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北京入院物語(65)

 鍼灸科に関してはもう少し説明をします。
部屋の中には、人1人が横になれる程度の診察台が合計6脚あり、境目はカーテンで区切られています。
この診察台は鍼灸師が、かがまずに針を打てるように、かなり高目です。
部屋に入って診察台に上がり、仰向けになり、おなかとひざはあらかじめ服をめくっておきます。

 先生は何百といわれるツボから、独自の診断に従ってツボを選びます。
国際医療部の孟先生と同じように太い針を深く刺します。
合計20本位の針を1分程度で打ち終わると、電熱器を患部に当てます。
これで先生は仕事はいったん終り、椅子に戻ってゆっくりと新聞を読みます。
新聞を読みながら、時々仕事をしているといった方が正確です。
20分ほどして、私が趙先生に
「時間到了(時間が来ました)」
と言うと、助手が針を抜いてくれました。

 部屋には先生と患者以外に、実習生が3人から4人はいます。
それほど狭い部屋ではないのですが、医師、患者が1部屋に10人、15人となるとさすがに手狭です。


実習生には外国人が含まれていて、韓国人、日本人以外にイギリス人、カナダ人、イスラエル人、トルコ人、ドイツ人と人種の博覧会です。
主治医は語学が出来て、英語とドイツ語で実習生に説明します。
 そんな関係で診察台で横になっている頭上では、中国語、ハングルは当たり前で、英語、ドイツ語、フランス語までもが飛び交っていたのです。
北京入院物語(66)


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