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240501【Liverpool - Chelsea】リバプールが逆転勝ち!チェルシーにとっては痛すぎる、だが必然の黒星

Barclays Women's Super League WEEK20@ Prenton Park
4-3(0-1,4-2)

前半早々にチェルシーが先制したので、このまま押し切ってしまうかと思いきや、好機を生かし切れず、リバプールがセットプレーからの3発を含む4得点で打ち合いを制した。優勝争い渦中のチェルシーは手痛い黒星。連戦と故障者の影響が終盤に来てもろに出ている。

記録

2試合未消化で、暫定首位のマンチェスター・シティと勝ち点6差のチェルシーが、9分にマカリオ(Catarina Macario)のCKから、GKのブロック役・アギー(Aggie Beever-Jones)のヘッドで先制。リバプールはこの手の選手のマークを誰が受け持つのか決めていなかったのと思うくらい、ふわっと失点を喫した。11分にはニュスケン(Sjoeke Nüsken)、19分にはマカリオと、連続してチャンス到来のチェルシーがここで突き放せていれば、そこで終戦だったのだろうが、ここで1点止まりだったことが結果として響いた。

カービィ(Fran Kirby)もミリー(Millie Bright)も復帰してから全然本調子ではなく、カーター(Jess Carter)は個人的にずっと足下が怪しいと思っているし、両サイドバックとウイングの縦関係もしっくり来ていない。ビルドアップを制限された際には、ハンナ(Hannah Hampton)も中距離パス精度に乏しくて、ならもっと長いボールを蹴ってしまえばよかったのにと思うけれど、サム・カー(Sam Kerr)とミア・フィシェル(Mia Fishel)は前十字中で、ラミレス(Mayra Ramírez)はグロインペインにローレン(Lauren James)は体調不良と、前線で競り勝てる見込みの選手不在とあってそういう選択をしたのかもしれない。しれないが、結果つながっていないのだから、何か変えればよかったのにと思わざるを得ない。

ロマン・ハウグ(Sophie Román Haug)のスルーパスにコイヴィスト(Emma Koivisto)が抜け出した25分のシーンに、リバプールの可能性とチェルシーの不安を感じた。リバプールは(Jenna Clark)がラインアップをサボらなかったがゆえに32分や54分にオフサイドを取れた。コイヴィストの負傷は、歩けていたから前十字靭帯だと思う。どこかの実況は以前、「歩いているので大丈夫でしょう」的なことを言っていたけれど、プレー続行不可の歩行可能なんて、9割方前十字だろうに。

折り返して51分にはヘビンガー(Marie Höbinger)の左CKからロマン・ハウグのヘディング弾でリバプールが試合を振り出しに戻した。63分のエンダービー(Mia Enderby)の決定機こそハンナのウルトラセーブ(さすが!)に阻まれたが、66分にまたもヘビンガーの左CKから今度はジェマ・ボナー(Gemma Bonner)が合わせてリバプールが逆転する。最初はファー、次はニアでカスバート(Erin Cuthbert)にかすったとは言え、決勝点もそうだけどチェルシーはCKの守備が緩すぎた。マークの問題は当然として、ストーンがストーンになれていない。ここでも競り勝てるFWのコマ不足がたたった印象がある。

勝利必須のチェルシーは浜野まいか、レイテン(Guro Reiten)と前線の顔ぶれを変え、ショートカウンターからようやく80分にアギーが同点弾。カスバートのカットからレイテンのスルーパスで左ポケットの奥を取り、GKを釣り出しつつのチャールズ(Niamh Charles)のカットバックをブロックに当てないよう、丁寧に蹴り込んだ。

追い付かれたリバプールもこの直後、セリ・ホーランド(Ceri Holland)が自陣中央で相手をかわして持ち運びからの絶妙スルーパスを送り、キアーナン(Leanne Kiernan)が決めて再びリードを奪うと、チェルシーもその2分後に右奥で浜野が粘ってからのマカリオのシュートをダニエルズ(Yana Daniëls)にライン上でクリアされるも、これがGKに当たってオウンゴールとなり、再びタイスコアに。目まぐるしく動くスコアは90+2分に、今度は右CKからヘビンガー→ボナーのラインでリバプールが勝ち越して勝負あり。90+4分にはカスバートのシュートをミッシー・ボー・カーンズ(Missy Bo Kearns)が粘りのブロック、90+8分にはアギーのボレーをGKが好セーブと、チェルシーの反撃をしのぎ切った。というか、4点も取られたハンナを初めて見た。

リバプールは中盤3人がチェルシーの中盤3人をマンツーマンでにらみ、2トップが2センターバックに制限を掛け、サイドバックへはウイングバックがふたをする形が時間とともにはまっていった。今日のチェルシーにはローレンみたいに1人でゴリ押しできる選手がいない上に、前述の通り、ウイングに対するサイドバックのフォローが遅かったので、リバプールとしては、一時ラインを突破されても撤退するゆとりがあったし、カーターとローレンス(Ashley Lawrence)の間を長野がポンポン狙うので、チェルシーとしても攻めるに攻め切れないような感じもあった。

連戦続きではリカバリー中心になるため、戦術を固めるようなトレーニングをする時間の確保が難しい。女子チャンピオンズリーグやコンチネンタルカップ、FAカップと勝ち進んで、当初はエマ・ヘイズ監督最終年に4冠の可能性もあったわけだが、UWCLは準決勝でバルセロナに、コンチカップは決勝でアーセナルに、FAカップは準決勝でマンチェスター・ユナイテッドに敗れ、この日の敗戦でリーグ戦も5連覇に黄色信号と、下手をするとまさかの無冠に終わる可能性すら出てきてしまった。BBCでも同じようなことを言っている。

シティには長谷川唯もいるし、シティはシティでこのところタイトルに縁がないので優勝して欲しい想いも強いのだけれど、自分がWSLに興味を持つきっかけの1つとなる一時代を築いたヘイズのラストがこんな形で終わるのも(まだ終わっていないけれど)、とても寂しく感傷的になってしまう。そう思う人は自分以外にも結構いるのではないか。

あとはこの試合のレポートを日本のメディアが書いてくれないことが悲しい。

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