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「NOT ME」を観て考えたタイの社会変革と日本の教育変革

タイドラマのことは書きたいことたくさんあるんですが、最近観た「NOT ME」がすごく考えさせられたので先に書き始めてしまいました。

この記事は、ドラマのストーリーから私が感じたことや考察したことを書きます。
今回はBLや俳優さんを愛でる内容ではありませんので、あしからず。
※ネタバレも含みますので、未視聴の方はお気をつけください。

↓ドラマ予告編

予告編で分かるように、ハードめで超社会派な内容だけどちゃんとBLです。
BL関係なく話が面白い。
ちゃんとしたドラマで主役がたまたま男を好きになる感じ。ドラマの中で自然なんです。
こういうのがあるから、タイドラマ好きです。

ストーリーを簡単にいうと、
タイでは権力者と労働階級の分断があり、法の元の平等が無い。権力者が犯罪を犯しても隠蔽される。
そこに対してなんとかしたいと立ち上がった若者たち。
そのリーダー格のBlack(ブラック)が何者かに襲われ、双子の弟White(ホワイト)が Blackになりすましてレジスタンス集団に潜入し、その犯人を探そうとする。
というお話。

タイ、分断、権力、労働者階級、法律、LGBTQ、双子、障がい者、ストリートアート、芸術、意識の解放、トラウマ、デモ・・・
このドラマだけでたくさんのキーワードがあります。
その中でずっとストーリーの根底に流れているのは「分断」と「社会変革」

生まれた家の階級によって特権を受けてきた人と犠牲になる人がいる。
教育の機会も均等ではない。
罪を犯しても罰を受けないという無罪特権という権力者の特権。
法律の枠の統治を侵害することが暗黙の了解として公然と行われている。
その中で権力者に搾取されてきた若者たちが、社会を変えるために立ち上がります。

その立ち上がり方が3パターンあり、それが私には日本の現在の教育変革と繋がって見えてしまいました。
以下、あくまで個人的見解です。

パターン1 思いをそのままぶつけるBlackのやり方

Black(双子の兄)

レジスタンス集団のリーダー格のBlackは、暴行もいとわず相手に立ち向かっていきます。

これは学校や教育委員会で、直接自分の思いをぶつけて対立している人ですね。
信念が強くて、ぶれないから、かっこいいんです!
だから仲間もできます。
でも、権力が怖い人たちは直接仲間になることはありません。
下手すると権力でつぶされてしまうし、結構信念が強くないとやっていけずにつぶれてしまう事もあります。

パターン2 SNSを使い支援者を増やすWhiteのやり方

White(双子の弟)

兄のように力で対抗するやり方に慣れていないWhiteは、自分たちのやっていることを広く知ってもらおうと自分たちの犯行画像をSNSに投稿します。
それがきっかけで、レジスタンス集団を支持する動きが始まり、反権力デモが活性化していくのです。

これは、一度公立学校を退職して学校の外から教育を変えようとしている人たちですね。
直接対決ではなく、こういう主張がある、こういうやりかたもある、これでもできるよ、ということをSNSで投稿し、認知を広めていきます。
全国に同じ思いの仲間ができ、ファンもつきます。
公立学校外にそういう教育を増やし、最終的にはそれが国に認められ、教育が変わることを目指しています。
このパターン、この数年で激増しています!

パターン3 権力をもって変えようとするTodのやり方

Tod

御曹司のTod(トッド)は自分が権力を持つことで、現在の権力者Tawi(タウィ)を引きずり降ろそうとします。
ドラマの中では悪役なのですが、「進む道は違っても俺とお前の志は同じだ」とBlackに言うセリフから権力で社会を変えようとしているのかな、と推察しました。

これは、校長や教育長になったり、文科省に行って教育を変えようとする人たちですね。
「学校を変えたければ校長になれ。」と、よく言われます。
確かに校長権限があるので、学校を変えることが出来ます。
しかし、管理職という立場が合っている人とそうでない人がいるので、すべての人がこのルートに行くわけではありません。
管理職になりたくなくて、ずっと担任を続けたいと思っている教員の方が多いです。

どの立場がいいとか悪いとかはありません。
どういう社会変革でもこの3パターンがあるんだなあ、と興味深く観てしまったのです。

ドラマの最後は、SNSきっかけの国民の支持層が大きくなり、それによって一人の権力者が力を失ったところで終わります。
でも、そこで変革は終わりではないはずです。
社会の根本が変わらない限りまた同じことが起こります。
そこを変えていくためには、権力からの変革も必要だし、現場で声を上げ続けることも必要です。
簡単には終わらないけれど社会変革が起こっていく光が見えました。

気分転換のはずのタイドラマを観て、自分の関わっている日本の教育変革とつなげてしまう。
そんな観方もたまにはありです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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