9月15日 悪夢のセルフアラーム機能

まだやりたいことがあるのにうたた寝してしまうとき、そのまま寝落ちしてしまわないためのセルフアラーム機能とばかりに大抵怖い夢をみて飛び起きる。

今夜は、すぐそばに友人がいるのに声が届かず、痛みや恐怖を膨らませながら徐々に崖から落ちていく夢だった。
落ちたら確実に死ぬかと言われると、打ちどころが良ければ(良ければ?)後遺症の残る大怪我で済む(済む?)ような岩場で、今後の人生で苦しみ続けることを直感した。
両手で掴んでいる紐状の柵は、設置地面から雪崩れるように外れ続けている。
そも先に私の腕力が限界を迎えそうだ。
ポケットにはiPhoneが入っているが、崖下に落ちたあと血に濡れた指先で、私の様子に気づかず談笑して続けている友人にうまく電話を発信できるだろうか。
指先が濡れていると、感知してくれないことがあるから、iPhoneは……。
アドレス帳で彼女の名前を検索して……LINE通話の方がはやいだろうか? しかし彼女と最後にLINEしたのはいつだったか……履歴の上の方にあればいいけど、スクロールして名前を探す体力と意識が残っているか……それにLINE起動時間すら意識が保てるか……アドレス帳の方がタイムラグなく開く気がする……
地面から外れて随分延びた柵の紐は、末端を握る私を重りに振り子運動をはじめた。
何度も崖の断面に叩きつけられて、死に方がわからない……

……というところで目が覚めた。
30分ほどうたた寝していた。
危うく寝落ちするところだった。
連日寝落ちしてしまって悔しい思いをする時期があり、その体験を経て悪夢のセルフアラーム機能が身についた。
就寝時は(睡眠記録アプリのグラフによると)短時間で深い眠りにストンと落ちているようで、最近夢もみない。
みるのはうたた寝のときと、二度寝のときだ。

ところで、崖は地層の断面がたのしめるイメージがあるので、崖の断面と書いたけど不自然だっただろうか。
壁面、の方がスムーズだったろうか。
何も全ての崖が地層で成されているわけではないのだろうか。

小学校のときの理科テスト、カラーで地層のイラストが添えてある問題が何度か出た。
何層も重なっていることをわかりやすく色分けした地層の断面図は、ショートケーキの切り口みたいだった。
イチゴのスライスの替わりにそこにはアンモナイトや葉っぱの化石が散らされて、砂の層か岩の層かで荒さが違うツブツブは密度の違うスポンジみたいだ。
特に岩の層や黄土の層は黄色で塗られていることが多くて、バターやカスタードがたくさん練り込まれていそうでまろやかで甘そうだ。
砂岩の層は薄い灰色や水色で塗られていることが多くて、ムースかホイップのあっさりした味わいだ。
1番上にのっかっている、私たちの立つ焦茶色の薄い地表は、プリンをお皿にひっくり返したときの、カラメルのとこにそっくりだ。
そんな風に思っていたから、プリントや教科書で地層の図を見るのが好きだった。
おかげで地層というものに愛着とウキウキするような楽しい記憶を持っていて、崖のチャームポイントは地層が見えるところだと思っている。
だから崖の断面というように、できる限り地層を感じられる表現をしたいのだ。

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