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Windowsでの『GrADS』 ~その2~

こんにちは、nooooon(@nooooon_met)です。


出張続きでだいぶ時間が経ってしまいましたが、GrADSについての続きです。

※前回のあらすじ:GrADSインストールできない!→OpenGrADSインストールできた!


1.OpenGrADS起動

インストールした際、デスクトップにOpenGrADSへのショートカット(カメさんアイコン)が作成されたので、さっそくダブルクリック。


すると、コンソール画面が表示されました。

図1

「Landscape mode?」と尋ねられているので、とりあえずENTERキーをポチ。すると、別ウインドウで真っ黒なGrADSウインドウが現れました。

画像2

無事に起動できたみたい!

ここからは、先人たちの教え(ググった結果)を頼りに、画像作成(描画)に挑みます。

※参考にさせていただいたサイトはこちら(ほかにもたぶん無数に・・・)。

https://sites.google.com/site/afcgrads/home/firstcourse

http://wind.geophys.tohoku.ac.jp/index.php?%B8%F8%B3%AB%BE%F0%CA%F3/GrADS/GrADS%A4%CETips

https://seesaawiki.jp/ykamae_grads-note/d/%a5%c8%a5%c3%a5%d7%a5%da%a1%bc%a5%b8


2.データの入手

ということで、まずは描画するデータを入手します。気象庁の数値予報モデルのデータを見たいと考えていたので、こちらのページからダウンロードさせていただきました。

※「企業活動等のためにデータを頻繁に必要とされる方」ではないので、ダウンロードさせていただきました。こういうデータは通常なら購入することになるものなので、ありがたいこと、このうえない。


ちなみに、データはもともと「grib2」という形式で配信されていますが、こいつを描画するには別途ctlファイルというのが必要になるようで、少し面倒な感じです。上記ページには「NetCDF」形式のデータもダウンロードできるようになっており、こちらは普通に描画できるものなので、今回もこちらを使って描画してみます。

ダウンロードしたのは「MSM2020082121S.nc」。


3.描画!

データも入手できたので、実際に描画してみます。

まず、描画したいデータのファイルを開きます。コマンドは「sdfopen」というのを使います。

ga-> sdfopen MSM2020082121S.nc

ここまで入力してENTER。すると、ファイルを読み込んでくれたようで、デフォルトで設定された緯度・経度等について表示されました。

ga-> sdfopen MSM2020082121S.nc
Scanning self-describing file:  MSM2020082121S.nc
SDF file /cygdrive/c/tmp/MSM2020082121S.nc is open as file 1
LON set to 120 150
LAT set to 22.4 47.6
LEV set to 0 0
Time values set: 2020:8:21:21 2020:8:21:21
E set to 1 1
ga->


次に、このファイルにどんなデータが含まれているのか見てみます(もともと分かっているなら、描画には不要な作業です)。

使用したコマンドは「q file」です。

ga-> q file
File 1 :
 Descriptor: MSM2020082121S.nc
 Binary: MSM2020082121S.nc
 Type = Gridded
 Xsize = 481  Ysize = 505  Zsize = 1  Tsize = 34  Esize = 1
 Number of Variables = 12
    psea  0  t,y,x  sea level pressure
    sp  0  t,y,x  surface air pressure
    u  0  t,y,x  eastward component of wind
    v  0  t,y,x  northward component of wind
    temp  0  t,y,x  temperature
    rh  0  t,y,x  relative humidity
    r1h  0  t,y,x  rainfall in 1 hour
    ncld_upper  0  t,y,x  upper-level cloudiness
    ncld_mid  0  t,y,x  mid-level cloudiness
    ncld_low  0  t,y,x  low-level cloudiness
    clda  0  t,y,x  cloud amount
    dswrf  0  t,y,x  Downward Short-Wave Radiation Flux

12個の要素が含まれているようです(海面更正気圧「psea」や1時間降水量「r1h 」など・・・)。読み込んだデータは地表面データなので、Zsize(鉛直方向の次元数)は1になってます。


では、データを描画してみます。コマンドは「d」を使用します。

ga-> d psea

コマンドを実行すると、GrADSウインドウに図が描画されました!ようやく・・・できた・・・・・・!

画像3


が、なんか値がすごいですね、「101200」とか。・・・そうです、単位が(普段慣れている)hPa(=Pa×100)ではなく、Paになっているんですね。

ということで、少し細工します。新たに、「psea」を0.01倍した「p」という変数を作ります。

ga-> p=psea*0.01


では描画してみましょう・・・と、ここで「c」というコマンドを実行し、さっき描画した画像を消しておきます。そうしないと、どんどんと図が上書きされていってしまうので・・・。

ga-> d p

すると・・・

画像4

ちゃんとhPa単位に相当する図を描画できました!


最後に、終了するときは「quit」を実行。

ga-> quit

すると、開かれていたウインドウが閉じました。


4.おわりに

ひとまず描画までできました。ほかにも、いくつかの要素を重ね合わせたり、あるいは気圧面データも重ね合わせたり、鉛直断面図を作成したり・・・と、いろいろと使い道があるようで、試行錯誤しているところです。

ただ、綺麗な図を描けるとそれだけで満足してしまいそうになりますが、実際には「描いた結果から何を言えるのか」がポイントだと思うので(描画は「手段」であって「目的」ではない・・・)、気象現象自体についての理解も深めていきます。



そんな、今日このごろ


※今回使用したMSMデータは、京都大学生存圏研究所が運営する生存圏データベースによって収集・配布されたものです(http://database.rish.kyoto-u.ac.jp)。