野々口西夏

京都芸術大学、文芸表現学科4回生。卒業制作で小説『清めの銀橋』を書きました。腹黒京都美…

野々口西夏

京都芸術大学、文芸表現学科4回生。卒業制作で小説『清めの銀橋』を書きました。腹黒京都美人(自称) https://lit.link/nonoseika

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『清めの銀橋』抜粋

 ここ半年ほど真智はろくに眠れていない。真智と渋川はそのことについて話し始めた。すると職員室の奥のほうから、「藤原さん?」と猫なで声で話しかけてくる人物が近づいてくる。担任で国語教師の木場である。前任の教師の母親が倒れ、木場は昨年度からおばさんの年齢にして初めて、クラスを持つことになった。私は木場に「ちょっとこっちに」と手招きされ、桜の咲く中庭の見える廊下に呼び出された。 「藤原さん、私の授業いっつも寝てるようですけどね。ノートとかとってますか?」 「友達に見せてもらってます

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