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逆位相の場

こんにちは、nooooon(@nooooon_met)です。


昨日の日中に発表された『短期予報解説資料』にて、次のような解説文がありました。

2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点
① 1 項①のトラフは逆位相場のなかを東進し、低気圧はトラフが先行するため九州付近に取り残され、13 日は次第に不明瞭化。一方、5760m~5820m の強風軸に対応して12 日夜までに前線上の四国の南で低気圧が顕在化する。

(※1)


『逆位相場』という単語、あまり聞きなれない単語だと思います。

気象庁の専門用語集では、以下のように定義づけられています。

逆位相の(谷)場
偏西風の分流・蛇行により、その領域は気圧の谷で、北方で気圧の尾根
となるような大気の流れの状態。

(※2)

昨日の短期予報解説資料が発表される直前の高層天気図を見てみると、確かに九州の西に気圧の谷(図中では茶色線)が、日本海に気圧の尾根(図中では青ジグザグ線)があり、逆位相の場になっていることが分かります。

図2

※3

この天気図での黒実線は等高度線となっていて、(詳細は省きますが)線の間隔が狭まっているところほど、強い風が吹いているとみなせます。逆に、逆位相の場では線の間隔が広がっていて、風が強くない、すなわち天気の移り変わりも遅くなることが見込まれます。


普通の天気予報では使われない用語だと思いますが、気象予報士としては知っておきたい用語のひとつです。使われているのを久しぶりに見た(というか、解説資料をひさびさに見た・・・?)ので、書き留めてみました。



そんな、今日このごろ


※画像は気象庁HPから

1:2021年5月12日15時40分、気象庁発表資料から抜粋→https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/jishin/kaisetsu_tanki_latest.pdf2

2→http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/expert/pdf/yougo_senmon.pdf#page=4

3:一部、線を加筆→https://www.jma.go.jp/bosai/numericmap/data/nwpmap/axfe578_00.pdf