ほんの少しだけ、お時間を下さい。

TVドラマが放送されてから「左ききのエレン」のコミックス売上がどう変化したかのデータを頂きました。結論から言うと〝電子書籍がめちゃくちゃ伸びてる〟です。

確かに、ぼくもドラマ化や話題に上がってる作品をチェックしようと思ったら、その場ですぐチェックできる電子を買うかも知れません。電子にはスピードがありますので。

本屋に買いに行くのは単価数百円のコストだけで無く、電車賃もかかるかも知れないし、何より時間がかかります。さらに「買いに行こう」と思う事に脳の容量が取られます。(これ冗談に聞こえるかも知れませんが「脳の容量を取らせない」というのは人によっては死活問題で、ぼくはとにかく雑多な事を時間を取られない様にめちゃくちゃ日々工夫してます。)

もっと言うと、紙の本は物理的に場所を取るので、本棚の一部を明け渡さないといけないコストもあります。デジカメは連写しても構わないけど、フィルムだと連写したくない、みたいな。

とにかく「本を本屋に買いに行く、紙の本を所有する」はいろんな面でコストがかかる行為だと思います。

作者にとって紙の本が売れる事は「重版されるとまとまったお金が入る、次出す本の部数が増える、その結果作家生命が伸びる、なんか嬉しい」と色々あると思いますが、少なくとも僕の場合は。そんな粗末な事は一旦置いておいて、何よりも…

電車賃を払ってでも、本屋に行って欲しい。

「エレンを買いに行こう」と、脳の容量を使って欲しい。

本棚の一部を、明け渡して欲しい。

あなたのコストを、エレンのために使って欲しい。

これがいかに面倒で大変な事か分かるからこそ、その手間暇というか、あなたの時間が欲しいんです。今時、紙の本なんて部屋に置きたくないです、増やしたくないです。そこを、何とか、エレンに分けて欲しい。それが何よりも、やりがいなのです。

そして、出来るだけ多くの時間を使って読んで欲しいです。一回読むだけなら、早い人なら一冊15分くらいで読めると思います。そこを、1時間にして欲しいし、次巻が出た頃にもう一度開いて欲しいし、忘れた頃にまた読み返して欲しい。そうやって、あなたの人生の出来るだけ多くの時間を、出来るだけ多くのコストを、エレンのために使って頂けるなら、本当にこれ以上嬉しい事はありません。

もう、今の世の中楽しい事は無限にあります。本当に無限にある。それも無料とか安価である。ぼくは最近ユーチューバーばかり観てますし、その前はNetflixをずーっと観てたし、モヤさまはいくら観ても飽きないし、未だに松本人志の放送室を聞くし、時間はいくらあっても足りないし、漫画読んでる暇なんてそんなに無いでしょう。その中で、エレンを読む時間を頂くのは大変な事です。だって進撃の30巻が出たんですから。鬼滅の刃だって最高潮だ。もう時間なんてありゃしないです。そこを、何とか。何とか分けて欲しい。

無理を承知で、大切なあなたの時間を、特に忙しい師走の時期を、まずは数十分でいいので分けて欲しいです。Amazonでも良いですが、本屋も良いです。買いに行ったついでに、たまたま見かけた別の漫画も買って欲しいです。アビスレイジを買って欲しい。サイコアゲインストを買って欲しい。本屋は楽しいです。漫画は面白いです。

その、大切な数十分を頂く重大さを、有り難さを想いながら、今日もエレンを描いてます。ご期待に応えられる様に、これからも精一杯頑張ります。宜しくお願いします。

なんか、卒業式みたいなテンションになってしまいましたが、マジでお願いします!電子もいいけど、やっぱり紙もいいよね、という話でした。


サポートも嬉しいですが、よかったら単行本を買ってください!