NPO向けゼロ金利融資の拡大に向け、金融庁より回答受領「本事業における元手資金を募集することは金融商品取引法上の規制対象とならず、資金提供者に貸金業の登録を課すことは不要」
一般社団法人あおい福祉AI研究所(所在地:東京都台東区、代表理事:宮本聡、以下 当法人)は、NPO向けゼロ金利融資サービス「ノンプロフィット・ファイナンス」事業のさらなる資金ニーズに応えるため、不特定多数の篤志家の皆様(以下、資金提供者)から資金拠出を受け、主に非営利団体へ貸付を行い、貸付金返還後、その金銭を資金提供者に分配するスキームについて、金融庁より回答を受領したことをお知らせします。
■背景
当法人は、これまでも同スキームを検討してきましたが、この方法による場合には、以下の2つの問題をクリアする必要がありました。
不特定多数の資金提供者から提供を受けた資金をノンプロフィット・ファイナンスに利用する一連のスキームにおいて、資金提供者からの資金拠出が「集団投資スキーム持分」に該当しないようにすること
資金提供者から当法人に対する資金拠出が貸付にあたらないようにすること
1で言う「集団投資スキーム持分」とは、出資等をした金銭等を当てて行う出資対象事業から生ずる収益の配当や当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利であって、金融商品取引法第2条第2項第5号イからニまでのいずれにも該当しないものをいいます。集団投資スキームを実行する場合には、金融商品取引業の登録が義務付けられていることから、この登録を有していない当法人は実行することができません。
また、2に記載するように資金提供者からの資金拠出が貸付けに該当する場合、貸金業法により、資金提供者に貸金業の登録が必要となり、資金提供者を広げることが難しくなります。
そのため当法人は、1について、金融商品取引法第2条第2項第5号ロに定める「出資者がその出資又は拠出の額を超えて収益の配当又は出資対象事業に係る財産の分配を受けることがないことを内容とする当該出資者の権利」となることを条件に資金提供者から資金拠出を受けることとし、かつ、2について、融資型クラウドファンディングに関して2019年3月18日に公表されたノーアクションレターによる金融庁の回答に基づき、貸付先団体を特定する情報を明らかにせず(匿名化)、複数の貸付先団体に対して貸付を行うスキーム(複数化)とすることにより、これらの問題に対応することを前提に、経済産業省に対して、グレーゾーン解消制度に基づく回答を求めました。
これに対する回答の概要は以下に記載のとおりです。
本回答を受けたことにより、当法人がノンプロフィット・ファイナンス事業の元手資金を募集することは金融商品取引法上の規制対象とならず、または、資金提供者にも貸金業の登録を課すことが必要ではないことになり、「預貯金で寝かしておくぐらいであれば社会の役に立てたい」という善意の資金を幅広く集めることが可能となりました。
■回答概要
1について
資金提供を受けた金銭について、資金提供者に対していかなる返還義務を負わないこと及び資金提供者が受領できる分配金の総額は資金提供者が本契約に基づき払い込んだ金銭の額を上限とすることが規定されていること等を前提にすると、これが実際に遵守される限りにおいては、資金提供者が取得する分配金を受ける権利は「出資者がその出資又は拠出の額を超えて収益の配当又は出資対象事業に係る財産の分配を受けることがないことを内容とする当該出資者の権利」には該当しない。
2について
本スキームも前述のノーアクションレターに関する貸金業登録の判断基準が妥当すると考えられるところ、貸付先団体の匿名化・複数化の方策がとられていること、資金提供者と貸付先団体の直接接触を禁止する措置が明確化されていること、貸付先団体及び照会者は払込を受けた金銭について資金提供者に対していかなる返還義務を負わず、資金提供者は貸付先団体からの弁済金の合計額に各資金提供者の拠出割合に応じて按分する等の所定の計算を行って算出した金額に相当する分配金を受領する構成となっており、資金提供者と貸付先団体の間で貸付けを行っていると判断しなければならないその他の特段の事情も見受けられないこと等から、資金提供者から当法人に対する資金の拠出は、貸金業法上の「貸付け」に該当しない。
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