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第二の宇宙船地球号(SF/ショート・ショート)

愛は与えるもので、愛される事を期待するものでもない。まして愛を確かめ合うSEXは必要無い。

ある時期まで恋愛し結婚や家庭生活が社会の基盤であったが、シングルマザーが大半を占めて根底から崩壊した。
この傾向は西暦2000年頃の北欧のヨーロッパから始まり高福祉国家では子供は国歌の財産として、育てられる傾向が強くなって行った。
特に教育モラルの低い日本ではGNPの凋落と供に、家庭は教育の機能を果たせない親が、子供の虐待や子殺し等の、
人類としては恥ずべき、軽蔑すべき事例が顕著になった。
日本の義務教育を行った国家の執った偏差値教育のツケとしての無知無策の結果といえる。
競争、競合、分裂、排他は攻撃的で粗暴な子供を製造する事は目に見えて居たのに、いじめや、迫害を放置した。
さらに、信じられない事に、9月に新学期を迎える先進諸国に対して、4月から新学期を迎えるという、日本独自の考え方はグローバルな世界のリズムに同調出来ない事で、個人の教育プログラムにはブランク期間を生じた。

日本は社会的なモラルでもシングルマザーが蔑視される傾向にあり、シングルマザーに対する生活支援プログラムができていなかったことで、全世界的な方向であった社会を女性の主導権で運営する方向に遅れていた。
国家の政府機関に女性は極端に少なかった。

野蛮な男が国家や政治を支配していたし女性を蔑視していた。議員の多くは好戦的で、国家予算の大部分を人を殺す為に使い、出産や育児や教育や福祉といった、社会構造の根幹に係わる、予算配分を怠る傾向にあった。

2022年、世界は地球温暖化と氷河期に向かう第5間氷期の二重の激変する気象に翻弄され始めた。気候の寒暖差は大量の雨を運び、その一方で山火事。大洪水と大干ばつとで、自然界の食料は壊滅的な打撃を被った。毎日毎日の気温や気候が激変して、30度近い気温の夏かと思えば、翌日には霜が降り、山は吹雪になる。
サイクロンやハリケーンと言った台風はかつて無い大きさになり粗暴なエネルギーで風速も中心気圧も、そのサイズも巨大化して社会生活の根幹のライフラインも食料も奪い、過ぎ去った後には伝染病を蔓延させた。

今や、食料の大部分は、遺伝子工学の恩恵を受けて遺伝子組み換えの食品ばかりになった。
魚は東京湾に三浦半島と房総半島を結んで定置網を形成して海洋牧場を造った。
津軽半島と下北半島では青森湾を締め切って海洋牧場を、瀬戸内海や有明海でも各所に海洋牧場が運営された。
鯨の脳には位置センサーと回遊制御センサーでコントロールされて丸々太った時に戻る様にした。
家畜の飼育も同様にクローンで大量に生産され世界は救われていた。

人類とて同様で、優秀な男性の精子を人工授精し、無痛分娩で全身麻酔が当たり前になった。
SEXは生物学的には種の保存として重要だが、シンプルに考えれば、無駄な労力とエネルギーである。
人類以外の動物は短時間にしかも、本能的に痛みを伴って終わるのが脳波測定で明らかだ。

その点、人類は快楽的に成り過ぎ、ホモと言う男と男がSEXしAISという新しい性病まで発生させてしまう。
女性の中には、未だに男との恋愛を楽しむものも居るが、既に少数派だ。

オトコの性的なエネルギーは理性とか知性に関係なく、まして、職業にも関係が無い。全く始末が悪い。
痴漢行為、盗撮、ロリコン、アダルトビデオという、虚構の世界まで創り上げ、留まる所を知らない。
DVや強姦に伴うレイプ殺人、近親相姦から監禁、と呆れるばかり。
社会秩序の根幹である、警察官や、裁判官、検察官、教育者、聖職者と職業に関係なく歯止めが利かない欲望=欲棒の塊の連中は、もはや鉄拳を与えて強制労働させなければならないが、性的犯罪者に限っては、最先端の脳科学で視床下部の性欲を司る脳細胞の部位にマイクロチップを埋め込み、コントロールする。必要のない男は去勢してしまうのが一番と!チップを埋め込んだ!最先端の宦官システムだ、頭の良い連中ほど異常性愛が多いのは、人類の末期的な現象傾向だ。

人類の教育はもはや、洗脳プログラムで完璧だ。
情緒的な、絵画や音楽、映画や舞台などの、感情を乱すものは不必要だ。
幸福感を得るのは、健やかな睡眠と美味しい食事だ。
そして、睡眠の中では三次元夢想レムプログラムがバーチャル・ドリームを演出してくれる。
好きな相手にアクセスして恋愛も友情も会話もサロンも楽しめる。
旅行や買い物もドレスアップも化粧も入浴も、時にはハードな運動もプログラムされる。五感を全てコントロールすれば良い。

さて、宇宙旅行計画を本格的に考える時期に来た。
今は、人工の子宮体の羊水内で受精卵を着床させて、その、カプセルのまま宇宙空間にイオンロケットで発射して、光速で移動し、出産させて、子供は自動教育プログラムで子育てして、成人になる頃には、アンドロメダ星雲に達するヨテイだ。

理想的な第二の宇宙船地球号を見つけて、二度と同じ間違いを起こさずに人類を種の保存を行う”命”の命題をオンナ達は背負っているのだ。
無駄な男はいらない!これからは女の世界だ。

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