「耳の奪い合い」を食い止めよ!だから素人の僕はプラットフォームを作った。
「耳の奪い合い」への疑問
Clubhouseの爆発により、日本の音声ビジネス、とりわけ音声配信の分野において「耳の奪い合い」が起きている。この「奪い合い」の対象となっているのは、ユーザーである僕たちの「耳の時間」である。
耳の時間をどこのプラットフォームに割くか、誰の配信に割くか、これは配信者でありリスナーであるユーザーたちにとって、悩ましいことである。まず、プラットフォームが多すぎる。それを交通整備するところはどこにもない。
ポッドキャストも、Radiotalkでいうトークも、Spoonで言うキャストも、stand.fmやVoicyで言う放送も、ヒマラヤやRec.、TinCanといった世界まで、とめどなく流れる音の渦がある。
それぞれのプラットフォームの間には高い壁がそびえ向こうの景色を見ることはできない。森に隠せば見えなくなるように、あまりにたくさんの情報量に、脳がマヒして、他のプラットフォームに目を向ける余裕を与えない。
このプラットフォームたちが盛り上がっては衰退し、様々な事件を経て、そこに所属するユーザーたちはほかのプラットフォームに旅立つことが多々あった。それでも、彼らは同じ音声配信をしている。
耳の奪い合いによって、各プラットフォーマーたちは、よりユーザーを拘束できるような設計を開発しては試し、一部その結果を出してきた。寝る間も惜しんで声と耳につぎ込んでいる人がどれだけいるか計り知れない。みんな余裕なく手と口を動かし続け、日々のアナリティクスに一喜一憂するのだ。
これをさせられないプラットフォーマーは負ける。これが事実だ。これで飯を食おうとすれば、ユーザーに対し情けを捨てて、容赦なく耳を奪わなくてはならない。余裕のない幸せとスリルを与え続けなくてはならない。それを極端に特化させた傑作がClubhouseのように思える。
だから僕は僕の耳を守る手段に出た。
僕は、音声の素人である。声で飯を食っていく気もなければ、音声で誰かの生活を支えてることもない。ただ、楽しみたいだけだ。自分の楽しみ方で楽しみたいのだ。プラットフォームにとらわれず、自分の時間を自分が好きに使える配信生活をしていきたい。満足のいく作品を、同じように満足いくものを作りたい気持ちのある仲間と作っていきたい。作る時間が欲しい。作る楽しさが欲しい。
仲間と作る作品は本当に楽しい。その時間は、全力で一つの作品に打ち込める。企画を言葉に落としていくとき、シナリオを一緒に練るとき、日程を調整し収録まで待っているとき、一緒に声を重ね、一度とったものを推敲するとき、編集し、それをみんなで聴くとき、そして、それをアップロードした瞬間、その一瞬一瞬が楽しいのだ。その一瞬を噛みしめることをプラットフォームの時間軸が許してくれないなら、僕は新しい時間軸を作ることにしよう。作ることを至上の原理にできる世界を考えよう。
「プラットフォーマーにそういうことは任せるべきだ!」
そんなことを言われたことがあった。でも、既存のプラットフォーマーが作る限り、その会社の配信プラットフォームのための開発となるだろう。僕が望む原理で動くプラットフォームでは勝負にならず、簡単に手放してしまうだろう。
だから、僕は、素人だから、プラットフォームを作ることにした。
プラットフォームが作られて、そこに右往左往して離れ離れになって、耳の奪い合いの余波で時間を奪われて、そんなものに左右されない世界を作ることにした。どんなプラットフォームにいても、どんなスキルを選ぶことになっても、今いる場所に根を張って仲間と音で遊んでいられる。そんな世界を、儲からないけど作ることにした。
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