友達の話

漫画家のかっぴーです。社会人になってから、もっと言うと漫画家になってからは、どうしても新しく友達が出来るって事が少なくなりました。シンプルに遊んでるヒマが無いという物理的要因が大きいです。ただ、友達の様に頻繁に会ったりしなくても「この人とは友達だな」って思える人がいます。それは過ごした時間でも会った回数でも無く「時間さえあれば友達になれる予感があるし、気持ちの上では友達だ」という感覚です。

その、友達になれそうな人の共通点がありそうだなと思って考えてみたんですが、どうやら「笑顔で怒ってる人」なのかも知れないなと。怒りながら笑う人ってネタをする方が居ましたが、そういうのでは無いです。

まず、どうしても何らかのクリエイターである事が多いのですが、別にモノを作ってなくてもサービスを作ってる経営者でもいいし、業種は何でもいいんですが、そもそも真剣に仕事をしてたら、怒らないで済む訳が無いんですよ。これは周りに怒ってる人では無く(周りに怒ってそうな人もいるけど、どっちでもいい)何かを変えようとか、良くしようとか、もっともっとって考えてる限り、怒りがあるはずなんですよね。

「ああ、この人は良い仕事のためなら、人を殺すな」と思う人です。当たり前ですけど暴力的な人って意味では無いです。死んでも譲れないものがある感じ。だから「笑顔で怒ってる人」で。基本的には笑顔なんです。人当たりも良い。礼儀があってちゃんとしてて気配りもできる。でも、こいつ人殺すぞって思う人。人を殺すという言い回しが強烈過ぎますけど、なんか本当に居るんですよ。そういう人が。

こういったメンタリティだと、おのずと「自信が無くオドオドしてる」なんてあり得ないし「立場のために嘘をついたり」もあり得ないし、友達になれそうな感じがどんどん増してゆきます。怒りが根底にある人は、素直だから信用できる。

あと、これが非常に大事なんですが、他人に嫉妬したりしにくいんです。意外かも知れません。怒りが根底にあるのなら、他人に嫉妬心を燃やしてそうな感じもする。でも、実際そういう人たちはビックリするくらい他人の成功に関心が無い。それは何故かというと、嫉妬心ってストレートな感情じゃ無いからです。何か要因があって、それに対する感情という名の反応の中で、嫉妬っていうのはストレートに還元されたものでは無い。何かの感情が捻じ曲がって嫉妬として放出されてるだけで。

ぼくが考えるに「嫉妬」っていうのは本来存在しない感情なんです。何言ってるのか分かんないと思いますが、感情にはレイヤーがあって「直球感情」と「変化球感情」がある、みたいな。嫉妬っていうのは変化球感情で。捻じ曲がってる。その中で「怒り」っていうのは、直球も直球ですよね。

あと、シンプルにそういう人は絶対に売れる。時間がどの程度かかるかは知らないけど、必ず売れる。絶対とか必ずとか100%って無いかも知れないけど、これに関しては相当自信がある。

最近会ってない学生時代の友人が、まさしくそういうヤツだったんですけど。本当に魅力的なヤツで、生まれつき病気があって病院生活が長かったんですけど、そいつは「自分をバカにする奴が現れたら少なくとも物理的に殺せる様にしておこう」って、病院でずっと筋トレしてたんですよ。バキのキャラかっていう。最高ですよね。ぼくが出会った時には、腹筋バキバキで握力すごかった。そういう奴です。本来的には病気でハンデがあるのに、大人になる頃にはバキバキで、そいつは写真家になりました。

ある時、彼がオレの目をじっと見ながら「かっぴーは時間かかるよ」と言いました。「売れるのは30過ぎた後だ」と。当時は卒業と同時に超イケてる広告クリエイターになる予定だったのでスルーしましたが、本当にその通りになってしまった。






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