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小説 独身所以

40代半ば。男性。独身。窓際族。
大学はFランといわれるところだそうだ。
会社のトイレで私を馬鹿にする言葉を聞いて知る。
給料は24万円。残業もないから基本給が支払われてる感じ。
仕事は20代前半は開発職。たぶんエンジニアみたいな名前で入った。
3年で営業に飛ばされた。
先輩がやっていた頓挫したプロジェクトを成功させたら、厄介払いみたいに。
「君は、このプロジェクトはやっていないだろ」
上司や周りが真面目な顔で私にいう。
私の頭がおかしいのかという雰囲気を醸し出す。
雰囲気は悪魔。
正論がなにかなんてどうでも良い。
空気がそうなってるからそうなんだみたいな圧力がある。
営業所で備品管理をする。
担当はボールペン。
ノートに個数を書く仕事。
意味はたぶんない。あるとするなら嫌がらせぐらいだ。
40代半ばまで、独身だと、もう無理だよねと言われる。
そういう生き方もあるよねと言われる。
こちらは何も言っていないのに、そういう生き方を押し付けられる。
それ以外を考えたり、行動したりすると気持ち悪いという。
どっちが気持ち悪いんだよとは思うだけ。