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利き手でない左手をピアノを弾く時どう動かしていくか。

右手が利き手という人は世の中多いだろう。私も利き手は右だ。お箸は右手で持つし、ハサミを使うのももちろん右手。ピアノを弾く時も右手の指の方がはるかに動くしコントロールしやすい。

脳には局在というものがあって利き手(使いやすい手)というのは、左右の脳の発達の差によるものだ。その手を支配する領域が大きかったり、情報を伝えるニューロンの結びつきも多く、また密なんだろうと推測する。
顔を拭くなど粗大な運動であれば手の左右差を感じることはあまり無いが、箸を使う、ハサミを使う、そしてピアノを弾くなど巧緻性が要求される動作ではその左右差を感じることになる。

通常何か動作をする時、左右の手の協調運動が起こる(右手でお箸を、左手でお椀を持つ。右手で箸が使いやすいように左手で絶妙に椀を動かす、など)。

ただピアノに至っては左右の手は限りなく独立して動かす(両手合わせて曲になるのだけど)。
ということは、利き手ではない左手も右手のように動かすことが演奏するには必要となる。

普段私は患者の麻痺した手や足が動くように治療しているのだが、触られているのを感じるとか、力が入るのがわかるとか、動かされているのではなく患者自身で動かしていることを感じるといった感覚を非常に大切にしている。

脳に感覚を入力するのが先で、運動として出力されるのはその後だ。この感覚入力と運動出力を繰り返しながら、大脳や小脳の中枢系の神経回路を再構築しているのが私のリハビリだ。

そうだ❗️感覚だ‼️

これをピアノを弾く左手に当てはめて考えてみる。

左手は右脳の支配を受けている。右脳は左脳より発達していない。ここを発達させるには(左手が独立して上手く動くようになるには)、やはり感覚情報を強化していくのが良さそうだ。

具体的には

・反復練習(何度も同じ動きを繰り返すことで出力が容易になる)

これはピアノに限らないが、同じ動きを繰り返すことで情報の入力から出力までの神経系のループが運動の無駄を省きエラーを少なくしてくれる。

さてここからが問題なのだけど、この反復練習などする際ミスタッチをしないよう左手と鍵盤🎹をじっと見つめてしまっていた。

つまり視覚情報が優位になってしまい、鍵盤と自分の体の位置関係が入ってこない(固有受容感覚情報が入ってこない)。

簡単に言うと左手で弾く時は、どこの鍵盤をどの指でどう押さえるか目で確認して、頭で『この鍵盤を押さえる❗️』と考えてしまってた。そもそも指が動きにくいのだからミスタッチしやすい。それを無くそうと視覚情報に頼ってしまってたわけだ。

右手に関して言えば、鍵盤を目で追わずとも割と的確に押さえたい鍵盤を押さえることができる。右手をどう動かせば押さえたい鍵盤の上に持ってくることが出来るか、きちんと神経回路が出来上がっているとも言える。

スケールなど弾く時も私は右手は見ずに、常に左手と鍵盤を見ていた。これでは左右の脳の差が開くばかりだ。

当たり前のようだが、左手も固有受容感覚情報が優位になるよう鍛えていけばいい。やり方は簡単。

視覚情報を使わないようにするのだ。

今まで固有受容感覚情報の弱さを代償するために視覚情報を利用していたのだから、視覚情報を利用しなければ固有受容感覚が動員される。

楽譜だけを見て鍵盤と指を見ない‼️

今自分の指がどこにあるのか、どう動くのか。
見ないことで脳内に鍵盤のイメージが形成され、自分の鍵盤との位置関係が出来上がってくる。

すでに脳内に鍵盤のイメージが出来上がっている人は鍵盤を見ずとも初見でも弾けると思うが、最初は鍵盤と指を見ながらの反復練習で良いと思う。

ある程度指が動くようになってきたら、思い切って鍵盤を見るのをやめよう。

固有受容感覚を鍛えることで、少し左に比べて劣っている右脳の神経回路を構築し、発達させよう。右手と同じ状態に近づけよう。

左手をより自由に動かすことが出来れば、演奏がより表現したいものに近くなるはずだ。


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