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幸せのかけら ~6.天ぷらには白ワイン~

心にほっこりとぬくもりを!
日常の小さな幸せを探してみましょう。

「天ぷらには、白ワインがよく合う」
主人と初めて出会った日に、彼が言った言葉です。「日本酒ではなくワインが合うなんて、お洒落なことをいう人だ」と、思ったのを今でも覚えています。

あれから10数年。
まさか天ぷらを食べるたびに、さも初めて披露する知識のように、実に得意げに言い続けるとは思いもよりませんでした。
今ではその言葉を聞くたびに、
「知ってる、もう100回以上きいてる」と突っ込むのが、我が家の恒例パターンになりつつあります。

最初の頃は、言ったことを忘れているのかと思っていましたが、ここまで続くとお決まりのコントのようになってきました。
そんなにお笑いが好きでもなくボケない人ですが、こと「天ぷらには白ワイン」だけは、口にしないと気が済まないようです。

我が家では何を食べたいか聞くと、かなりの確率で「天ぷら」と答えが返ってきます。なぜなら料理下手な私ですが、天ぷらは絶対失敗しないからです。

「天ぷらが作れるなんて凄い!」
料理上手な義理の母が褒めてくれたことがあります。

これは、ひとえに粉メーカーのおかげです。
昔、小麦粉で作っていた時は必ず失敗していました。
歯が痛くなるほど固い衣になってしまったり、薄すぎて素揚げになってしまったり。
でも花王や日清など、いろいろなメーカーが「魔法の天ぷら粉」を発売してくれるようになりました。
この粉さえあれば、不思議と失敗しません。
氷を入れる必要もなく、分量通りに粉と水を混ぜれば大丈夫です。

油の温度も、ガスコンロが教えてくれるから、ただ揚げるだけですみます。
油跳ねが怖いので、キッチンペーパーに水をよく吸わせることだけは、かなり真面目にしますが。
あとは、ホントに揚げるだけ。

職人さんのように「音で揚げ具合がわかる」、なんてことはありません。
だからその分、揚げたてをすぐに食べてもらうようにしています。
「自分の分は冷めても、皆には熱々のものを食べてもらう」
それが料理下手な私ができる、唯一の「美味しく食べてもらうコツ?」です。
もちろん味見と称して、揚げながら自分の口に「ぽい!」とほおりこむことも、忘れません。
(なんたって揚げたてが一番! )

我が家の具材人気ナンバー1は、何といっても青じそ。
片側に衣をつけて油の中に入れると、パリパリのお煎餅みたいになります。
他に主人は、ミョウガやししとう。
子どもたちは、さつまいもは欠かせません。
エビや白身魚も揚げるのですが人気があるのは断然、野菜です。
しかも普段は、薬味として使われるものが多いです。
つまり我が家の天ぷらでは、ふだん脇役の食材が一躍主役になります。

サックサクの天ぷらを食べながら、白ワインが進む主人。
「やっぱり天ぷらには、白ワインだよね」
今日も、得意そうに言っております。

【Thanks! 写真:しまうままさん による写真ACからの写真】