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北京入院物語(54)

 少々汚い話ですが、私は寝返りすらできないので、おしっこは別にして、便の介助は大変でした。
中国ではどうしていたかというと、電動リフトもないので、周さんは私を車椅子から抱えてベッドに移乗し、横向きにして尻に使い捨ての防水布をあてがいます。
前のほうには尿瓶をあてがいます。
この状態でナニをして、防水布に水を含ましてお尻を拭き、防水布ごと捨てるという按配です。

 中国ではこの便で汚れた汚物を捨てる汚物入れというものがありません。
一般ごみを捨てるゴミ箱に同じように捨てます。
彼らの頭の中には、汚物と一般ゴミの間に明確な境界線はないように思います。
生ゴミとの境界線もあいまいです。
したがって、同じごみ箱に、私の付き添いが汚物を捨てた後、掃除のおばちゃんがゴミを捨て、看護師がお弁当の食べ残しを捨てます。(・・・コメントできません)

 この清潔感というのは国によって千差万別で、日本のように厳格な国もあれば、その対極のような中国では、何がきたないか、ずいぶん違います。
聞いたわけではありませんが、中国では唾液、痰、鼻水はさほど気にしないようです。

 例の喫茶店でコーヒーを飲んでいたときのことです。
アベックが向かいあわせにテーブルにつきました。
しばらく楽しそうに話をしていたのですが、いきなりお嬢さんがティッシュを取り出し、バイクの排気音ほど響かせて、彼氏の目の前で鼻をかんでびっくりしたことがあります。
喫茶店のお嬢さんも台所の流しに、鼻水を音を立てて流していました。
北京入院物語(55)


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