1億円の壁

衆議院議員選挙が終わった。世の中は忙しいから、古いことはどんどん忘れていく。その前に、自民党の総裁選挙があった。ほんの少しだけ「1億円の壁」が話題になった。

「1億円の壁」とは、所得が1億円を超えると所得税の負担率が低下する現象を指す。この現象が生じる理由は、高所得者層ほど所得に占める金融所得の割合が高いが、金融所得の税率20%が、他の所得に比較して低いことによる。だから金融所得の税率を上げようという考え方もある。

それはひとつの考え方である。しかし、そうすると当然ながら中低所得者の金融所得についても増税となる。株価の下落要因にもなるかもしれない。中低所得者の頼みの綱、年金資産の運用にとってもマイナスかもしれない。

また、経済格差については、所得税だけで考えるわけにはいかない。この議論には、財産に対する課税である相続税などは含まれていないからだ。

公平性や格差是正を実現するには、部分的な手直しではなかなかうまくいかない。だから政治は難しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?