破滅のはじまり

「両思い」を知ると、それが間違いでも進みたくなる。

ひとめぼれ、インターンは天国になった。満たされるとはこういう事だと思った、相手のいる人だった。

沖縄民謡を歌える人に興味を無くし、誕生日のプレゼントを渡したその日にもう会えないと告げた。

「出会うのが遅かった」「どうして2人同時に好きになってはいけないの」

「お互いの家族も知り合いだし、今すぐ別れる訳にはいかないけれど」

「でも一番好き、ずっとここに居て」

相手の写真を、友達に見せるみたいに容赦なく突き付けズタズタになる。その倍嬉しい言葉や行為が返ってくる。

求められているような愛されているような勘違い、浮遊感、心地よい背徳感。

部屋はとても冷たくて、体温の高さが強調される心臓の音。肌のにおい、古いデスクトップ、駅。

何もかもまだ覚えている。嘘のない感情の、嘘だらけの関係。大丈夫気にしない、このまま2番目でいい。

1番がいいと思った時、はじめて涙が出た。

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