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夢を追いかけるということ

「PRODUCE 101 JAPAN」(通称:日プ)という番組を見ていました。韓国発のアイドルオーディション番組で、練習生と呼ばれる候補者の男の子たちが、バトル方式で様々なコンセプトに沿ったグループパフォーマンスを披露。現場投票と視聴者からの国民投票によって、最終的にデビューするメンバーを選んでいく…という番組です。放送開始初期から布教され続けていたのですがハマるに至らず、2時間丸々放送を見させられてやっと興味を持って追い始めたのが、コンセプト評価(#9)からでした。だから、好きになってからは1ヶ月も経っていません。

それでもこれまでの番組を出来る限り追いかけ、たくさんの練習生を好きになり、応援し、今日のファイナルでは泣きそうになりながら番組を見ていました。


そしてこんな短期間でも、日プからは大事なことを2つ教わったので、忘れないように書いておきたいと思います。



わたしが初めて番組を見て好きになったのは、キム・ヒチョンくんという韓国人の練習生でした。ですが彼は、番組がファイナルへと向かう11月末に、「一身上の都合で」辞退してしまいました。

そしてその1週間後、韓国時代から彼と活動を共にしていた練習生2人も、「本人の意向」で辞退となりました。

公式からの名言はありませんでしたが、彼らの辞退発表には、兵役や応募資格について彼らに問題はないこと、そして一部ファンのSNSマナーに対する苦言が添えられていました。

つまりは、そういうことです。


数えきれない程の応援も、ほんの一部(だと思いたい)の悪意に掻き消されてしまうことを知りました。


言葉で簡単に人は殺せます。だから、まずは彼が命を落としてしまう前に辞退という決断をしてくれて本当に良かったと思っています。ソルリちゃんやハラちゃん、韓国人タレントの自殺が相次いでいたときだったので、冗談じゃなく心の底から心配でした。

ただどうして、それこそ死ぬ気で頑張っていた人が、誰のことも傷付けていないはずの人が、こんな選択を迫られなければならないんですか?そのこと自体がおかしくないですか?自分の推しの順位が悪いから?そんなことして順位は上がるの?

ネット社会、どうかしてます。

わたしが1ヶ月弱番組を見ていただけでも、ヒチョンくんは、たくさんの人に惜しみなく愛情を注いでいました。確かに日本人に比べたら自分の意見ははっきり言うけれど、自分の時間を割いて、他人のために時間を使える人でした。チームとしての結果が悪い時は必要以上に自分を責めていたし、他人のために涙を流せる、心優しい人でした。だから、たくさんの練習生に頼りにされていたんだと思います。昔から彼を応援していた友達からは、日本が大好きで日本人になりたいとまで言ってくれていたと聞きました。

そこまで日本を好きでいてくれていた優しい心の持ち主を、日本人が傷付けたことに腹が立ってしょうがないです。

でももうこんなところ、いなくていいよ。とすら思います。


ファンが口を揃えて「何も出来なかった」と言うのを、もう聞きたくないです。アイドルを育てる仕事をしている身として、アイドルが活動を通してもっと幸せを感じられる世界を作ることを常に考えていかなきゃいけないと思ったし、アイドルファンとしても、好きな人がこんな風になってしまうのをもう見たくない。

表に立つ限り悪意を完全に排除することはきっと出来ないんだろうけど(こんなことも言いたくないけど)、ファンに出来ること、内側から出来ること。両方に向き合っていきたいです。




悲しい気持ちになってしまったので、明るい話をします。

101人の練習生を見ていて、本当に叶えたいと思った夢を掴むためには、当たり前なんだけど文字通り血の滲むような努力をしなければならないって気付かされた話。

だって歌もダンスもやったことない人が、たった数日で難易度HARDの振付と歌を覚えて、経験者たちと並んでそれを披露しないといけないんですよ。テーマ曲である『ツカメ〜It's coming〜』のテストは、数日で歌と振付をすべて覚えて、たった1人でまるまる1曲披露するというものでした。しかも同じクラスのみんなの前で、ビデオカメラに向かって。経験者のプレッシャーも、未経験者の焦りも、見ていて泣けるくらい伝わってきました。時間は平等だから、って祥生くんの言葉、すごく重かった。みんな寝るのが怖かったんだろうなと深夜練の映像を見てて思ったし、それでも出来なくて、わけわかんなくて泣いて。

大勢のライバルが見ている前で、自分の運命が決まるかもしれないたった一度のチャンスなんて、よっぽどの経験者でも緊張して足が竦むのに、それに立ち向かっていった未経験の練習生たちは本当にすごいです。

その中で正しい方向・量で努力をして力を発揮出来た子たちが上がっていくの、めちゃつらかったけど、これが芸の世界だなと痛感させられたのも事実です。たぶんその子たちがしてきた努力って、想像を絶する量だと思うし。

自分の話になってしまいますが、わたしは努力が出来なくて、ダンサーになることを諦めました。というよりも、才能も無いしスタイル悪いしって言い訳をして、そもそも努力すること自体から逃げていました。

今ならはっきりわかるけど、夢への気持ち=努力の量です。

別に精神論を言いたいわけじゃないけど、気持ちが体を動かすのは事実だから。わたしはきっと、スタイルとかのコンプレックスを乗り越える努力をしてまでダンサーになりたいわけじゃなかったんだろうなと思います。(そう思うと、今までの人生がすごく無駄に思えてきて凹んだこともありました…完全に私事だけど…)

正直彼らの覚悟を目の当たりにして、ここしばらくは自分の夢だと思っていたことに対して立ち止まってしまっています。ただ逆にこれからもし、それが本当の夢だと思えたら、そこからは迷わず走っていきたいなとも思えました。あと今は、汗ダラッダラになるまで踊りたい。もう遅いかもしれないけど、自分の目指すものに向かって”努力”がしたい。

彼らの『ツカメ』を見て疼くものがあるということは、わたしにとっての進みたい道はダンスしかないんだなぁとも思わされています。

改めて夢を追いかけるということを考えさせてくれて、実感させてくれて、これからの人生に対して気が引き締まりました。


アイドルに学ぶことは、本当にたくさんある。



短い間だったけど、本当にありがとう!そしてお疲れ様でした。

101人の努力と夢に、心からの敬意を込めて。


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※ヘッダー画像は使用が許諾されている番組公式のものを、最後の集合写真はlivedoor newsよりお借りしました。

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