上達に係る日々のレベル設定について

技能系の発達には日々の継続が大切であることは周知の事実であると思うが、しかし、同じことばかりやっていても上達しないのではないかという恐怖が生まれてくるのもまたひとつとしてあると思われる。

過度な頑張り感は、得てして燃え尽き状態を引き起こし、そこに向かうエネルギーを消してしまう――特別な強迫観念をもって打ち込める人を除けばだが――。

少し前までは、常に新しいものに挑戦すべきだと思っていた。主に絵についてだが、常に新しいことを模索することが、上達への唯一の近道で、そこで生まれるストレスというものは克服していかなければならないものだと決めつけていた。

新年からは、「できること」を繰り返すことを否定しないようにした。どこかで描いた構図、得意なモチーフ、完成を前提としていない落書き、そういった楽なものを、しかし毎日継続して、描き続けることにした。

思えば、昔スポーツをしていたときは、一般的に大切だとされるのは基礎練習の連続だった。もちろん試合練習も大切なのだが、毎日基礎練習をすることは、いかなる分野でも重宝されているように思えた。

基礎練習とは何なのか。色々受け取り方はあると思うが、それは「誰にでもできるが、大切なことの繰り返し」(誰にでもできる、というのは、そのスポーツの経験者なら誰にでも、ということ)なのだと解釈した。それを、毎日何回、と決め、ひたすら繰り返すのだ。

この「土台」が新しいことに挑戦する上で、極めて大切なことなのだと気付いた。描く絵のレベルは落としてもいい。スランプとは、自分への要求水準が高くなりすぎたときに起こるエラーなのではないだろうか。

技術の進歩とは無意識的なものであるということをもう一度念頭において、これからも描いていきたい。

そういう決意表明の意味を込めて、この手記を残す。

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