クリエイターに「SNS適性」は必要か。

32歳になりました。

脱サラして1年ちょっとが経ち、色々と変わりました。

ここ最近で一番嬉しかった事は、読切「アントレース」がジャンプスクエアクラウンという雑誌に掲載された事です。

クラウンは、スクエアの別冊で半分以上が「新人の読切」を掲載している珍しい雑誌です。それも、とてつもない高いレベルの読切ばかり。ぼくは話題になっている漫画が数巻出た後にやっと読み始める漫画感度が低い人間なので、読切をこんなに同時に読む事がありませんでした。連載漫画とはまた異なる熱量がある漫画ばかりで、とても感化されました。

全作品が連載を目指しているものなのかは分かりませんが、ふとSNSを駆使してみんなにアントレースを読んでもらう事が少し後ろめたく思ってしまいました。実際はSNSで人気があっても、アンケートを書く事や本が売れる事は別問題で、実際のアクションを起こす事はとても難しいです。ですが、やっぱり全く効果が無い訳は無いですから、幾分かはSNSの活用で有利になっている事もあると思います。

ぼくはSNSをこれだけ使っておいて、SNSポリスという漫画も出しておきながら、やっぱり心の何処かで、いや心の中心付近で「SNSでワーワー騒ぐ事は格好悪い事だ、浅はかだ。」と思っています。さらには、広告代理店という情報をいかに伝えて行動を起こすかという仕事をしていたのにも関わらず、やっぱり「本物は、いずれ世間に見出される」と信じています。SNSで注目して頂いている自分は、本物では無いという後ろめたさがあります。

注目されなくては意味が無い、という意見も分かります。そう思っている自分も当然居るから、SNSを使っている訳ですが、それでもやっぱり思うのです。

「SNSを使う事には、性格的に向き不向きがある」って。

ぼくは、感覚ですけどSNS適性が10段階評価だとしたら、真ん中よりちょい上、6か7くらいだと思っています。SNS適正と、その分野の才能は何も因果関係が無いと思っています。例えば、側から見ればSNSが上手そうな職種「コピーライター」だって、SNSを活用している人は非常に少ないと思います。言葉のプロなんだからSNS使わないと勿体無いと思った時期もありましたが、今思うとSNS適正は性格に起因するので、さすがに酷かと思います。

ぼくはSNSで注目していただいた人間です。それまでは、大企業の端っこで腐っていて、もうだめだ、どこにも行けないと毎日思っていました。だから、SNSのお陰でチャンスがフラットになったと思ったんです。でも、今SNSを見渡してみると、SNS適性が高い人間は結構性格が似てる気がするんです。だから、SNSで注目される人たちは性格的に似てくる。フラットになったんじゃなくて、性格的にSNS適性がある人が有利になっただけなのでは無いかと思うんです。

友達に、すごい才能があるヤツがいて、ぼくはずーっと「noteで文章を書けよ!書籍化するし、上手くいけばプロになれる」って言い続けてました。でも、彼は全然やりたがらない。別の方法で有名になるんだと言って、放送作家の塾みたいなものに通っています。どちらがいいか悪いか、あるいは早いか遅いかは関係無くて、とにかく「性格に合わない」という事があるんです。

ぼくは、彼の才能も行動も、とても尊敬しています。そして必ず、遅かれ早かれ有名になると思っています。彼が有名になった時に、自分も胸を張って会える様に行動しなくてはいけないと思います。

何度もくどい様ですが、ぼくもSNS適性ある寄りの人間で、でも心の中心付近では「いつか、本物の才能がSNS以外から現れて、SNSの全てを破壊してくれないだろうか」と思っています。その時、ぼくもダメージを負うかも知れませんが、なんとかまた復活できる程度の体力をつけておかなくてはいけないなと。

で、32歳になった話に戻りますと、自分にとってSNSは何なのかをもう少しだけ整理しておかなくてはと思います。まず、人気を集める場所では無いと思う様にします。騒いで人を集めて、その5%くらいの人が実際の行動をしてくれたらいい、みたいな投げ縄漁的な発想は違うと、きちんと思う様にします。

広告代理店出身としては、そういう戦法はもちろんアリなんですけど、費用対効果とかもろもろ考えたら、それって作家がするべき事じゃ無いんです。編集なのか、版元なのか、ツイッターアカウント運営代理なのかがすべき事だと思います。いやいや、次世代のクリエイターは自分でSNSをすべきだって考え方もあると思うんですが、やっぱりね、性格に向き不向きがあるんですよ。それをクリエイターの絶対条件にしようとしたら、クリエイターがみんな似てきちゃうんです。もっと「アントレース」のアキラみたいなキャラが成功しなきゃ面白く無い。

じゃあ何のために、ぼくはSNSを使うのか。それは自分の実力を測るために使おうと思いました。SNSの良いところは、タイムラインです。タイムラインという名の濁流。そこに、ひとつひとつ見たらキリが無い無限の(実際は無限でも何でも無くて、個々人が選択した情報網でしか無いんですけど)無数の優秀なコンテンツが流れている。その中で、注目を浴びる、目を止める、感想を頂く、シェアまでして頂く、こういう事を測るためには非常に使える戦場だと思います。

あとは、読者の生の声が聞けるのは素晴らしいです。誕生日だってツイートしたら、たくさんリプライもらえるし。それは純粋に嬉しいです。でも、作品のヒントがもらえるというのは浅はかだとぼくは思っています。SNSの感想が取るに足らないものだと言うつもりは一切無くて、すごく真に迫ったアドバイスがある事も多々あります。でも、それがどういう人が、どういう流れで言っているかまで分からない以上、断片的に取り入れる事は難しいと思います。また、Aプランもある、Bプランもある、どっちにも正解らしきものがあるとなた時に、作家はそれを選ばないといけません、そこには一貫性が求められます。それが作家性の様なものだと思います。すると、やっぱりSNSの感想は断片的すぎるのです。そのために、編集がいて定点観測してくれているのだと思います。一億層編集者みたいなのは、さすがに無理だろうなと思います。それを的確に選び抜ける一貫性があるんだとしたら、その人はSNSを使わなくても、ただの天才でしょう。

ちょっと話が広がりすぎてしまったので、「アントレース」の話をしますと、若干の後ろめたさを感じた上で、やっぱり、もし人気になって連載を勝ち取る事ができたとした時に、それはSNSで人気集めしたからでは無いと言い切りたいです。SNSという濁流で、自分の創作を鍛えたからだと言いたい。実際、SNSで話題になる作品をずっと作ってきたんですから、まがいなりにも蓄積した知見はあります。それはきっと、編集者にネームを何度も見せ続けて得られる知見と近いと思います。さっきのAプラン、Bプランの話で言うなら、その意見を自分で選ぶという知見まで得られました。だから、SNSでちやほやされたお陰では無くて、SNSでビシバシされたお陰だと言いたいです。

なので、結論としてはやっぱり読者のみなさん、いつもありがとうという話なんですけども、ここを勘違いして「もっとちやほやしてもらうには」と考え始めたら、もう32歳としてはキツイと思う次第です。

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ちょっと途中で切りづらい話になっちゃったのでここまで無料にしますが、下記は「最近はまっている事」を雑多に書いたものです。マジで何も得るものが無い与太話なので、チップだと思える人だけ購入して下さいませ。

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クリエイターに「SNS適性」は必要か。

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