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【社会起業家×公務員】PUBLIC TALK LIVE (通称#パブトーク)vol.3を開催しました

こんにちは。

暦の上では、立春も過ぎて春ですが、ようやく冬らしく寒い日が続いてますね。

さて、先日、2月7日(金)に、【社会起業家×公務員】PUBLIC TALK LIVE vol.3@social hive HONGO (通称パブトーク)を開催しました。

こちらのイベントは、

✔︎社会起業家と公務員。立場は違えど「社会(パブリック)の課題解決」をしているという点では同じではないか。

✔︎しかし、現在はあまりお互いに交流する機会がない。お互いに同じ方向性を目指しているのにこれはもったいないのではないか。

✔︎であるならば、社会起業家と公務員が集い、まずは交流する場を作れば、コラボも促進され、公共の課題解決のスピードも速めることができるのではないか。

という課題認識のもとに、社会起業家と公務員が集い、それぞれの社会課題解決への思いを語り、その間を繋ぐトークイベントとして開催するもので、今回で3回目の開催になります。

場所は、Readyforとの提携リリースでも話題のsocial hive HONGO。『市場の失敗』と呼ばれる課題領域に向き合う社会起業家が集うシェアオフィスです。

そして、今回も、『スポーツ系公務員』で元・FC東京スタッフ(バレーボールチーム)という異色の経歴を持つ埼玉県宮代町役場の伊藤 遼平 さん。

デザインによる社会課題の解決に取り組む一般社団法人PLAYERSタキザワケイタさん。

日本酒の魅力を国内外に伝えるベンチャー・株式会社ナオライの三宅紘一郎さん。

のお三方にお越しいただきトークライブと交流会を行いました。

まずは、埼玉県宮代町役場職員の伊藤遼平さんからのトーク。

伊藤さんは、社会貢献、競技普及したいアスリートやプロチームに対してスポーツ振興のステージを提供することで、もっと子供や大人に夢や感動を届けることが出来るという思いのもと、「スポーツ系公務員」として活動されています。

まずは、伊藤さんが、元プロチームスタッフとして個人的に感じた自治体スポーツ事業の現状と課題のお話。

自治体スポーツ事業は、派手さや注目度を意識するあまりプロの著名なアスリートのネームヴァリューに頼った事業が行われがちで、普通のプロアスリートやマイナー競技のセミアスリート、さらには学生スポーツのスポーツマンなどに活躍する機会を与えられることが少ないという課題があるのではないか、とのこと。

地域の子どもたちとアスリートをマッチングする機会をもっと多く作れば、地域により多くの感動と夢を与えることができるのではないか。

そして、伊藤さんは、元プロチームスタッフとして、競技普及や社会貢献したいスポーツチームやアスリートがたくさん存在していることを感じており、彼らに地域のスポーツ事業で活躍の場を作りたい!!ということで、自治体向けの3つのアクションプランのご提案がありました。


①アスリートと地域を繋げる
→自治体が募集フォーマットを作り、地域の要望があれば登録しているアスリートを派遣。地域にスポーツ資源が届くようにする(個人アスリート向け事業)。

②プロチームとフレンドリーシティ協定を締結
→広報・HP・展示会(市民への宣伝の機会)を協定の条件とし、子どもたちへスポーツ教室の依頼する。

③全国NO.1のスポーツタウン
→「こども・ゆめ・みらいプロジェクト」としてスポーツ事業を直営化。アスリートがセカンドキャリアとして自治体職員として活躍する場を与える。

そして、伊藤さん自身、自治体に提案するだけでなく、個人的にこれらの事業を実践。

特に、「①アスリートと地域を繋げる事業」については、元プロスタッフというキャリアを生かし、アスリートを呼びたい自治体(沖縄県名護市)と社会貢献をしたいVリーグチームとをマッチングさせ、2019年11月にバレーボール教室の開催を実現。伊藤さん自身も、スタッフ兼コーチとして、イベントに参加してプロ選手並みの人気を得たのだとか(笑)

個人の力で、これだけのことを実現できる情熱とノウハウが素晴らしいです。

さらに、今後、伊藤さんが個人的に注目している事業として、スポーツに携わる大人の仕事を子どもに教える「キャリア講座」と「パブリックビューイング」。

特に、「パブリックビューイング」については、2020年3月14日(土)に、埼玉県宮代町のコミュニティセンターで、現役のVリーグチームの埼玉上尾メディックスの選手の解説も交えながら、以前行われた3位決定戦の試合をみんなで観戦するイベントを宮代町で開催されるということです。

実際にプレーした選手自身から、その試合を解説をしてもらいながら、みんなで試合を観戦するというのは、非常に贅沢な時間ですね☺️

そして、最後に伊藤さんから、社会貢献や競技普及をしたいアスリートやプロチームと自治体のまちづくりを組み合わせて、子どもには夢と希望を、大人には感動、アスリートには笑顔を届けて行きたいと力強い言葉で結ばれました。


続いてのトークは、デザインによる社会課題の解決に取り組む一般社団法人PLAYERSの主宰者タキザワケイタさん。

PLAYERSは、「一緒になってワクワクし、世の中の課題に立ち向かう」をモットーにしたクリエーションチームとのことです。

社会が抱える様々な課題に対して、当事者との共同のワークショップなどを行い、課題解決に向けた動きを短期間に行っていく。そして、企業も巻き込んで社会実装もしていくことを目指しているとのことです。

活動のきっかけとしては、タキザワさんの奥様が切迫流産となった病院の診察時に、電車で席を譲っていただき大変ありがたいと思ったこと。

しかし、これまでご自身、マタニティマークに関する知識が乏しく、妊婦さんへの席譲りが出来ていなかったこと。そして、当時マタニティマークに関するネガティブな記事もネットに氾濫しており、このままの日本ではご自身の娘さんに対して、恥ずかしいことになってしまうという問題意識を持ったとのことです。

そのため、「やさしさからやさしさが生まれる社会」を作りたい!という想いのもとに、PLAYERSを主宰するようになったとのことです。

そして、具体的なPLAYERSの活動として、2つの課題解決事業のご紹介がありました。

まず一つは、妊婦さんに席が譲られない問題。この課題を解決するべく、当事者へのヒアリングや電車内での実証実験、フィールドワークなどを得て、①スマホに夢中になり妊婦さんに気づかない、②マタニティマークに関する正しい・ポジティブな情報が届いていないのではないか、という2点の課題が見えてきたとのこと。

そこで、これらの課題を解決すべく「みんなのやさしさを見える化する」ために、席を譲ってほしい妊婦さんに、ビーコンを使って、席を譲りたい意思がスマホを介届く仕組みを作られたとのことです。

そして、この仕組みが、グーグルのコンテストで賞をとった結果、認知が広がり、妊婦さんだけでなく、障害者や高齢者など様々な層にも使えるようニーズの声もいただくようになったとのこと。

これをプロトタイプに終わらせないために、社会実装を目指すにあたり、&HAND(ハンドハンド)という仕組みにアップデートさせ、LINEに「&HAND」を友達登録するだけで、直接通知が届くように変更したとのこと。

これにより、助けを求める人がビーコンを押すだけで、サポーターにメッセージが届くようになるのことです。

テクノロジーの力を使って、助けたい人と助けを求める人が簡単にマッチングされる仕組みが素晴らしいですね😄

そして、「誰もが助け手になれる社会」というビジョンに共感した企業さんと、実証実験を重ね、妊婦さんだけでなく、高齢者の荷物運びや視覚障がい者、車椅子の方のサポートにも使われ、直近ではブラインドサッカーのイベントでも使われるとのこと。

今後は、2020年の実用化を目指して、&HANDの仕組みをキット化して、イベントやボランティア団体への貸し出しを行っていく予定のことです。

この仕組みが色々なところで、使われてみんなの優しさで、多くの人が助けを得られる社会が実現したら本当に素敵ですね✨

続いて、二つ目の取組。視覚障害者向けに点字ブロックをアップデートするということで、点字ブロックとLINEと音声案内のイヤフォンとを組み合わせて、視覚障害者の方がルート設定した道を通ると音声案内がされる仕組みを作ったとのこと。

この仕組みを、社会実装化するために、鉄道会社のサービスアイデアコンテストにて、視覚障害者向けに乗り換え情報を音声案内するサービスとともにお店情報も案内する仕組みも提案。

さらに、将来的には、視覚障害者自身が駅利用客向けにオススメの飲食店や電車の乗り換え時間などを案内するサービスとしたところ、コンテストで優秀賞を受賞されたとのこと。

障害者の方に活躍の機会をつくる発想と仕組みが素晴らしいですね😊

そして、「PLAYERSでは、一緒になって、ワクワクし、世の中の課題に立ち向かっていきます!新メンバー、パートナー企業を募集中とのことで、ご興味ある方はお声掛けください!」とのお言葉で結ばれました。

「やさしさからやさしさが生まれる社会」づくりに興味ある方は、ぜひ!!


続いて、新しい日本酒を開発し、日本の酒蔵の再生を目指すスタートアップの株式会社ナオライの三宅紘一郎さんからのお話。

現在、日本には約1,200箇所の酒蔵がありつつも、近年では減少しているとのこと。そして、三宅さんご自身が、酒蔵のご親族として生まれた経緯もあったことから、日本の酒蔵を何とか救いたいという想いで創業されたとのこと。

ナオライという社名は、三宅さんのご出身の広島地方の日本酒を神社に奉納する厳かな神事「直会」に由来したお名前とのことです。

最初の日本酒の開発としては、地元・広島県の特産品レモンを使ったレモンベースのスパークリング日本酒の「ミカドレモン」。

レモンと日本酒を組み合わせることで、日本酒に興味のない層にも売り出したいという意図で開発されたとのこと。

その過程で、レモン農業にも関わることとなり、久比・三角島にてレモン農業もやりながら酒造りを行うこととなったとのこと。

そこで、酒造りは、祭事などを通して日本各地の地域づくりにも繋がるという気づきを得て、「酒造りをしながら地域を醸す」という活動を行うようになったとのことです。

ただ、日本の酒蔵の現状は、大変厳しいものがあり、日本の為替変動などにより、安く大量生産が出来ず、地域づくりも担う酒蔵がどんどん無くなってきているとのこと。

その日本の酒蔵の再生のためには、日本酒のビジネスモデルを変える必要があるということで、新たな日本酒「浄酎」を開発。

浄酎は、日本酒の水分を抜いてアルコールだけ抽出したウィスキーのようなお酒。これによりどの酒蔵の純米酒でも付加価値の高いアルコールに変えることが可能とのことです。

具体的には、日本の酒蔵で余った純米酒をナオライの特許技術を使って、水とアルコールとアミノ酸に分離。

そして、抽出したアルコールは度数49度であり、ウィスキーや先ほどのレモンと組み合わせたリキュールとして販売・活用が可能となり、抽出したアミノ酸・水分の方は天然の発酵したエキスとして化粧品・健康市場にて販売・活用が可能な原料となるとのこと。

これにより、日本の酒蔵にも、今まで捨てることしか出来なかった余っていた純米酒を高付加価値化して様々に販路を拡大できることとなり、可能性が広がるとのこと。

これだけの高度な技術を開発して、さらにその先の販路も見据えていて、とてもスケールが大きいですね‼️

そして、現在は、広島県神石高原町にて、すでに廃業となった酒蔵の一角を借りて浄酎の生産拠点となる新しい酒蔵を作ったとのこと。

ここを拠点としたビジネスモデルとして、広島県周辺の酒蔵で余った純米酒をタンクごと購入し、ナオライの酒蔵にて自社の分離技術を使って、「浄酎」、「ミカドレモン」、「化粧品原料」などを製造。

つまり、地域に眠る日本酒在庫を価値に変えて世界に出していく、そして広島県だけでなく、全国にこのモデルを広げて、ナオライが酒蔵を作ると、周辺の地酒の酒蔵だけでなく、地域も元気になるということを目指すとのことです。

そして、ナオライが地域の酒蔵、地域のファンドと一緒に組み多店舗展開を図って、これを北海道、東北、三重、高知、熊本など昔からの日本の文化が残っているような場所で、地域の誇りを作っていくような事業としていきたいとのこと。

ビジョンとして「誰も搾取されないビジネスモデル」を目指すということで、「売り手」「買い手」「世間」の三方良しに加えて、「自然」「未来」の二つを加えて、これ以外はやらないと決めており、特に、菌や微生物など小さな命を尊重している酒蔵だから美味しいものができるため、自然ファーストの姿勢を貫くことを大事にしていきたいとのこと。


最後に、日本酒を作る酒蔵の構造的な問題として、お金のバランスとして、どうしても偏ってしまう問題があり、このバランスを是正して、日本らしい酒蔵づくりのモデルを、ぜひ国造りとしても公務員の人たちとも一緒に取り組みたいとの力強いお言葉をいただきました。

トークが終わった人は、登壇者と会場との質疑応答。

質問については、

☑︎選んだ社会課題については、なぜその課題を選んだか。自分の専門性や出来ることが先だったのか、社会課題が先だったのか。

☑︎話を聞いて活動内容に感銘を受けた。世の中にもっと普及するなど協力したいが、何か協力できることがあるか。お手伝いもぜひさせてほしい!!

☑︎やさしさからやさしさが生まれる社会へのコンセプトとして、自分が譲るという気持ちを示した後にどこまで広がっていくのか、その世界観をもっと知りたいです。

などなど、非常に熱い申し出や質問も出て、登壇者からも熱い回答があり、大いに盛り上がりました。

そして、第二部として、参加者と登壇者とのネットワーキング(交流会)。

今回は、山形県や秋田県、香川県など遠方から来られた方々もおり、主催者としても、とても嬉しかったです。

また、ナオライの三宅さんからも「浄酎」の振る舞いもあり、参加者で試飲をして、みんなでその美味しさに感動‼️これは絶対普及して欲しいということで、早速購入と友人へオススメすることを決めました🤗



今回、登壇者のトーク、そして質疑応答、交流会を経て、一番印象に残ったのは、社会起業家、公務員の登壇者それぞれから、「社会課題を解決する!!」という意欲だけでなく、「楽しさ」「優しさ」「価値観の合致」「五方よし」といったキーワードが出てきたことです。

当然、登壇者の皆さんは、それぞ各々が感じた「社会の課題を解決する」ために活動をされているのですが、それぞれの立場で、楽しく活動したり、優しさを示したり、価値観の一致する人たちと一緒に行動した結果、社会の課題が解決されて、三方よしプラス自然も未来も明るくなる。

そんな素敵な姿勢を、登壇者の方々から見せてもらった気がします。

そして、そんな姿勢があることで、多くの人が、協力したいと思ったり、一緒に活動したりと思ったりもする。そんな思いが広がり、みんなの一歩が繋がることで、自ずと社会の課題も解決されていく。

そんなつながりを生み出せるように、社会起業家や公務員、そして色々な立場の人をつないでいける場づくりを続けていきたいと思います。

今回、ご登壇いただきました伊藤さん、タキザワさん、三宅さん、そして参加してくださった皆様、ありがとうございました!!


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