって異なりますので、お問い合わせ下さい。
学歴査定代: 特に米国外の大学を卒業されている方、大卒でない方は、学歴査定を取得する必要があり、外部の査定機関に依頼することになります。査定の金額は、査定内容によって異なりますが、80~500ドルになります。また、追加資料を請求された場合、エキスパート(通常、大学の教授)からの推薦状が必要になる場合もあり、その際には更に費用が掛かります。

これだけの費用と手間を負担したところで、現状で取られている”抽選方式”では、申請者の”くじ運”がビザ取得に大きな影響を与えるため、雇用計画を立てる上でのリスクもあります。

さらに、費用と手間がかかるのは採用時だけではありません。解雇時には、就労者の帰国費用も負担しなければなりません。件のご職業は、解雇される人が多い厳しい職場環境だと言います。ということは、企業としては、当然、解雇時の負担も計算に入れての採用かと思います。

これだけ時間と手間と費用をかけてもほしい人材か?

この点で、すでに就労ビザを持っている人と、持っていない人とでは、就職の難しさに雲泥の差がつきます。能力があっても、ビザがないために働けない人が本当にたくさんいます。

彼の職務経歴や学歴に、それほど差別化できるもの(どうしてもこの人材がほしい!)があったのでしょうか?ということを考えると・・・、あれしかないですよね。

また、「万が一、司法試験に落ちると、司法助手ならば年収600万円で、ニューヨークで生活できるのか?」というコメントをネットで拝見しましたが、この場合、助手的な仕事でも、ビザの要件をクリアできるのか?という疑問も生じます。近年の就労ビザ取得は本当に厳しくなっているそうで、本人の専門性とは別に、そのポジション自体が高い専門性が要求されたものなのか?も審査されると言います。

そもそもアメリカで欲しがられる専門職とは、理系です。ビザの面でも、理系の博士号を持っていると、有利だと言います。そして、アメリカでの弁護士という職業は・・・。合格率が高いこともあり、弁護士資格があっても、資格を使う仕事に就くことはなかなか難しいと言われています。・・・つまり、合法的にすぐに就業できる資格保有者はたくさんいるという中で、わざわざ・・・ですよ。

さらに、新規のビザは全ての条件が揃っている場合でも、発行が年々遅くなっています。駐在員ビザの配偶者は、申請だけすれば2ヶ月程度で就労ビザが発行されていたようなのですけど、4年くらい前には4ー6ヶ月、3年くらい前には「6ヶ月以上待っているのに発行されない」という話を聞きました。単純にイミグレ職員の事務作業が追いつかないということで、待っていれば、いつかは発行されるのですが、就業先が決まっている場合には、この待機期間が問題になるようです。もしも、スムーズにビザが発行されたのなら・・・・ね・・・。

・・・という風な感じで、彼が仮に一般人であるならば、不思議な点がいろいろ出てきます。スーパーパワーが働いているには違いありませんが、日本で報じられているよりももっと強力(いろいろ?)なパワーなんじゃないかなという気がします。

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