takeuchi

Webコンテンツの制作会社にて、記事の企画・編集・ライティングをしている、兼業主夫です。

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記事一覧

ふと思い出した蜂の話

僕の田舎は文字通り大変な田舎で、小学生のときにはしばしば、歳の近い従兄弟と3人で近所のドブみたいな所へ行き、昆虫やおたまじゃくしを探して遊んだ。 「ドブみたいな所…

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2週間前
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かも知れない話

昨日、鴨料理を食べたのだが、家鴨(あひる)は鴨の何なのか、その場でググるまで恥ずかしながら知らなかった。 マガモを食用に改良したのがアヒル、そのなかでもマガモっぽ…

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2か月前
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父のコート

実家の父からコートが送られてきた。 愛知県の田舎で事務所を構え働く父は、どこへ行くにも車を使う。齢70も過ぎて、世の中的にはそろそろ免許返納という年頃だが、近くに…

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4か月前

じぇじぇじぇの謎

3か月ほど前、十数年ぶりに、小学校時代の同級生から連絡が来た(僕は中学から地元を離れている)。 「同年の厄年で、お祓いの話が出ています。参加しますか」 村の厄年の…

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4か月前

バファリンにとってのイブプロフェンのような、人間の合理性について

2024年、大変な幕開けとなってしまいました。今回の地震で亡くなった方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々が心穏やかに過ごせる時が一秒でも早く訪れることを…

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5か月前
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賢いという職業

欧米では12月になると、「Whamageddon(ワマゲドン)」というゲームでSNSが盛り上がるそうだ。 「Wham!」と「Armageddon(アルマゲドン)」でWhamageddon。クリスマス当日まで…

takeuchi
6か月前
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美しいと醜い

トニ・モリスンの「青い眼がほしい」を読んだ。 ノーベル文学賞を受賞した、アメリカの黒人女性作家の作品。大学の米文学の授業で少し読んだんだけど、そのときは鼻息の荒…

takeuchi
6か月前

あふれかえるパスタの山

チバユウスケさんが亡くなった。 高校時代に出た「カサノバスネイク」というアルバムの1曲目の「デッド・スター・エンド」を聴いたとき、歌詞のとおりぶっとんで、ぶち抜…

takeuchi
6か月前
3

前田のクラッカーって本当にあるのか。

映画「ゴジラ -1.0」を見た。 ゴジラの小さくて真ん丸な目と、ねこ背のフォルムがたいへん愛らしかった。 舞台は戦後まもない東京。元軍人たちが知識と経験を生かして怪…

takeuchi
7か月前
1

暴力と5万年

今朝の通勤時、電車から降りるとき、降りる人の邪魔になって動こうとしないおにいさんを、おじさんがグーで叩き、それに対しておにいさんが蹴り返した。おじさんは逃げてい…

takeuchi
7か月前
3

kabuku

歌舞伎座で歌舞伎を見る。 ネットでたまたま見た片岡仁左衛門の写真がかっこよすぎて、タイミングが合ったので行くことに。 「片岡仁左衛門、一世一代にて相勤め申し候」…

takeuchi
1年前

ココア

少し調べればわかることでも、知らないままにしていることはけっこうある。例えば食後の飲み物。 僕の場合はこうだ。朝食の後はブラックコーヒー、昼食の後はミルクを入れ…

takeuchi
3年前

11年目

編集ボランティアとして、少しだけこちらの冊子の原稿チェックに携わらせていただきました。 https://www.inochi-kurashi.jp/info/3418/ 震災から10年という節目を迎え…

takeuchi
3年前
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ふと思い出した蜂の話

ふと思い出した蜂の話

僕の田舎は文字通り大変な田舎で、小学生のときにはしばしば、歳の近い従兄弟と3人で近所のドブみたいな所へ行き、昆虫やおたまじゃくしを探して遊んだ。
「ドブみたいな所」と書いたが、あれが狭小な河川なのか、人工的な用水路に類するものなのかも、今となってはわからない。現存するのかもしれないが、今のところ努めて確かめようとも思っていない。年始の家族旅行が習慣化したことにより、最近では年に1回あるかないかもわ

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かも知れない話

かも知れない話

昨日、鴨料理を食べたのだが、家鴨(あひる)は鴨の何なのか、その場でググるまで恥ずかしながら知らなかった。
マガモを食用に改良したのがアヒル、そのなかでもマガモっぽく改良されてるのがアイガモ、なのだそう。つまりアヒルもアイガモもみな「鴨」なのである。クジラとイルカみたいなものか。クジラは食べちゃだめなんだっけ。

小説「ライ麦畑でつかまえて」で、主人公のホールデン・コールフィールドが、セントラルパー

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父のコート

父のコート

実家の父からコートが送られてきた。

愛知県の田舎で事務所を構え働く父は、どこへ行くにも車を使う。齢70も過ぎて、世の中的にはそろそろ免許返納という年頃だが、近くにバス停もない、最寄りの駅まで約2kmという状態では、どうしようもないのが現実である。なんとかしろよ、市。

話がそれたが、とにかくそういうわけで、彼のビジネスライフではアウターや防寒具を使う機会がほぼゼロなのだ。それゆえ、若い頃に購入し

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じぇじぇじぇの謎

じぇじぇじぇの謎

3か月ほど前、十数年ぶりに、小学校時代の同級生から連絡が来た(僕は中学から地元を離れている)。

「同年の厄年で、お祓いの話が出ています。参加しますか」

村の厄年の男たちで集まり、地元の神社で厄祓いをするほか、集会所への寄贈、小学校への寄付、村への寄付、各種年中行事での「ふるまい」(お菓子や抽選会景品の拠出)などをするのが通例とのこと。

ライングループで話し合った結果、厄祓いで集まった際に一人

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バファリンにとってのイブプロフェンのような、人間の合理性について

バファリンにとってのイブプロフェンのような、人間の合理性について

2024年、大変な幕開けとなってしまいました。今回の地震で亡くなった方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々が心穏やかに過ごせる時が一秒でも早く訪れることを願っています。

世の中の人間はみな半分が優しさで出来ているものだと僕は信じているけれど、思いやりだけではどうにもならないこともある。そんな場合は、人権に関する知識をしっかり身につけた何かのプロの集団が、しかるべき時に合理的な行動をとる

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賢いという職業

賢いという職業

欧米では12月になると、「Whamageddon(ワマゲドン)」というゲームでSNSが盛り上がるそうだ。

「Wham!」と「Armageddon(アルマゲドン)」でWhamageddon。クリスマス当日まで、いかにWham!の「Last Christmas」を聴かずに過ごせるかを競う。聴いてしまったら、ハッシュタグを付けてそのシチュエーションをポストする。マライアでなくWham!というのが、なん

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美しいと醜い

美しいと醜い

トニ・モリスンの「青い眼がほしい」を読んだ。

ノーベル文学賞を受賞した、アメリカの黒人女性作家の作品。大学の米文学の授業で少し読んだんだけど、そのときは鼻息の荒い周りの雰囲気に、こちらが拒絶されたような心持ちになって、興味はあったがちゃんと読む気になれなかった。芸術作品に出合うきっかけって大事。

主軸は黒人の少女が父親にレイプされる話で、その周りの人たちの生い立ちなどが語られることで、どうして

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あふれかえるパスタの山

あふれかえるパスタの山

チバユウスケさんが亡くなった。

高校時代に出た「カサノバスネイク」というアルバムの1曲目の「デッド・スター・エンド」を聴いたとき、歌詞のとおりぶっとんで、ぶち抜かれて、それから本格的にミッシェルを聴くようになった。結局一度もライブで見ることができないまま、ミッシェルは解散してしまい、アベフトシが亡くなり、そしてチバユウスケが亡くなってしまった。

死亡が発表された日の昼休み、何の気なしにスマホを

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前田のクラッカーって本当にあるのか。

前田のクラッカーって本当にあるのか。

映画「ゴジラ -1.0」を見た。

ゴジラの小さくて真ん丸な目と、ねこ背のフォルムがたいへん愛らしかった。

舞台は戦後まもない東京。元軍人たちが知識と経験を生かして怪獣退治に発起するわけだが、そのなかに、いわゆる江戸っ子気質でべらんめえ口調の快活漢がいる。

そのキャラクターが、恐れ入ったという感情を口にする際、「おそれイリヤのキシモジン」と言った。こういうこと言う人が友だちや上司にいたら僕はす

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暴力と5万年

暴力と5万年

今朝の通勤時、電車から降りるとき、降りる人の邪魔になって動こうとしないおにいさんを、おじさんがグーで叩き、それに対しておにいさんが蹴り返した。おじさんは逃げていったのでそれで終わったけれど、人が何かに腹を立てたときに、その感情を暴力という行為につなげる選択肢が自らの内に挙がり、それを選択するということをするのに、こんなにも時間がかからないものかと、心底驚いた。

たったの3秒で、それも朝から、さし

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kabuku

kabuku

歌舞伎座で歌舞伎を見る。
ネットでたまたま見た片岡仁左衛門の写真がかっこよすぎて、タイミングが合ったので行くことに。

「片岡仁左衛門、一世一代にて相勤め申し候」。この役をやるのはもう最後かもしれないということらしい。

席が左右センターらへんだったこともあり、正面の見得(みえ)が人工物のように左右対照に見えて、信じがたいほどに美しかった。物体としての人間の正しいフォーマットを見させられたよう。

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ココア

少し調べればわかることでも、知らないままにしていることはけっこうある。例えば食後の飲み物。
僕の場合はこうだ。朝食の後はブラックコーヒー、昼食の後はミルクを入れたコーヒー。夕食の後はデザートに合わせた飲み物か、何も飲まないことが多い気がする。特に理由はないし理屈は知らないけれど、「なんか」それが落ち着くのだ。とりわけ昼食後の茶色のコーヒーは是非ものである。波立つ胃酸の溜め池にほどほどのミルクで蓋を

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11年目

編集ボランティアとして、少しだけこちらの冊子の原稿チェックに携わらせていただきました。

https://www.inochi-kurashi.jp/info/3418/

震災から10年という節目を迎えるにあたり、11年目以降、被災者に対する関心が薄れていくことを心配している団体さんが多いようです。
死傷、損壊、移住、風評被害以外にも、さまざまな形の「被災」があります。どういう人がどういうふう

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