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北京入院物語(81)

 彼には失礼ですが、確かに貧乏でありながら、お金に関しては淡泊といっていいくらいきれいでした。
お金はありませんでしたが、お金に困っているようすは、ありません。
生活ぶりが質素だったからです。

 こういうフーゴンの仕事というのは、本来病院内に限られ、責任を持つのもその範囲内であることを知るところとなりました。
そこで、フーゴンの管理事務所に1時間5元(一般料金)払っていましたが、外出手当てとして、直接フーゴンに1時間3元を別途渡していました。
この点は周さんも包さんも同じ金額でした。

 前の話になりますが、周さんと広州に出かけたときは1日100元渡していたのです。
今から思うと、周さんは月給600元弱でしたから、これで十分と思っていたのですが、どうも不満を持っていたようです。

 そのことは推測ではないと思います。
彼自身が私にしてくれた話です
ベテランの彼は以前日本人の付き添いをしたそうです。
その日本人は、医者にたばこを吸っているのを言わなかったお礼に、周さんに1回当たり400元くれたそうです。
そういう日本人に比べて、私はどう見えたでしょうか?

 私はその日本人が周さんの経済感覚を狂わしたと見ています。
いうなれば思いがけず「あぶく銭」を手にしてしまい、日本人の介助をするときは、「熱い期待」を秘めていたと考えるのは妥当な所です。
外出時の1時間3元の手当ては、彼の「熱い期待」を満足させたでしょうか?
北京入院物語(82)

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