見出し画像

小説版「赤と白とロイヤルブルー」を彩る音楽を集めてみた

どうも、タイ沼のはずなのに「赤と白とロイヤルブルー」への浮気が止まらないricazouです。
タイドラマを観る時間がぐんと減ってしまうくらい、「赤と白とロイヤルブルー」にハマっています・・・

映画版がとても面白かったので、原作好きの私はすぐに原作小説を購入して読んでみました。
そしたら、それがすごく面白い!!!

⇩出版元の二見書房の紹介動画

でも、登場人物の設定や細かいストーリーが違う
そして、読み進めると出てくる音楽や本も違う?!
なにより、アメリカでは当たり前だけど日本にはないことが文字だけで出てくるので、想像しにくい💦(これは翻訳小説あるある)

という事で、小説の世界にもハマってしまったので、それをより楽しめるように自分でちまちま調べながら小説の注釈のようなものをつけはじめました。
そうしたら、結構な量になったので、noteに書いてみようかと思いました。

まずは私の大好きな登場人物と音楽についてまとめたものです。
よろしければご覧になってみてください。

★ネタバレあります。
 小説未読の方はご注意ください。


登場人物

映画版よりも出てくる人が多いです。
小説では絵や写真が無い分、その人の仕事の詳細や人となりがくわしく書いてあったので、想像しやすいようにその部分を集めてみました。
★の人たちは小説にしか出てきません。
☆は映画と違うところです。

アレックス・クレアモント=ディアス

アメリカ合衆国の大統領の長男。Z世代。
整ったあごの線と黒っぽい巻き毛でハンサム。
読書用の眼鏡をかけている。(世間的には使っていないことになっている)
夏季オリンピックの好きな競技は新体操。
好きなチノパンのブランドは〈ギャップ〉。

ヘンリー

英国の王子。
古典的なハンサム。
大きくて青い瞳☆、豊かなブロンドと高い頬骨、親しみのある笑み、温かみを感じさせる穏やかな口元。
幸せな太陽のように輝かしい自信は天性のもの。
実際のヘンリーは端整で、超然としていて、物憂げで、内向的。
アレックスよりも10㎝ほど背が高い。
オックスフォード大学でイギリス文学を学び、ピアノでクラシックを弾く。

ジューン・クレアモント=ディアス★

アレックスの姉。ミレニアル世代。
大衆誌やゴシップ誌に載った自分たちの記事を読むのが暇つぶし。
ノーラと親密な関係の不思議なつながり。

ノーラ・ホラーラン

アレックスの親友。アメリカ合衆国の副大統領の孫。Z世代。
褐色の巻き毛でショートヘア。
マサチューセッツ工科大学の申し子と言われるくらいの秀才。
ジューンと親密な関係の不思議なつながり。

ホワイトハウス三人組

アレックスとジューン、ノーラのこと。
アレックスが盛り上げ役、ジューンはなだめ役、ノーラは隠しごとなく話をさせる役。

エレン・クレアモント=ディアス

アレックスの母。アメリカ合衆国初の女性大統領。
赤みがかったブロンド、ハイヒールを履くことが多い。
シングルマザーの母に育てられた。
アレックスにはじめて恋人ができた時、パワーポイントを使ってプレゼンテーションを作った。

オスカー・ディアス

アレックスの父。エレンの元夫☆(映画では離婚していない)。上院議員。
メキシコ移民。

レオ★

エレンの再婚相手。眼鏡でひげ面。
10以上の特許を持っていたが、エレンが大統領になり、自分の会社を売却して大統領の夫の務めを果たすことに専念している。
コミックの『アイアンマン』みたいに、ほとんどの電気機器をいじってばかりいる。

フィリップ

ヘンリーの兄。
気取った笑みを浮かべた印象の薄いイギリスの王位継承者。

ラファエル・ルナ★

コロラド州選出の上院議員。
読書用の角縁眼鏡をかけていても映画スターのような風貌。
褐色の瞳、きれいに整えられた無精ひげ、顔に陰影を与える頬骨。
ラテン系にしてゲイだと公表している。

ジェフリー・リチャーズ

共和党の大統領候補。
灰色の髪、輝く真っ白な歯とがっしりしたアンクル・サムばりのあご。

ビアトリス

通称ビー。ヘンリーの姉☆(映画では妹という設定)。

キャサリン★

ヘンリーの母。メアリー女王の長女。
イギリス史上はじめて博士号を取得した王女。専攻はイギリス文学。

アーサー・フォックス

ヘンリーの父。2015年に死去。
映画ならびに舞台で活躍したイギリスの俳優。
代表作は80年代に演じたジェームズ・ボンド。

パーシー・オコンジョ

通称ペズまたはペザ。
ヘンリーの親友。ヘンリーとはイートン校で出会った。
バイオメディカルでアフリカをリードする、ナイジェリアの企業、オコンジョ・インダストリーの後継者。
非営利の人権団体オコンジョ財団を運営。

カッシアス(キャッシュ)★

エレンのシークレットサービス。巨漢。

エイミー・チェン

エレンのお気に入りのシークレットサービス。
海軍特殊部隊出身で何人もの男を殺してきたと囁かれている強者。
刺繍道具を持ち歩き、ナプキンに刺繍をしたり、その針を使って・・・
(映画ではエイミーとキャッシュが一緒になったようなキャラが一人で登場しています)

シャーン・スリヴァスタヴァ

ヘンリーの侍従。
仕立てのいいスーツを着こなす30代とおぼしき背の高いインド人。
綺麗に切りそろえたあごひげを蓄えた、どことなく不良っぽさのあるハンサム。
長い脚で歩く姿が颯爽としている。

ザハラ

大統領次席補佐官。エレンの片腕。
大統領一家の危機管理業務を安心して任せられる唯一の人物。

デイビッド

ヘンリーの愛犬。雄のビーグル犬。
デイビッド・ボウイから名前をつけられた。

小説はアレックス目線で書かれているので、アレックスから観た私見が結構あるなあという印象。
なので、ヘンリーの容姿に関しての記述はとても多く、それが全て魅力的なことしか書いていないので、読めば読むほど最初からヘンリーに惹かれていたんだなあと分かります。
そして、アレックスがそんなに興味がない人に対してはほとんど説明が無く、勝手に想像するしかありません。
以外だったのは、アレックスの姉ジューンについての容姿の記述がほぼ無いこと。
ノーラは何度も「褐色の巻き毛」というワードが出てくるのに、ジューンは髪をアップにできるという事くらいしか見つけられませんでした💦
アレックスにとっては姉なので、容姿には興味がないのでしょうか。

ということで、書かれていないところは想像で楽しみましょう。
それが小説の醍醐味です!


音楽

ドラマOST大好き人間にとって作品で流れる音楽はすごく大事!
流れている音楽が分かるとストーリーがより鮮明になります。

下記のラインナップを見ていただけるとお分かりかと思いますが、映画と小説では結構音楽が違います
物語のキーとなる曲は同じですが、それ以外は映画は現代風、小説は80年代などの懐かしいメロディがたくさん使われています。

映画も良かったですが、私は個人的に小説の音楽の方が好きです!

という事で、小説に出てきた音楽を出てきた順番にご紹介します。

ホワイトハウス

『リッチ・ガール』 - ホール・アンド・オーツ

序盤のアレックスが自分の部屋について語っている中で出てくる『リッチガール』
ダリル・ホール&ジョン・オーツの曲です!
このデュオは2人の声とメロディーがいいんですよ。作品関係ないですが私は個人的に大好きなデュオです!

ドアを閉めて自分緒部屋にいれば、人目を気にすることなく、部屋の片隅に置いたプレーヤーでホール・アンド・オーツのレコードをかけて、かつての父と同じように『リッチ・ガール』を口ずさんでいられる。

「赤と白とロイヤルブルー」本文より

と、書いてあります。
アレックスの父の世代の曲を口ずさめるほど、昔の思い出が詰まったアレックスのルーツの曲なのかなあと、思いました。

『ロンドン・ラック・ラブ』   - ホール・アンド・オーツ

ジューンとイギリス王室の結婚式に出席することについて話しているシーンで、アレックスが最後にレコードを裏返してかけた『ロンドン・ラック・ラブ』
またもダリル・ホール&ジョン・オーツの曲です!
アレックスは自分の部屋ではこういう懐かしい曲を聴いているんでしょうか。

パッツィー・クラインのカントリーミュージック

アレックスとジューン、ノーラがホワイトハウスのエグゼクティブ・レジデンス3階の音楽室でくつろいでいるときに、ジューンがレコードの中から”パッツィー・クラインのカントリーミュージックをあさっている”と書かれています。
彼女は1960年代に活躍したカントリーミュージックの先駆者。
その中で何の曲を聴いたまでの記述はありませんが、代表曲の『Crazy』を貼ってあります。

テキサスのラファエル・ルナ

マディ・ウォーターズのブルース

アレックスが仲良くしている上院議員のラファエル・ルナの執務室を訪ねた時にかかっていたのがマディ・ウォーターズのブルース。
アレックスがデンヴァー(ルナの選挙活動を手伝っていた時)でも聴いていたお気に入りとも書かれています。
ルナが好きな歌手なのか、最後の方でもルナのいるところでマディ・ウォーターズの曲がかかっています。
マディ・ウォーターズは1940年代から「シカゴ・ブルースの父」と呼ばれるブルースシンガーでギタリスト。
作中では具体的な曲の記述はないので、彼のヒット曲『マニッシュ・ボーイ』を貼っておきます。

クリスマス

『もみの木』のメロディー

クリスマスにアレックスがザハラとあった時に流れた『もみの木』のメロディー。

アレックスが着ているのは明るい緑のラメを編み込んだセーターで、彼が袖の内側に仕込まれたボタンを押すと、わきの下にあるスピーカーから『もみの木』もメロデューが流れる。

「赤と白とロイヤルブルー」本文より

アレックスの遊び心なのか、本当にそういうセーターがあるのかは分かりません。
作中ではメロディーだけですが、イタリアのテノール歌手アンドレア・ボチェッリの素敵な歌声を貼っておきます。

クリスマスキャロルの『ウィンセスラスはよい王さま』

クリスマスにアレックスがヘンリーに電話をかけた時、ヘンリーの声の背後にかかっていたのがクリスマスキャロルの『ウィンセスラスはよい王さま』
Wikipediaによると
”艱難を越えて、貧しい者に慈善を施すウェンセスラス王の行為と聖徳が称えられた歌”
とあります。
たくさんあるクリスマスキャロルの中でもこの曲が流れているのは、ヘンリーとウィンセスラス王の善行と共通点があるのかなあ、と勘繰って聴いてしまいました。

年越しパーティー

『アメリカン・ガール』のカバー曲

アレックス、ジューン、ノーラの3人が毎年大勢の客を招待して開催する”ヤング・アメリカ・ニュー・イヤーズ・イブの祭典”でジューンが好きで呼んだポップミュージシャンの生演奏の中で流れてきた『アメリカン・ガール』のカバー曲
この曲が始まると、アレックスはジューンの手をつかんでダンスフロアへ連れ出しました。
まだヘンリーが来る前、3人が楽しそうに過ごしているときにかかっていた曲です。
ここにはカバー曲ではなく原曲のボニー・マッキーバージョンを貼っています。

ゲット・ロー - リル・ジョン&ザ・イースト・サイド・ボーイズ

”ヤング・アメリカ・ニュー・イヤーズ・イブの祭典”で歌われたアレックスのお気に入りの曲。
作中には”リル・ジョンの懐かしい歌を絶叫する『ゲット・ロー』”とあります。
小説ではこの曲がかかった時にアレックスがヘンリーの襟をつかんで引き寄せ、その後ノーラがアレックスをつかんでヘンリーを引き離し腰を振り始めます。
その様子をヘンリーはあっけに取られて見ています。
この曲は映画でも、アレックスが踊らないヘンリーをダンスに誘うシーンで使われています。
ダンスホールで大勢が踊る中で二人きり見つめ合うシーンもこの曲です。

チャリティイベント後の夜のカラオケバー

『コール・ミー』 - ブロンディ

ウエスト・ハリウッドにある下品でけばけばしいカラオケバーでビーが歌った歌。
アレックスとヘンリーと交際を始めた後、チャリティイベントのパーティ後、アレックス、ジューン、ノーラ、ヘンリー、ビー、ペズの6人がカラオケバーで酒と歌で盛り上がっている時の1曲目。
作中には”『アメリカン・ジゴロ』で使われたブロンディの『コール・ミー』”とあります。

バーテンダーは毒々しいピンクの口紅を塗り、厚塗りしたファンデーションからひげが突き出している。

「赤と白とロイヤルブルー」本文より

本文を読むとこのカラオケバーはきっとゲイバーなのかなと思います。
『アメリカン・ジゴロ』にはゲイバーのシーンが出てくるので、それとリンクさせてこの曲を選んだのでしょうか?

『やさしくエモーション』 - ホイットニー・ヒューストン

カラオケでペズが歌ったホイットニー・ヒューストンの『やさしくエモーション』

びっくりするぐらい完璧なファルセットにクラブじゅうが総立ちになり、高らかな歌声に喝采を浴びせる

「赤と白とロイヤルブルー」本文より

ペズが多才ぶりを魅せつけます。
これにアレックスは驚き、ジューンは見とれます。

『ドンド・ストップ・ミー・ナウ』 - クイーン

カラオケバーでヘンリーが歌ったクイーンの『ドンド・ストップ・ミー・ナウ』。
映画でもノリノリで歌っていましたね。
「君をスーパーソニックウーマンにしてやりたい」
「おれを止めるな!おれを止めるな!」
とヘンリーが怒鳴りながら歌った最後にアレックスとあからさまに目を合わせて
「君をスーパーソニックマンにしてやりたい!」
と・・・
酒の力をかりていますが、秘めた恋に溺れている王子の姿です。

ケンジントン宮殿のヘンリーの住まい

ザ・キラーズの古い曲を思わせるメロディー

ヘンリーの住まいの音楽室に改装されたリビングルームの中央に鎮座するグランドピアノでヘンリーがザ・キラーズの古い曲を思わせるメロディーを弾く。
実際はクラシックの曲なんだろうけれど、とりあえず雰囲気が分かるようにザ・キラーズの古いヒット曲『ミスター・ブライトサイド』を貼っておきます。

アレクサンドル・スクリャービンのソナタ

アレックスが「ぼくの知らない曲を弾いてくれ」と頼み、ヘンリーが弾いた曲の一つ。

アレクサンドル・スクリャービンのソナタに移り、その作曲家と同じ名前を持つアレックスにウインクする。アンダンテー第三楽章ーが気に入っている、とヘンリーは言う。
廃墟と化した城のイメージを描き出そうとした曲だという話を読んで、暗いおもしろさを感じたのだと。

「赤と白とロイヤルブルー」本文より

スクリャービンのソナタが弾けるなんて、小説のヘンリーはピアノが相当上手いですね。
そして、ソナタの何番なのかの記載は無かったのですが、廃墟と化した城のイメージとあったので第3番の動画を貼りました。

ちなみに映画版でヘンリーがピアノで弾いていたのはバッハの『Sheep May Safely Graze』
ヘンリー役のニコラスが実際に弾ける曲を選んだのかな、と思いました。
この曲も素敵です。

『僕の歌は君の歌』 - エルトン・ジョン

ソナタの次にヘンリーが弾いたエルトンジョンの楽曲集
翻訳では『僕の歌は君の歌』とありますが、『Your Song』といった方が分かる人は多いと思います。
この曲を聴いてアレックスはヘンリーとの愛を実感します。
サビの最後の一番印象的なところ。
”How wonderful life is, while you're in the world”
「君がいると人生はなんてすばらしいんだろう」
って、ヘンリーの今の思いを曲で告白してるってことですよね!
それをアレックスも感じてすごく幸せな気分になったんだろうなあ・・・

そして、この曲はここで終わらず、また後でも流れます。
博物館の中でのダンスシーン
映画では『Can`t Help Falling In Love』だったんですが、原作では『Your Song』なんです!!!!!
しかも、映画ではアレックスがスマホで音楽を流してダンスをするけれど、原作ではヘンリーがスマホで音楽を流す・・・
映画版の余裕のある顔で音楽を流したアレックスではなく、小説版では少しためらいながらこの曲を流すヘンリーという別のアングルからのストーリー展開。
もう、たまりません。

そして、ここでも終わりません。
原作者のケイシー・マクイストンがThreadsで行った夢の企画、アレックスへのQ&Aの中で、結婚式の最初のダンスソングはこの曲だと書いています?!
オタクの夢を広げ続けてくれる原作者に感謝しかありません!
この曲を聴くとアレックスとヘンリーの幸せな姿がいつでも思い浮かべられます。

湖の家

『ロコ・イン・アカプルコ』 - フォートップス

テキサス湖のほとりにあるアレックスの父親の家に向かう車の中で聞くためにノーラがつくった最高のプレイリスト。
小説では、車の移動中、このプレイリストの曲がどんどん流れてきます。
その最初の曲がフォートップスの『ロコ・イン・アカプルコ』

フォートップス(1960年代に活躍したアメリカのR&Bコーラスグループ)の『ロコ・イン・アカプルコ』のイントロのトランペットが鳴り響き、アレックスはようやくガソリンスタンドから車を出す。

「赤と白とロイヤルブルー」本文より

ドライブのスタートにピッタリな曲です!
ノーラの音楽セレクトセンス、抜群!!

『ヒア・ユー・カム・アゲイン』 - ドリー・パートン

ノーラのプレイリストの中の曲、ドリー・パートン『ヒア・ユー・カム・アゲイン』
ドリー・パートンは1960年代から活躍しているアメリカのカントリーミュージックのシンガーソングライター。映画『ボディーガード』でホイットニー・ヒューストンが歌った『I Will Always Love You』の原曲の方です。
この曲がかかっているときにヘンリーとペズが合流してくるんですが、
Here you come again”って、「あなたがまた来た」ってことですよね?
このタイミングでヘンリーと再会とは、ここまでくると、小説の中の音楽は意味があって入れ込まれているのでは?と思ってきます。
著者のケイシー・マクイストンは曲の意味を考えて小説の中に入れ込んでいるのか?
それともただのノーラのプレイリストの選曲がすごすぎるのか?

『サマータイム』 - DJ Jazzy Jeff & The Fresh Prince

「ドラムス!」ジープのカーステレオから声がして『サマータイム』のビートが響きはじめ、アレックスは歓声をあげる。

「赤と白とロイヤルブルー」本文より

ヘンリーを迎えた後の嬉しそうなアレックスの様子と重なる曲です。
『サマータイム』という曲はたくさんあって、小説には歌手名が書いていませんでしたが、「ドラムス!」から始まるのはDJ Jazzy Jeff & The Fresh Princeの曲だけだと思います。
この曲は夏の時間をリラックスして楽しもう!という内容の歌詞で、これから始まるアレックスとヘンリーの夏のバカンスのはじまりとしてピッタリです。

焚火を囲んで

みんなで焚き火を囲み、古いジョニー・キャッシュ(1950年代から1960年代にかけて活躍したアメリカの歌手。主にカントリー・ミュージックで有名)や、セレーナ(1980年代から1990年代にかけて活躍したメキシコ系アメリカ人の歌手。テハーノの女王と呼ばれる)や、イギリスのロックバンドのフリートウッドマックの歌を歌う。

「赤と白とロイヤルブルー」本文より

ギターでこれらの曲を歌っていたのはアレックスの父。
特に曲名は書かれていなかったので、彼らの代表曲を貼っておきます。

ジョニー・キャッシュ

セレーナ

フリートウッド・マック

『緑の風のアニー』

その後、ジューンが歌い手を引き受け、ギターで『緑の風のアニー』をつま弾きます。
自然のようにその人といると満たされている・・・という内容の歌詞。
これを聴きながら、アレックスとヘンリーはいい雰囲気に・・・
原曲はジョン・デンバー
結婚式でも歌われたりするほどのラブソングだそうです。

現実と向き合うアレックス

N.W.A

アレックスとヘンリーとの愛が激しさを増す一方、それを知られてはいけないので世間ではアレックスはノーラと付き合っていることになっていて、ヘンリーはジューンに求婚するのかと話題になっている。
そのギャップに耐えるアレックスだったけれど、これがもしもっと若かったら自滅寸前まで追い込まれていたかも・・・という時の妄想の中で流れた曲。

もしいまカリフォルニアにいたら、こっそりジープを拝借して、ドアを外した状態でN.W.A(ヒップホップグループ)を大音量で流しながら101号線をかっ飛ばし、歩道のしみになりかけていたのではないか。

「赤と白とロイヤルブルー」本文より

アレックス、実は2人の関係を隠し続けることですごいダメージを受けてるんだなあ、と分かった描写です。
曲名は特に書いていなかったのでN.W.Aの人気曲『Straight Outta Compton』を貼っておきます。

2人のメール流出後

ボウイの曲

ビーはボウイの曲を弾きはじめる。彼女が小声で「”ぼく、ぼくは王になり、そしてきみ、きみは女王になる”」と歌い、アレックスは吹き出しそうになる。

「赤と白とロイヤルブルー」本文より

ニュースになってから祖母である女王や母との確執もありショックの大きいヘンリーのところにアレックスが駆け付け、話をして少し落ち着いたときにビーが歌った曲。
曲名は書いていないけれど、歌詞の内容からしてデビット・ボウイの『ヒーローズ』だと思います。
最初はイギリスの王や女王のことを言っているのかと思ったら、この曲はベルリンの壁の傍で落ち合う恋人達(しかも男性同士)の姿を見て構想を思い付き、閉塞的な状況に置かれた男が「ヒーローズ」という言葉を儚い夢として使っているとのこと。
きっとビーもアレックスもそこまで知っていて、アレックスとヘンリーの状況とこの曲の内容を重ね合わせて笑ったんでしょうね。

『ゴット・セイブ・ザ・クイーン』

ビーがエレキギターで弾いていた曲。
『ゴット・セイブ・ザ・クイーン』という記述しかないのでセックス・ピストルズの曲とどちらなのか迷ったけれど、きっとイギリス国歌の方かな?と思ってこちらを貼っておきます。
エレキギターで国歌を弾くって、小説版のビーはかっこよすぎます。
映画では、傷心のヘンリーをアレックスが訪ねた時にピアノでアレックスとヘンリーが連弾していました。
ああ、それも良かった・・・

大どんでん返しの後

『ビルズ・ビルズ・ビルズ』 - デスティニー・チャイルド

レンジ・オーディオというポッドキャストの中で流れたデスティニー・チャイルドの『ビルズ・ビルズ・ビルズ』
ルナがリチャーズのしたことをリークしてリチャーズ陣営から離れたというニュースをその番組の中で話しています。
この曲は最初は良さそうだった男がダメ男だったので終わりにしましょう、という内容。
これはルナとリチャーズの関係を風刺しているのでしょうか。

大統領選挙当日

グロリア・エステファン

選挙の開票速報を見て一喜一憂しているときにグロリア・エステファンの感情を込めた歌声が響いてきます。
曲名の記載は無いけれど、ちょうどエレンが優勢になって浮ついた雰囲気の中で流れ、その歌声に悲痛さが感じられないとあったので、きっとあまりポップではなく感情を歌い上げるような曲なのかなあ、と推測。
そんな曲でも悲しさが広がることのない興奮した雰囲気ということなのかな、と。
彼女の人気曲の中で感情を歌い上げている『Here We Are』を貼っておきます。

ラストシーン

『愛はとまらない』 - スターシップ

映画と同じ流れで、アレックスの母エレンが大統領に再選し、大観衆の前でスピーチをします。
そのステージに、アレックスとヘンリーは一緒に上がります。
その後、こっそり2人で抜け出し、自転車に乗ってアレックスの昔住んでいた家に向かいます。
テキサス州議会議事堂の正面階段のラウドスピーカーから流れてきたスターシップの『愛はとまらない』。
これも結婚式で流れるほどの2人の愛を貫くすごいラブソング!
この曲を作ったアルバート・ハモンドは、前妻との離婚が成立した時、ずっと同棲してきた彼女と結婚が決まったときに閃いたんだそう。
その時の台詞が、
「自分の彼女との結婚を7年間も、まるで妨害されているような感じだったんだけど、結局最終的には彼らは失敗したんだ。もう俺が結婚するのを止めることはできないんだ」
これまでずっと二人の愛を隠したり妨害されたりしてきたアレックスとヘンリー、この2人をもう止めることができないという事なんでしょうね。


何度も途中で書きましたが、曲を聴いたり調べたりすればするほど、著者のケイシーマクイストンが一つ一つの曲をちゃんと選んで作中にちりばめているんじゃないかと思いました。
これがもし偶然ならすごすぎます!
曲を聴きながら小説を読むと、最初に読んだときより深くストーリーに入れますし、映画とはまた違う世界を楽しめます。

作品に出てくる音楽をプレイリストにまとめて、その音楽を流しながら小説を読むのが私の楽しみです。

⇩YouTubeプレイリスト

⇩Spotifyプレイリスト

登場人物と音楽だけでこんなに長くなってしまいました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?