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幸せのかけら ~16.伝わる言葉と伝わらない言葉

心にほっこりとぬくもりを
日常の小さな幸せを探してみませんか?

どうして言葉って、思うように伝わらないんだろう。
同じ言葉でも、言う人やタイミングによって受け取られ方が違う。

どんなにいいことを言っても、気持ちがなければ伝わらない。
それはもちろんだけど、気持ちが強すぎて伝わらないこともある。言い方が不味いこともある。やみくもに自分の思いをぶつけても、聞いている人の気持ちに寄り添っていないと、言葉は届かない。

勉強したくない子に、どんなに勉強の必要性を説いても仕方がない。
思春期の子どもなら却って反発して不貞腐れるぐらいのことである。勉強をしなくてはいけないことは分かっているけれど、やる気がでない子と真正面から闘ってもうまくいかない。

大切な人を亡くした友人に、どんな言葉をかけたらいいか分からないなか、絞り出した言葉「つらいね、大変だったね、気を落とさずに」は、何かが違っていたと思う。自分が受けたショックを、言葉にしただけではなかっただろうか。

では、どうすれば人の気持ちに寄り添うことができるのだろう?

自分も同じ経験をしたことがあれば、その体験から気持ちを思いやることができるかもしれない。相手が抱えている感情を想像しやすいかもしれない。
でもここで気を付けなければならないのは、同じ体験をしたとしても自分と同じように感じるかどうかはわからないということ。
「自分がこう感じるから、きっと相手はこう感じている」そう思うのは危険な思い込みで、気持ちはその人でなければ決してわからない。

自分が経験したことでさへよく分からないのに、自分が経験したこともない状況にいる人の気持ちは、想像することさえできない。相手の気持ちに寄り添おうと無理に言葉を探そうとすればするほど、遠ざかってしまうこともある。むしろ言葉を発せず、黙って話を聞くことの方が相手に近づけることがあるかもしれない。

人の気持ちなんて分からない。分かると思うのは、思い上がりなのかもしれない。けれど、だからと言って分かろうとしなければ、永遠に分かることはない。

だからこそ「相手の気持ちを思いやってみる」
今、どんなことを考えているんだろう?
どんな気持ちでいるんだろう?
何か必要としていることはあるだろうか?
自分にできることはないだろうか?

相手のことを考えているとき、少しだけ相手の気持ちに寄り添えているのではないだろうか。

もしかしたら、子どもや友人のそれまで見えなかった姿が見えてくるかもしれない。
その時、特別な言葉ではないけれど、今までと違った言葉が言えるのではないだろうか。